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 ロシア軍の侵攻が続くウクライナ南東部のザポロジエ原発で4日、火災が発生した。ロイター通信などが報じた。原発の広報担当者は「ロシア部隊が砲撃を始めた」と述べており、ロシア軍が標的とした可能性がある。ウクライナでは旧ソ連時代の1986年にチェルノブイリ原発事故が起きている。

 ウクライナのクレバ外相は「ザポロジエ原発が全方位から攻撃を受けている」と表明。攻撃の即時停止を求めた。国際原子力機関(IAEA)はウクライナ当局から放射線量に変化はないとの報告を受けたと明らかにしたが、一時は消防士が銃撃を受け、消火活動ができていない状況とも伝えられた。ロシア軍は既にチェルノブイリ原発を制圧している。

 IAEAによると、ザポロジエ原発は6基。大半は旧ソ連時代に稼働を始めた。出力はいずれも100万キロワット。AP通信によると、砲弾が当たったとみられるのはこのうち改修中で稼働していない1基だったという。

 これに先立ち、ロシアとウクライナの代表による2回目の停戦協議が3日、ベラルーシで開かれた。インタファクス通信などによると、両国は戦闘地域で住民の避難や食料を輸送する間、一時的に交戦を停止する「人道回廊」確保の方針で一致。来週初めにも3回目の協議を実施することでも合意した。ロシア側代表のメジンスキー大統領補佐官は「将来の政治的な紛争解決」についても話し合ったことには触れたが、詳細は明かさなかった。ロシア軍撤収を求めるウクライナ代表のポドリャク大統領府長官顧問は「残念だが、期待した結果は得られなかった」と述べた。

 だが停戦協議後に起きた原発火災の影響で、戦闘収束はさらに見通せない状況になっている。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、3日までに少なくとも15人の子供を含む民間人227人が死亡、500人以上が負傷した。英BBC放送などによると、ロシア軍は3日、ウクライナの主要都市として初めて制圧した南部ヘルソンに夜間外出禁止令を発令し、住民らはロシア軍の統制下に置かれた模様だ。南部マリウポリでも空爆が続き、3日にBBCの取材に応じた同市の市長は、電力や水の供給が途絶えていると訴えた。

 こうした中、ウクライナのゼレンスキー大統領は3日の記者会見で「戦争を止める唯一の方法」としてプーチン露大統領に直接会談を呼びかけた。ゼレンスキー氏は「私たちはロシアを攻撃していないし、攻撃するつもりもない。私たちの土地から出て行ってくれ」と述べたうえで「一緒に座ろう」と直接対話の必要性を訴えた。

 その一方、ゼレンスキー氏は北大西洋条約機構(NATO)に軍事支援の強化を訴えた。ゼレンスキー氏はロシア機排除のため、ウクライナ領空への飛行禁止区域設定をNATOに求めているが、ロシア側との偶発的な衝突を懸念するNATOは設定に動く気配はない。このためゼレンスキー氏は「空域を閉じる力がないなら、飛行機をくれ」と欧米諸国に要求した。【モスクワ前谷宏、ロンドン横山三加子】

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