2022年01月16日

2022年 4回目の休日に思うこと2

僕ら
障害福祉をやっていると
『本人の意思決定を尊重する』
というのがある

これはなにも、
障害福祉に限ったこと
ではない


情報によれば
彼は
俗に言う
『良い子』
であったことが判る

だからこその
周りからの
『期待』
であったのだろうが…


自分の意思とは
別に
お嬢ちゃんお坊ちゃん学校に通っていた僕は、
親戚の叔父、叔母達から
「◯◯高校にでも入って◯◯大学でも出て学校の先生にでもなればいいんだよ」
何百回…
言われてきたことか

結果、
学校の先生にだけはなりたくない!
という心が
芽生えた


人って
挟まれると
逃げたくなるもの




フランクリンより



2022年 4回目の休日に思うこと3

一昔前なら、
何らかの形で
『自分で人生を終わらせる』
行動をとる
ことが多かった

最近は
何故、
無関係の他人を
巻き添えにして
しまうのか…

『死刑になりたくて…』
同じセリフを
吐いている


暮れに
ある関東北部の
市役所の税務課から
利用者さん宛に
一通の封書が
届いた

彼の
お母さまの
『死』
をお知らせする内容と
一緒に、
『介護保険料の未払い通知書』

『支払い通知書』
が入っていた

亡くなる
数ヶ月前から
未払いだったことが
判る

彼は
生まれて僅か
4ヶ月で、
両親から
置き去りに
されている




フランクリンより



2022年 4回目の休日に思うこと4

呆れるほど彼は
自分の小さい頃からのことを
覚えている

これは
正しい表現ではない

自分の小さい頃からのことを
周りから
教え込まれている

僕が彼と初めて会ってから
4ヶ月目…
偶然なのか
4ヶ月目の頃に
「僕のことを知っておいてほしいんだ」と
身振り手振りを混じえながら
約2時間半…
喋りっぱなしだった

その時の
殴り書きの記録は、
書き直すことなく
彼のファイルに
大事に
保管してある


30年程前に、
クリーニング工場という名の
老人のオムツ工場に
彼はいた

毎日、
オムツに付着した
人糞を
手袋をして
捨てる仕事を
彼はしていた


『食欲』
などというものは
全く
なかったらしい

その頃の写真を
見せてくれた

今とは別人で
痩せ細っていた

決して
健康的な痩せ方では
なかったのが
印象的




フランクリンより


2022年 4回目の休日に思うこと5

救いは
当時の専務さん

障害者手帳を取得したのも
専務さんのおかげ

お金を沢山貯めていてくれており
今でもそのお金を
少しずつ崩しながら、
月に1万円程の工賃でも
障害年金と合わせながら、
生活保護を受けることもなく
彼は
生きている

この専務さんを探そうと
計画相談と調べてみたが、
見つからなかった

同世代の僕は、
小さい頃に
親から
ラジカセやラジコンカー
などを
買ってもらった

買ってくれる
親のいない彼は
同級生が話をしている
ラジカセやラジコンカーに
興味を持つ

お店に毎日通っては
店のオヤジから
毎日、
嫌味を言われる
「アンタ、毎日来てカシャカシャやるけど、買うの?買わないの?」

彼の部屋には今、
ラジカセが4台ある

ラジコンカーも
3台ある

当時見れなかった
仮面ライダーや
ウルトラマンの
DVDは、
彼の宝物の一つである




フランクリンより



2022年 4回目の休日に思うこと6

この専務さん…
どういう経緯か、
彼のお母さまの居場所を
見つける

30歳前後だった彼は
『会いたい…会ってみたい…』
衝動にかられ、
専務さんと一緒に
関東の北部の田舎町へ
行っている

その時の記憶も
相当強く、
「行って良かったのか、行かない方が良かったのか…」
言葉を濁す


腰の曲がった老婆に近い人は、
来客に気づいているのか
知らないフリをしているのか、
自分達のことを
相手にしてくれなかった

もう1人のおじさんは、
愛想のない挨拶のみ

そのまま帰ってきたとのこと


このときの老婆が
お母さまだったらしい


それから少しして、
彼の元に一通の手紙が届く
『彼はどれ位稼いでいるのかね?少しコッチにも回してほしいんだけど』
立腹して断ると、
『二度と来ないでほしい』
との返事だったとのこと

彼は
今だからこそ、
なのだろうが
笑って話をしてくれた




フランクリンより



2022年 4回目の休日に思うこと7

彼の部屋は、
ピカチュウの物で
いっぱい

ラスカルもいる

「この子達、年末年始はどうしたらいいの?」
廊下に何体ものぬいぐるみを並べては
「この子達、お腹減ったって」
擬人化しては
他の利用者さんの
笑いを取ったり
自分の思いを
伝えてくる、
喋りかけてくる


