2021.05.30

日本とアメリカとヨーロッパ、じつは「自由」の“意味”がここまで違っていた…!

日本社会には本当の意味での自由がない
橋爪 大三郎 プロフィール

「freedom」は「自分たちで政治をする自由」

つぎに、freedom 。これは、「自分たちで政治をやります」である。国王はいらない。国王が何でも決めると、 kingdom(王国)である。国王に退場ねがって、自分たちで何でも決めよう。民主主義みたいになる。

freeとは、何かが「できる」こと。無料という意味もある。人間は、能力を向上させれば、どんどん free になれるのだ。

では、自由(freedom)を実現するには、どうしたらいい? ふたつある。

  1)王様と戦争し、やっつけて、どこかに追っ払う。
  2)憲法を制定し、自由(freedom)の国をつくる。
 

アメリカ合衆国はこれをやった。独立戦争を起こし、世界最初の成文憲法を作った。

自由を確保するには、法律が必要だ。自由と法律はメダルの裏表。これが、西欧の常識である。

王国(kingdom)だと、立法権は国王にある。税金をとる法律をどんどん決めて、アメリカ植民地に意地悪をした。もうがまんできない、独立しよう。そこで、アメリカ合衆国の憲法にはこんなことが書いてある。

 ・主権(これまで国王の権限だった)は、アメリカ人民にある。
 ・議会が、法律をつくる。
 ・大統領が、政治や軍事をやる。
 ・裁判所が、裁判をする。
 ・議員や大統領や…は、人民が選挙で選ぶ。
 ・アメリカ合衆国は、人民の自由を守る。

自由を守るのは、国家の義務なのだ。

この憲法があって、はじめて、人びとが自由でいられる。実際には、法律をつくって、人びとの権利を保証する。

ものわかりのよい国王が、自由(freedom)を守ります、という憲法をつくるようにもなった。これでも、自由は守られる。

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