@chablis777
シャブリ

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(剣之介)待ってください。あなたと話がしたかったんです。
私が 二代目剣之介を襲名したのは父が亡くなった翌年…昭和40年4月4日のことです。
(ひなた)えっ…。
程なくして 私は テレビ版の「黍之丞」シリーズを始めました。
テレビ向けに分かりやすくした「黍之丞」はおかげさまで人気シリーズとなりました。
しかし…私は ずっと迷っていました。
父が育て上げた黍之丞を汚しているだけなのかもしれないと。
そんな時です。
うちのお店の回転焼きです! どうぞ!
ありがとう。 頂きますよ。
私…侍になりたいです!
志を失わなければ きっとなれますよ。
まさか自分の口からその言葉が出ようとは…。
何だか気になってあのあと すぐに回転焼きを頂きました。
「大月」と焼き印が押されているとおりまあるいお月さんのような回転焼きにかぶりつきました。
すると…甘~いあんこの味が口の中に広がって…。
いつか サンタさんの言っていた言葉が耳によみがえりました。
(サンタ)おいしいあんこのおまじないじゃ。
あんこのおまじない?
♪~
♪「君と私は仲良くなれるかな」
♪「この世界が終わるその前に」
♪「きっといつか儚く枯れる花」
♪「今、 私の出来うる全てを」
♪「笑って笑って」
♪「愛しい人」
♪「不穏な未来に 手を叩いて」
♪「君と君の大切な人が幸せである」
♪「そのために」
♪「祈りながら sing a song」
♪~
まじいのう~!
何なら このあんこ。
「小豆の声を聴けえ。時計に頼るな。 目を離すな。何ゅうしてほしいか小豆が教えてくれる。食べる人の 幸せそうな顔を思い浮かべえ」。
「おいしゅうなれ。おいしゅうなれ。おいしゅうなれ。その気持ちが 小豆に乗り移る。うんと おいしゅうなってくれる」。
「甘えあんこが出来上がる」。
はあ~ えれえもんじゃ。 覚えとった。
何ですか? それ。
え~?
おいしいあんこのおまじないじゃ。
それを思い出したんですか?うちの回転焼きを食べた時に。
ええ。
「小豆の声を聴け。時計に頼るな。 目を離すな。何ゅうしてほしいか小豆が教えてくれる。食べる人の幸せそうな顔を思い浮かべえ。おいしゅうなれ。おいしゅうなれ。おいしゅうなれ」。
父は決して自分を見放したわけじゃない。ずっと見守ってくれてたんだ。
そう 腑に落ちました。
そして そのあと…。
モ… モモケ~ン!
(錠一郎)僕ら先代からのモモケンファンでして。
(剣之介)きっと草葉の陰で父は言っていたんです。「いつか この映画を撮れ。お前の左近を見つけろ」と。
あ… そうやったんですね。
志を失わなければ きっとなれる。
侍にだって 何だって。
それは 父の口癖だったんですよ。
ありがとう。 ひなたちゃん。
あの時あの回転焼きをプレゼントしてくれて。
なあ お母ちゃん 知ってた?(るい)何を?
モモケンさんが二代目襲名したん昭和40年4月4日やねんて。
へえ~!
ひなたのお誕生日やね。うん。
<知らない間に 「大月」の回転焼きが大好きな時代劇スターたちの運命を動かしていたなんて。ひなたは とても誇らしく思いました>
(森岡)お~ ひなたちゃん。 お帰り。ただいま。
(サンタ)あんたが作ったん? これ。あれ? サンタのおっちゃん?
お~ ひなたちゃんじゃ。あんた ここら辺の子ぉじゃったかな。
はい。ふ~ん。
こねえだのオーディションどうじゃった?
あ~ まだ選考中みたいです。
五十嵐っちゅう にいちゃん選ばれたらええのう。
えっ?
ひなたちゃんのええ人なんじゃろ?
あ… いや いや いや…!そんなんやありません。
おっちゃんなもう そねえなんだけ鋭んじゃ。
あのにいちゃんの時だけひなたちゃんの目つきが変わりょうった。
え…。 あっ あの サンタさん。今日は 何で ここに?
それな。 あの~「大月」っちゅう回転焼き屋 知らんかな?
えっ?うん?
えっ それやったら うちですけど…。お~ そうか。
何でですか?いやなダンゴちゃんがお気に入りの店じゃいうて…まあ いっぺん食うてみゅう思ったんじゃ。
そやったんですね。 うれしいなあ。こっちです。
おっ。
おじちゃん ただいま。(吉右衛門)お帰り。
舌の肥えたダンゴちゃんじゃ。間違えねえじゃろう。
うちのあんこは 絶品ですよ。
うん?
