その日は唐突に(2)

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以下続き

ちょっとつけ加えました

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病院の入口には母が迎えに来てくれた。

急いで祖母のいる6階へ。

ナースステーションに着くと、とりあえず対面まで準備中ということで看護師さんからデイルームへ案内された。

そこで3年ぶりくらいの伯母に会った。
緊張した。3年ほど前まではお正月に祖母も連れて遊びに行かせていただいていた。でも従姉と揉めてから1度もあっていなかった。
(ブログと個人LINEに盛大な爪痕が残されている)

従姉との事を知ってるかは知らない。
とりあえずデイルームで2人ソファに座って待つことに。(母は看護師さんに呼ばれた)

とりあえず、簡単な挨拶は済ませた。ソファーに腰掛けると気まずい空気がなんとなく流れた。
私も急いで向かってきたから息を切らしているし、なんとも言えない不安から多少の動悸もあって、なんて話し始めたらいいか分からなかった。

そしたら向こうから世間話を振ってくれた。

今いくつになるの?
高校は卒業?大学?
何大学?どこにあるの?etc.....

一通り答えたら、向こうが
「つかぬ事を聞くけど、まだパパとは一緒に…住んでるの?」

(;´∀`)おぅふ…やっぱそれ今来たか…。

伯母は家の離婚騒動も知ってるし、迷惑?もかけたし、伯母自体がほぼ独り身のようなもの(離婚はしてないが)で、一見よりを戻したように見える我が家がなんとも気に食わない…というかなんというか、まあ快く思ってはいないのは分かる。

確かに、中一の時に起きた離婚・別居騒動(私の強迫性障害の悪化の要因)は心配もさせたし、呆れられたんでしょう…。

そんな話は置いといて。

とりあえず、まあここは素直に?
「まあ、"一応は"住んでます」
と、嫌だけどとりま家族を継続してますよ、と伝わるように話した。(伝わったかは知らん)

親父の調子?機嫌がいい時は、まあどこにでもありそうな家族になれそうだが、そんな日は1年で片手で数えられる程度。
あの揉めた従姉もその他諸々の身内・他人も、みんな親父の外ズラの良さに引っ張られてるだけ。デフォルトで家族への当たりは本当に酷い。
まあDV家族なんてどこもそんなもんだろうけど。

こちらからも、伯母側のみんなは元気か、と一応気を使って聞いたり。

そんなこんな受け答えをしていたら、看護師さんに呼ばれて遂に対面することになった。


早く会いに行きたいような、見てしまったら受け入れざるを得ないような、上手く言えない緊張が走った。


デイルームからすぐ近い部屋に通される。

開けられた横扉の前から見ると、小さな個室によくある病院のベッド。顔が見えないから、ドア側に頭がきているようだ。
部屋に入るのに足取りが重い。ほんと二、三歩で顔が見える。

最後に会話した入院翌日から間が空き、ようやくみたその顔は、よく映像で見るようなミイラのような、人形のような、でも祖母の顔をしたもので。
口は大きく空いており、でも目は眠るように閉じていた。顔色はまだ悪かった。

何も知らずに見たら、いつものように寝てるだけのばーちゃんにしか見えない。でも、落ち着いて胸元辺りを見ると、もうピクリとも動いていない。

顔を見て、体に触れ、少しずつ理解し、屈んでベッドの上で顔を鬱向けたのを覚えてる。

「間に合わなくてごめん」

その言葉しか出てこなかった。
思わず涙がこぼれた。

母が呟く
「この子は本当に面倒を見てきたから…」

でも伯母それに対して

「そうなのぉ〜?」
と疑い気味に。

流石に悲しみながらなんだコイツとは思った笑
でもそんなのにいちいち引っかかれるような気持ちじゃない。と思っていたら母から念を押すように

「そうだよ!この子がいちばんばーちゃんの面倒を見ててくれたのよ!」

と言い返してくれた。それでも疑うならどうでもいい。ていうか伯母一族が自分の考えしか信じにくいのは今に始まったことじゃない。クソめんどくさいプライドもばーちゃんゆずりだし。

…伯母も居るしママも急なことで泣いてない。見られたくもないから直ぐにハンカチで拭き取った。
ベット脇に用意された椅子に座り、3人で顔を見ながら話した。

それは、今後の葬儀のこともだし、お墓の事とか。でも次第に祖母の最近の話とか身内らしい会話になった。

ママいわく、口が大きく空いていたのは、入院当日からつけていた重度の人向けのマスクで悪くなってから死ぬまで酸素を増圧しながら本人も必死に呼吸していたからだとか。
苦しかったんだろうな、




対面後約1時間後の15時に冷凍庫へ運ぶ車が到着した。

祖母を預け、伯母と葬儀の日程をある程度話し合い、伯母の仕事の他に休みの日に予定があり動かせない等々要望を聞き、伯母を駅まで送り、そのまま私と母は私有車で祖母の乗る車を追うことに。


祖母のまつ葬儀屋さんに着き、祖母も隣にいる状態で早速葬儀の話し合い。

急変からの死だったため、メモ帳など一切持っておらず、また、母は一見普通のように見えるが、実際は動揺してて話が頭に入らないだろうということが私には分かっているため、失礼なのはわかりきった上でスマホのボイスレコーダーを起動させた。

案の定、会議中に印鑑をカバンから出そうとするも見つからないと焦り始める母。どうせいつものカバンのチャックに入れてるのはわかってるから、私がカバンを受け取り探すと、やっぱりあったw

普段の持ち物さえ動揺してて見つからないのだ。そりゃ急だもんそうなるよね。
悲しみ通り越して冷静沈着な私も多分どうかしてるんだとは思う(笑)こういう時に限って、頭が冴える。不思議😅 
まあ、使い物にはなるよね(笑)

諸々話し合い解散。

解散する直前、母が車の準備をしている間に、葬儀屋さんの人から、「お母様と仲がいいんですね」と言われた。
仲はいいけど、良すぎるのもどうかとは自分でも思いつつ、適当に受け流す。まあ共依存のようになっていたのも祖母やら親父やらのせいなんですが笑
まあいい。すぎた話は。

とりあえず帰宅。

この日1日何が起こったかちゃんと理解できないまま次の日がくる。親友と会っていたのかさえ疑問になるような、濃すぎる1日だった。


この日から6日たった。これを書いてるのはギリギリ23日の深夜。あと五分で明日になる。
明日は、家族葬で簡単なお別れをし、火葬する日。

死んでからの数日、忙しすぎて、でも時の流れは遅いような不思議な体感。

まだばーちゃんが生きて、動いて、会話をしていた最後の日が思い浮かぶ。
もう動かないなんて信じられない。