社会
2021年3月24日 14:56

ママモデル「事実婚」へ 離婚決断に家族は

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(c)NNN
自分とはちょっと違う価値観を知って、やさしい社会のヒントを探す「世界をアップデート」。24日はファッション誌のモデルとして活躍する牧野紗弥さん。3人の子供の母親ですが、夫と離婚して「事実婚」にするという選択に踏み切ったのです。その理由とは?

女性ファッション誌「VERY」や「Domani」などのモデルとして活躍する牧野紗弥さん(37)は、結婚12年、3人の子供を育てる母です。牧野さんが今、準備を進めているのは、「夫婦別姓」の実現。そのため、法律上は離婚して、事実婚にすることでした。

牧野紗弥さん
「姓を1つ変えることによって、夫と私の気持ちがそこで対等になるのであれば、家族で前向きに『夫婦別姓』について話し合いたいと思ったのです」
 
夫と“対等になるため”の夫婦別姓。
 
牧野さん
「今までモヤモヤしていたことが全部、『ジェンダー』っていう言葉に含まれているんだ、って気づいたのが、大きなきっかけでした」
 
そこに至るまでには一体、何があったのでしょうか。

牧野さんが、家庭内の性差=ジェンダーを最初に感じたのは、第1子が生まれた時。
 
牧野さん
「子供が生まれたとき、『夫側の孫』ということを、みんなが(言ったんです)」
「『あちら(夫)側のお孫さんだから、まずは最初にあちら側の意見を聞こうね』っていうような話を(自分の親に)されたりとか」
 
子供は「夫の家の孫」で、自分は「夫の家の嫁」。モヤモヤが募ったといいます。
 
牧野さん
「些細なことなんですが、姓を変えるというのは、相手側の姓に所有されることもあるのかな…って」
 
3人の子供に恵まれ、仕事にも復帰した牧野さん。しかし、今度は夫と家事・育児の分担を巡り、衝突が続くようになります。

牧野さんの夫
「自分的には“やっている”みたいな感じでした。仕事から帰ってきたら1回リセットしたいからテレビをつけると、なんかイライラされる。こっちは結構、仕事して帰ってきたんだから…というのは結構、ずっとありました」

牧野さん
「お互いの中で埋まらない溝を感じていたので、これはやはり1回、パパにやってもらわないと、私が何をこんなにイライラしているのか分からないな、と思って」
 
1週間、夫ひとりで3人の育児と家事をやってもらうことにしたのです。そのときのことを、夫はこう振り返ります。

牧野さんの夫
「『もう本当に、これ、大変だな』と。仕事を回す感覚で、俺はできる…と思っていましたが、思ったよりも相手に振り回されるんですよね。子供もそうだし、学校行事の予定もそうだし。仕事なら、こんなに毎日のように振り回されない…。疲れちゃって、夜もすぐ10時くらいに眠くなっちゃう。この状況で“俺もやってるよ”という態度で来られたら、確かにそういう(イライラした)気持ちになるのかなって」
 
1週間後、夫は牧野さんに1通のメールを送ります。
 
『自分の時間が全く無くなってしまう事に気が付きました。
 そういう機会をくれてありがとう。
 もっと分かりたいから、もう1週間延長させてください』
 
牧野さん
「『これから自分たちらしい夫婦の形を作っていこうね』というメールをもらって。今まで、なんでパパは分かってくれないんだろう…としか思っていなかったけれど、実はその機会を奪っていたのは自分だったんだ、って気づいたんです」
 
母だから、妻だから、やらなきゃいけない。自分自身にも凝り固まった考えがあったことに気がついたといいます。

そして夫も。

牧野さんの夫
「(学校から)『これ持ってきてください』『裁縫で、こういうバッグを用意してください』とか、そういうのも当然、“ママが作る”ものだと思っていたんですけれど、…これ、確かに母親がやらなきゃいけないと設定されていることが多い。男はそこにちょっと参加するだけで、なんか“偉い”みたいな。確かに“なぜ女性がやるということになっているのか?”が気になり出しまして」
 
ようやくスタートラインに立てたと感じた牧野さん。
 
牧野さん
「私と夫で、自分の子供たちにどういう背中を見せられるんだろう…と考えたら、じゃあ今から一緒に、対等になることをやってみようと思ったのです」
 
夫婦が対等であるために。そしてその姿を子供に見せたい。
牧野さんは「夫婦別姓」、そのために離婚して「事実婚」にしたいと提案します。その時、夫は――

牧野さんの夫
「頭では理解しても、やはり、なんとなく体が反応しちゃう…。眠れなくなったり、不安みたいなのは押し寄せてきたりして。“離婚するんだ、俺…”というのは、どうしてもあって。今後、何か書類を書くときは『未婚者』に丸をしたりするんだろうか…とか。頭で分かっていても、なんとなく体が反応するみたいな感覚だったんです」
 
しかし、夫婦で話し合いを重ねるうちに…
 
牧野さんの夫
「こだわる訳じゃないですけど、なんで反応しちゃうんだろう?みたいなのがあったときに、やはり自分が『もし自分の名字から違う名字に結婚すると変わる』となったら、たぶん結構、違和感があるんだろうな…とか。小さい頃から“それが当然だ”というところで育ってきたんですけど…考えれば考えるほど、“それが当たり前なんだっけ?”といったところにもなってきて。考えて、いろいろな世界があると見るうちに、自分の中で徐々にですけれど、消化されていって」
 
夫婦別姓に踏み切ることに同意。子供たちとも、少しずつ、話し合いを重ねています。
 
牧野さん
「ママが『牧野』って(名字に)するの、はじめ怖かった? 不安だった?」
長女
「ちょっと不安だったけど、だんだん話していくうちにたぶん…安心してきた」
長男
「安心した」
次男
「めちゃくちゃこわい」
牧野さんの夫
「名前が変わるってことだけだから、今までと何も変わらないよ。ただそれによって、ママもよりママらしくなって、パパもママも家で今まで通り一緒にやっていく」
牧野さん
「初めていっぱい話したよね、みんなで」
長女
「あんまり家族会議という感じがなかったからさ、ある意味、良かったかもしれない」
長男
「うん、いろいろなことが聞けた」
次男
「うん」
牧野さん
「初めてかもしれないね、こんなの」
子供たち
「うん」
 
牧野さんは去年の暮れ、表札に2つの姓を掲げました。
 
牧野さん
「あれを見るたびに、私の気持ちを理解してくれる家族の温かさと、自分の決意が表れている気がします」
 
新しい『家族の形』。
 
牧野さんの夫
「夫婦別姓で、バイアスのかからない物の見方が広まるっていうことが(目的)。自分たちが…というよりも、次の世代に。夫婦別姓が目的じゃなく、たぶんその先の“本当のジェンダー平等”みたいなもの。それが感覚的に“別姓がゆえに感じやすい”っていうことなのかなと思っています」
 
牧野さん
「『母親らしさ』『妻らしさ』『夫らしさ』『パパらしさ』っていう枠組みを外して、自分たちらしい(家族の)形を作っていきたいです」

(3月24日放送『news zero』より)。
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