夕焼けの中、いつまでもトレーニングをやめない姿を見た
いつもお嬢様染みた気取った顔は、泥臭い意地に歯を食いしばってその目を吊り上げていた
その日の夜に、部屋の片隅にその執念の残滓を見つけた
積み上がった擦り切れた蹄鉄が、彼女の紅い想いの熱量を何より語っていて
その時に初めて湧き上がってきた熱があった
この子に、負けたくない

あの子が憧れの人の前ではしゃいでいるのを二階の窓から眺めていた
普段のお嬢様っぷりはどこへやら、まるで子供のようで笑ってしまった
こっちに気づいて、遠目でもわかるほどに真っ赤になったのが何故か可愛らしくて
ああ、大変。追いかけてきちゃったと
子供のように笑いながら駆け出して
子供のように遊んだのが何故か楽しかった

全力の勝負で、全力のレースで、あの子に勝った
肺が焼け落ちそうなくらい熱くて、それ以上に心が熱かった
次は負けないと、涙目のままに宣言して笑うその姿が
どんなものより気高く見えて
ああ、私は幸せ者だと思ってしまった
こんな素敵な友達ができたんだ

だんだんと寒くなる季節の中で、不意に風邪をひいてしまった
頑張って直そうとしてた方言が抑えられないくらいに弱っていた時に
優しく撫でてくれた手があった
さっさと戻ってきなさい田舎娘、なんて
いつもの憎まれ口を叩くその笑顔が
月明かりに照らされてひどく綺麗に見えた

クリスマスが近くなってきたいつかの日、あの子が泣いて帰ってきた
憧れの人は、すでに大切な人を得ていたのだと
言葉が出ないそのままに、静かに肩を掴んで抱き寄せた
自分でも理由一つわからないまま、変な嫉妬だけ理解しちゃって
この子に、泣いてほしくないと
この子の涙を、他の誰かに見せたくないと

雪の降る年末に、久々に帰省した実家でふと湧き上がった寂しさがあった
何故か、目の前が寂しかった
何故か、隣が寂しかった
そんな時に鳴り出した携帯電話、画面の名前に思わず笑って
それから年が明けるまで、ずっと耳にあの子の声が響いていた
早く会いたいと、言葉にしないけど素直に思えた

春の気配が濃くなって、花の匂いの漂う日に
新たに学園の門をくぐる新入生たちを見た時に、なんでか懐かしい気持ちになった
あの時、私たちはあの中にいて
そうだ、その後喧嘩したんだったって
ふと見た先のその姿。桜の木の下の気高くて可愛らしいあの子の笑顔
弾かれたように、その場所へと駆け出した

.
君に今、伝えたいことがある
.

春の匂いに包まれながら、桜の木の下で空を見上げて
耳に入る新たな生徒たちの笑い声が、どこか懐かしいことを思い出させてきた
あの時、私達はあの中の一人だった
そうそう、すぐに喧嘩になったっけ、なんて
ふと見たその先、彼女がこちらに駆けてくる姿、桜に負けぬ絶景の笑顔
早くきなさいと、両手を広げた

雪の降る年の瀬に、彼女が帰省した部屋が妙に広く寂しく感じた
何故か、目の前が肌寒くて
何故か、隣の空間が座りが悪くて
気が付いたら、彼女の名前を探し出して電話をかけていた
それから年が明けるまで、ずっとその声を耳にし続けた
早く会いたいと、絶対に素直に言ってなんてあげないけれど

クリスマスも近づいたある日、私は涙を流しながら帰り着いた
憧れたあの人にはすでに、想いを定めた方がいた
みっともなく泣き続ける私の肩を、彼女は静かに抱き寄せて
理由などわからないままに、何故感心してしまった
彼女になら、涙を見せてもいいなどと
彼女の前以外で、涙を見せたくないなどと

冷え込み始めたある日のこと、彼女が風邪をひいてしまった
普段必死に隠している方言が垂れ流しで、弱ったその姿がどこか愛らしくて
優しくその額に手を添えて
さっさと戻ってきなさい田舎娘、と
いつもの憎まれ口に返された二ヘラと笑うその顔が
月明かりに照らされて、ひどく愛おしく見えた

全力の勝負、全力のレース、その結果彼女に負けた
身が切り裂かれたように悔しくて、心は抑えられないほどの熱に灼かれて
次は負けないと、涙を堪えて宣言を叩きつけて
こっちこそと笑うその笑顔がなにより綺麗で
ああ、なんで幸福なのだろう
私は、最高の友達ができたんだ

