ロシア軍攻撃で原発火災=原子炉停止、放射線量変化なし―ゼレンスキー氏「核テロ」糾弾・ウクライナ
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【3月4日 時事通信社】ウクライナ南東部のザポロジエ原子力発電所で4日未明(日本時間同日午前)ロシア軍の攻撃により火災が発生した。原子炉には着弾しなかったもようで、放射能漏れなどは確認されていないが、大規模事故につながりかねないだけに、ロシアに攻撃の即時停止を求める声が強まっている。ロイター通信によると、ウクライナ地方当局はロシア軍が原発を占拠したと述べた。
動画サイトに投稿された映像では、攻撃が加えられた施設から煙と炎が立ち上がった。ウクライナ軍高官はフェイスブックで、攻撃を受けたのが研修施設と研究所だったと説明。AFP通信によれば、ウクライナ緊急事態庁は火災が消し止められ、犠牲者はいないと明らかにした。グランホルム米エネルギー長官はツイッターに、「原子炉は頑丈な格納容器によって守られ、安全に停止した」と投稿した。
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、原子炉が損傷すれば「深刻な危険」が生じると警告。IAEAはその後、「重要施設」に影響は出ておらず、原発の放射線量の変化も報告されていないと、ウクライナ当局から説明を受けたことを明らかにした。
AFP通信によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は動画メッセージで「原発施設に攻撃を加えたのはロシアだけだ」と批判。「テロ国家は今や核テロに走った」と糾弾した。ゼレンスキー氏はバイデン米大統領と電話で会談。ホワイトハウスによれば、バイデン氏はザポロジエ原発の状況について説明を受け、両首脳は攻撃停止をロシアに求めることで一致した。
ザポロジエ原発は欧州最大規模。ウクライナのクレバ外相は、ツイッターで「ロシア軍がザポロジエ原発に対し、あらゆる方面から攻撃している」と指摘。1986年のチェルノブイリ原発事故にも触れ、「もし爆発すれば、チェルノブイリの10倍以上の規模となるだろう。ロシアは直ちに攻撃を停止しなければならない」と訴えた。
ウクライナ当局はこれより先、ロシア軍がザポロジエ原発制圧を目指して攻勢を強め、戦車で近隣の町に進軍したと説明。近隣の首長はオンラインへの投稿で、激しい戦闘によって人的被害が出たと主張したが、詳細は明らかにしていない。(c)時事通信社