ひなたちゃん見てると妹を思い出すんじゃ。
おっちゃんの妹?おばあちゃんやん。
そら 今は おばあちゃんじゃ。
長えこと会うてねえからのう。ふ~ん。
何じゃあ ここか。うん そう。
お母ちゃん ただいま。お帰り。
・(錠一郎)るい?うん?
・(錠一郎)るい。 あ… るい。あの… シャツ どこやった?
あのシャツて?(錠一郎)あの~ ほらこないだ おしょうゆ こぼしたやつ。
もう お父ちゃんのシャツは皆 そうやんか。
・(錠一郎)ああ ひなた。 お帰り。ただいま。
るい…。
お名前は?るいです。
「るいです」 そっか~。かうぇえらしいのう。
お母ちゃん。このおっちゃんに回転焼き焼いたげて。
えっ? どのおっちゃん?
そやから このおっちゃん…。
あれ?
<それきり サンタはひなたの前に姿を現しませんでした>
お~。(桃太郎)大丈夫や。
PLやったら返せる! なあ お父ちゃん。おう。 桃太郎。
お待たせしました。 どうぞ。(テレビ)「今日は 延長に及ぶ熱戦。10回の裏 8対4。 取手二高リード。追い込まれたPL学園 ツーアウト」。
(テレビ)「三振!」。(2人)あ~!
清原~!(テレビ)「取手二高 初優勝!」。
負けた…。
(小夜子)残念やったね 桃ちゃん。
小夜ちゃん。
(小夜子)でも 清原君て まだ2年でしょ?
うん うん。まだ来年があるやん。
(錠一郎)小夜ちゃん。 いらっしゃい。
おじさん。 こんにちは。
小夜ちゃん? 久しぶり。あっ ひなちゃん。 いてた。
今日は休みなん。 小夜ちゃんは?私は 夏休み。
あっ そうか。ええなあ 学生は夏休みがあって。
アハハッ。(テレビ)「続いてのニュースです。桃山剣之介の主演映画『妖術七変化! 隠れ里の決闘』主人公 棗 黍之丞の敵役となる俳優が今日 発表されました」。
ひなた。 これ 五十嵐君 受けたやつか?そう そう そう そう!
何? ひなた。あんた 結果知らされてへんの?
こんな極秘情報私んとこまで来いひんて。
(テレビ)「1,500名の候補者の中から選ばれたのは…」。
おなか壊すで。(五十嵐)いいよ 別に!
そないに やけにならんでも。
お前にはな俺が あのオーディションにどれだけ懸けてたか分かってないんだよ。
あんたまだ養成所出たばっかりの新人やろ?
あの受かったやつだってまだまだ無名だろ ばか!
(轟)ばかは お前や。
監督!
お前なんか ホンマやったら書類で落ちてるわ。えっ…。
最終選考は悪なかったけどな。
まあ あれは 虚無さんに引っ張られて実力以上が出せただけや。
ほれ。 マルつけたある役お前で どやてモモケンさんが言うたはる。えっ。
わしも異論あらへんし。
あ… ありがとうございます!
頼むで。
えっ えっ。 えっ!
ん! ん ん ん!伊織…。
役名がある!えっ ちょっと…どんな役!?やめろ やめろ やめろ!破れたら どうする!
あっ ごめん。
よかったなあ 五十嵐。
おめでとう。
ありがとう。
手伝おか? 読み合わせとか。ハハッ いいよ。
何でえな。 私 うまいんやで。
うそつけ。ホンマやて。
仕事終わったら道場行くわ。来るなって。
いや 行く。
(□原)あっ いたいた。大月さん ちょっと。
はい。 また。おう。
(□原)はい。
「京都茶道家殺人事件」。
(一恵)聞き捨てならへんなあ。新しいステージの企画や。
(2人)へえ~。それで…野田さんには 茶道家役の女優さんに茶道指導をしてもらいたいんやけど。
えっ?えっ そんなつながり映画村やったらなんぼでも あるんと違うんですか?
ああ… そら あるけど…。
その女優さんは勘弁してくれってみんなに言われてしもて…。
その女優さんって もしかして…。
すみれさんや。
珠は生涯 そなた一人の…。
またですか? 懲りませんねえ。
僕は ここが すみれさんの正念場やと思うんや。
そやから 野田さん。協力してくれへんかな?
ええんやろか?教えたことないんやけど…。
あっ おばちゃんと一緒にやったら?えっ?
おばちゃん 好きそうやん そんなん。
ほな ひなちゃんも来てくれる?えっ? あっ いや 私は…。
もちろんや! 大月さんにはすみれさんのサポートをしてほしいねん。
え~!頼むわ。
何やかんやいうて すみれさん大月さんのこと気に入ってるんや。
じゃあ 今日帰ったらお母さんに言うてみます。
ありがとう。大月さんも一緒に行ってきて。
はい…。
<ひなたは にわかに忙しくなりました。Hinata suddenly became busy>


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