憧れのウオッカ様を前にして舞い上がっていた姿を、彼女に見られていた
普段のだらしない顔とは少し違う、ニヤニヤとイタズラ好きな子供のような顔
辺り一帯ごと焼けてしまいそうなほどの熱を顔に感じて走り出した
逃すものか、捕まえる
子供のように叫びながら走り続けて
子供のように騒ぐのが、何故か楽しかった

休日の昼下がり、用具倉庫の影で息を整える姿を見た
いつもだらしなく垂れた目は鋭くて、強い誰かに勝ちたいという好戦的な笑顔
その日の夜に、部屋の片隅でその獰猛さの片鱗が不意に目に入った
書き込み貼り付け続けてボロボロに膨れたトレーニングノートが、向日葵のような笑顔に似合わぬ闘志を語っていて
その時初めて胸を焦がした渇望があった
彼女に、負けたくない

第一印象は最低だった
芋臭い喋りに馴れ馴れしい態度、最初の喧嘩まで五分も必要としなかった
同室であるという不運を、心底呪った
口喧嘩で始まる朝、昼に顔を合わせればまた喧嘩、帰った部屋で締めの口論
食べ物の趣味も、憧れる姿の指標も、何一つソリが合わなくて
絶対に、仲良くなれないと感じた

以上。酒が一日飲めなかったので昔どこかでみ見た書式の実験がてらブエディザした

オシャレな書き方しやがってありがとうございます

すごくいい…とてもいい…

こういう場所だから可能な書き方

想いが一つになる

片方が帰省して部屋が広く感じちゃうっていいよね

>片方が帰省して部屋が広く感じちゃうっていいよね
わずかな間の別れに絆をますます強くするのいい…

こういう書き方をされると行間を読み解きたくなっちゃう…

仲良くなれない
負けたくない
楽しかった
友達
綺麗なステップアップ

百合とかそんな言葉で片付けるのも無粋な感じ
これが青春か..,

スペとカフェが呼び出しを食らわないブエディザ

ありがたい…
ブエディザのおかげで今週の残りも頑張れる

爛れてないブエディザがあってもいい
怪文書とはそういうものだ

爛れてないけど湿度が高い…

何が怖いってブエディザという概念の爆発的な感染力ですよね

ディザイアの病室での最後の回想とか思ってしまった私はきえなさ

1人の狂人の発した妄執の波が大海嘯へと…

>ディザイアの病室での最後の回想とか思ってしまった私はきえなさ
消えたべ

手を繋いだまま背中合わせで笑い合ってそうな青春の電波

全ての文章に意味があって、絵があって
レス全てに絵があって、そこに言葉が浮かんでいるような風景が見えた
情景が浮かぶ美しい文章をありがとう

ブエディザを書いてくれただけでなく
この美しい文字の列を見れたことに感謝と賛辞を。

ブラボー！！！ブラボー！！！！！！

おではしぬ

連続ですまない
この絵を使ってくれてありがとう。
実は気にいってるんだ

>おではしぬ
おい待てぇ
せめて持ってる幻覚全部置いて行けぇ

やっぱ酒飲みの人の文章力は最高だな…
ありがとう…ありがとう…

>>おではしぬ
>おい待てぇ
>せめて持ってる幻覚全部置いて行けぇ
囲んで吊るしてボーで叩けばドロップするらしいよ

>連続ですまない
>この絵を使ってくれてありがとう。
>実は気にいってるんだ
むしろ勝手に使ってしまって申し訳ないありがとうございます

>.
>君に今、伝えたいことがある
>.
ここで聞いたこともないはずのブエディザの幻聴が聞こえた
確かに聞こえたんだ

>>連続ですまない
>>この絵を使ってくれてありがとう。
>>実は気にいってるんだ
>むしろ勝手に使ってしまって申し訳ないありがとうございます
好きに使ってください
絵もきっとよろこびます

人の数だけ幻覚がある
人の数だけブエディザがある

この文章に絵をつけたいクラスでこの文章好き…

赤字だけど見てたらでいいです
絵にしてもいいですか

>赤字だけど見てたらでいいです
>絵にしてもいいですか
むしろありがとうございます
ご自由にどうぞです

>>赤字だけど見てたらでいいです
>>絵にしてもいいですか
>むしろありがとうございます
>ご自由にどうぞです
ありがとうございます。

生きる理由が
増えました