僕よりも二つ先輩で
来年には
還暦を迎える

でも、
楽しそうに
幸せそうに
満面の笑みを浮かべながら
生活をしている

日中活動は、
大きい公園のトイレ掃除

見学に行った時には、
タオルを捻って
頭に巻き、
濡れた床に
膝をつき、
便器を
抱えるようにしながら
掃除をしていた


彼は
誰からも
挟まれることなく
今を
生きている


誰からも
特別
期待されることもなく、
期待されるのは
持っている
『金』
だけで、
無いと言えば
相手にもされず
やっかい払い

そんな彼の笑顔を
絶やさないことが
僕の目標でやってきた

無茶な相談…
否定することなく
別の提案で
目線を変えたり、
違う方法で
探してみたり
購入することを考えてみたり
同じ目線で
やってきた

仲間として
『寄り添う』
ことを
ずっとやってきた

その最中での
封書だった



フランクリンより



2022年 4回目の休日に思うこと8

計画相談に
相談をしながら、
彼に
お母さまの
『死』を
伝えるべきか、
否か…
悩んでいる

言われていることは、
「山口さんが彼のことを一番理解してくれている人だから…本人が一番頼りにしている人だから…判断をしてほしい」


暮れに届いた封書のことで、
未だに
結論を出せなくている


僕は母親と20年以上、
会ってもいなければ
連絡すらも
取っていない

これは、
母親が望んでいること

一人息子ではあるのだが…

『赤い雪』
でも記述したが、
褒めてもらいたくて…
認めてもらいたくて…
頑張って生きてきた

結果は、
皮肉なモンである

僕の
『難病』
すら、
伝えられていない




フランクリンより




2022年 4回目の休日に思うこと9

病気のことは、
このまま知らずにいてほしい
今更…
心配をかけるだけ…

そう思っている

じゃあ、逆に
『母親の死』を、
自分なら
どうしたいのか
どうしてほしいのか

現実は、
僕の思いなどとは関係なく、
間違いなく、
今回の
役所からの封書のように、
親戚のお節介な叔母さん連中が
知らせてくるものと
思われる


でも、本当は…
知りたい?
知らせてほしい?
知らないままの方がいい?

自分自身のことですら、
結果は出ない

それなのに、
利用者さんのことなど…
こんな重大なことなど…
結論が
出るわけないないじゃないか

でも…
出さなきゃいけない

障害福祉の立場の人間として
どこまで
彼の人生に
立ち入っていいのか
今、問われている

今回みたいなケースは
僕らも
そうそうない

計画相談の方も
初めてと
仰っていた




フランクリンより



2022年 4回目の休日に思うこと10

昨年の暮れ、
理不尽な
休日出勤を強いられ、
その影響は
その日だけではなく
前々から予定していた
外部との話し合いですら
休日出勤となり
昨日までのシフトの区切りまでの
この1ヶ月…
5日しか休んでいない

そればかりか、
日勤夜勤の通しが
2回

そのうち1回は、
労基で定められた
夜勤明けの休日も
取れていない

無茶苦茶である


そんな
疲れ切った状態の中、
舞い込んできた昨日の
東大での出来事…

『生きることを諦めた結果』
だったのか


昔の障害福祉の現場では、
『諦めさせる』
ことがあったらしい

僕は
この世代を
通ってはいない

反発することを、
脱走することを、
意見を言うことを、
何かを考えることを、
諦めさせる

諦めるまで
言い続ける
訓練させる

『ちゃんと躾をすることの出来ない家に育った人』
そんな見方を
されていた時代も
あったらしい

必要以上に関わってくる
『家族』も、
僕に言わせれば
相当な問題ではある




フランクリンより



2022年 4回目の休日に思うこと11

『諦める』
…最悪である

そこで全てが
終わってしまうから

どうしてそこまで
関わろうとするのか


『人をモノとして見ているから』

子供は自分のモノ
だから、
私が何でも一番知っているんです!
この子のことは私が一番…

一生、
おんぶ紐で
縛っておくことも出来ないのに…

『おんぶ紐で縛る』
本人を挟んでいることになっていても
気付かないでいる

『おんぶ紐で縛る』
それは
出来ないこと
なのに、
しようとする
だから
問題が起きるんじゃないのか


『自立』
障害福祉では
大切にしていること

親が代わりにやってしまう、
母子分離が出来ない親

子は望んでいないのに
無理強いを…

そうすることで
『自分で何かをやろうとする気持ち』を
根こそぎ
腐らせる…
諦めさせている

世の中では
『虐待』と
呼んでいる

叩く、罵るだけが
『虐待』
ではなく、
自立を妨げる程に手を出すことも、
逆に
全く関わろうともしない
『ネグレクト』も
『虐待』
である




フランクリンより



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僕の波瀾万丈な人生を綴ることで、誰かの何かの役に立てたらこんなに嬉しいことはないです 人に歴史あり…同じであるはずはないけど少しでも誰かの気が楽になるのなら…こんなことを考えています
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