2021年12月08日

歯...歯が...もげた!13

「こんにちは」
これほどまでに優しい
男の人の声を
聞いたことがない

「どうされましたか?」
の声で先生の顔を見ると
同い年くらいか、少しお若いのか
ずっと微笑んでおられます

今にして思えば、
お釈迦様のShimPoさんに
よく似てる

40年前の出来事
40年間の心の葛藤
1年前の剥離
今日の拉致事件
話しました

それをずっと微笑んで
聞いてくれた先生

神です!

「口の中を見せてもらってもいいですか」
すんなり口を開ける自分
でも気がつけば
人差し指だけ立ってたり
親指が在らぬ方向に立ってたり

先生が席に離れた時に
「......ふぅー...」
と下を向きため息をつくと
助手の奥さま?が、
笑いながら
「大丈夫ですよ」
と声をかけてくれ...



ノミの神経のフランクリンより


歯...歯が...もげた!12

「歯は良くなることはないんだよ!」
何故か、背中をピンとして聞いてる僕
「はい、行くよ!」
「...ぇっ?」
「え?じゃなくて、行くよ!」

僕の40年間の意地を
たったの3文字
「行くよ」
で消したひと...

車に乗せられて
連れて行かれました

受け付けで
僕は一言も話をしてないのに
コトは進み
気がついたら
診察台へ

40年振りの
嫌なイス
嫌な雰囲気
嫌な音
嫌なニオイ
嫌なところを探してしまう
ここに僕の安心は
一欠片もない

なんで歯医者のイスに座ってんの?
なんで歯医者なんかに来ちゃったの?
後悔...後悔...後悔...
理由を考えて帰らなくっちゃ!
でも待合室には
変身したショッカーが!
どうしよー



ノミの神経のフランクリンより


歯...歯が...もげた!11

決めました!
40年も行かないで済んだんだから
大丈夫でしょー!

僕は行かないことに
決めました

もう、もう誰も僕に
意見しないで!

歯医者は
嫌なの!嫌いなの!


それから1年...
新しいホームで
パートナーと始めて
少しした頃に...
「そういえば、歯医者は?」
「行ってないです...だって...」
有無を言わさないパートナー...

キレイで優しいパートナーは
見事に変身をして
何処へやら...
素の状態を露にされておりました



ノミの神経のフランクリンより


歯...歯が...もげた!10

僕も笑わせたくて言っているのではなく
相談をしていたのに...

「私の行っている所に行きませんか?」

はい...それも、
ある意味100点満点のお答え

でも僕が望んでいるのは
どうしたら歯医者に行かないで済むか
であって...

歯医者...
ウソツキ
歯医者...
痛い
歯医者...
憂鬱
歯医者...
年寄り
歯医者...
誰も分かってくれない



ノミの神経のフランクリンより


歯...歯が...もげた!9

こんな歯医者の思い出から
40年間、
歯医者に行ったことがなかった

ある日、
山を切り崩して作った
公園の中を通り
ぼくの担当のグループホームへ行く途中、
階段を下りていると
ガリっ!
歯が剥離しました

ホームに着いて直ぐに見ると
玉ねぎの白い部分の一番外側が
かけて剥けてきた感じ

残った歯の外側の黒いこと
何じゃコリャ!

同じホームで担当していた
後の仕事上のパートナーに
相談

「歯医者行けばいいじゃないですか」
はいはい、100点満点のお答え
でも僕にはね、こんな過去が...
「もうやめてください!チビりますー!」
とても綺麗な方で優しくて
チビる!
なんて言葉を口にするようには
見えません



ノミの神経のフランクリンより


歯...歯が...もげた!8

バス停に着いて
いつも帰りに寄る
店のおばちゃんに
訴える

「歯医者て、ウソツキなの?」
おもむろに言われたおばちゃん、
「淳ちゃん、なにしたのや?」
今度は瓶に入った
マミーを飲みながら
多少、冷静に説明する

「んだな!んだな!先生悪れな!」
やっと得た味方!
「だべ?だべ?ウソはダメだべ?」
「んだ!ウソはダメだべ!」
道路を渡って
歩いて1分の我が家へ

門の所で犬が飛びついてきて、
中に入れば
背伸びをしてスリスリしてくる猫がいる
耳をすませば
セキセイインコとジュウシマツの声
時には、
コケコッコー!コケ...とニワトリの声

やっと安心に囲まれる

玄関の所で
履いてる物も脱がずに
猫に説明をする

お行儀よくお座りをしている猫は
僕の話の合間に
目を閉じながら
小さい声で
にゃあ...
と繰り返す

話が終わったところでやっと
履いているものを脱ぎ
それぞれに
ご飯の準備をして
あげに行く

それでも
なーんか満足しないでいると
犬は泣いたあとの顔を舐めてくれ
猫は座っている僕の上に上がってくる
セキセイインコもジュウシマツも
声を大にして唄ってくれる
ニワトリも時間差の鳴き声を...



ノミの神経のフランクリンより


歯...歯が...もげた!7

「ウソツキーーー!!!」
前屈みになり
全身で叫びます!

「手上げたらやめるって言ったべ!!!」
市役所まで聞こえるような声で
訴えます

「もー帰るーーー!!!」
支払いもせずに
治療も終えることなく
歯医者を出ました

ずっと、ずーっと
泣いてました

帰りのバスの中でも
ずーっと泣いてました

近くに座っていた
知らないバァチャンが
「何すた?何があっただながや?」
テロップを入れるのなら
「どうしたの?なにかあったの?」
山形の人が話す場面で
TV画面の下にテロップが入ることが
多いこと多いこと

「歯医者で先生にウソつかれた!」
「何やっだの(言われたの)?」
「手上げでも止めねがった!」
何故かバスの中が
笑いでいっぱいになって
輪をかけて大泣きしてた



ノミの神経のフランクリンより


歯...歯が...もげた!6

痛い時には手を上げてね
直ぐにやめるからね

今でも変わらないですよね?
旗を上げて知らせるやり方に
変わってないですよね?


学校でも上げたことのない
ピン!と腕まで伸ばして
目で先生に訴えながら
手を上げました

あれっ?
先生ったら気がついてない?
今一度、
手を縮めてから
ピン!と腕まで伸ばして
目で先生を睨め付けて
手を上げました

今度は気がついたようで
先生から言われました
「はい、もう少しだから頑張ろうね!」

身体中の力を振り絞って
起き上がりました



ノミの神経のフランクリンより


歯...歯が...もげた!5

と言うのも、
遡ること50年前のこと...

小学校一年生の僕は、
僕だって
小学一年生の可愛い頃があったのよ!

生まれて直ぐに
こんなオヤジだった訳ではなく、
タバコくわえて
オギャー
って出てきた訳でもなく、
色々経て、
今がある訳で...


学校の帰りに
歯医者に寄るように
親から言われ
市役所の裏の歯医者さんへ

当時でもう年寄り先生だったけど
「一人で来たの?偉いね!」
とほめられて嬉しかった



ノミの神経のフランクリンより


歯...歯が...もげた!4

翌日は不幸なことに
日曜日

月曜日の午前中の
終わり時間頃に
電話

診察時間を
出来るだけ避けようと
僕なりに
気を使った訳です

偉いっしょ?

でもね、
似合わないことは
するモンじゃないです

2回かけても
誰も出んわ!

あ...
誰も出んわ...
出んわ…でんわ...電話...
誰も電話に出んわ...
ウケてるだろうなぁ!
クックック...

その時の僕は
絶望という名の
断崖絶壁に
立たされており...


ノミの神経のフランクリンより


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僕の波瀾万丈な人生を綴ることで、誰かの何かの役に立てたらこんなに嬉しいことはないです 人に歴史あり…同じであるはずはないけど少しでも誰かの気が楽になるのなら…こんなことを考えています
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