司法試験・予備試験合格に近づくために欠かせないのが過去問演習です。
現在実施されている司法試験は平成18年に始まった試験で、現在では約15年分以上もの過去問の蓄積があります。
予備試験は2011年に始まった試験で、現在では約10年分もの過去問の蓄積があります。
本コラムでは、司法試験・予備試験受験を考えている、あるいは受験を控えている方々に向けて、過去問演習にとりかかるタイミングや、過去問演習の効果的なやり方などを紹介していきます。
目次
過去問からわかること・身につくこと
タイムマネジメント力
過去問は最も良質な演習教材です。
過去問演習からは多くの事柄を習得することができます。
まず、司法試験は限られた時間で多くの論点を検討することが要求されるので、タイムマネジメントが重要です。
こういった感覚は、過去問演習をすることでしか身につきません。
自身の実力の把握
また、効果的な学習には、自分の実力が合格ラインにあとどれくらいで届くのかを把握することが必要です。
そこで、過去問を解いて採点・添削することで、自分の現在の実力を把握することができます。
問題の出題傾向
さらに、直近の過去問を解けば、現在の司法試験の出題傾向が分かります。
たとえば、司法試験の民事訴訟法や行政法は出題形式が独特、かつ、ここ数年変わっていませんが、刑事系科目は近年、学説問題が問われる傾向にあります。
過去問演習をすることで、リアルタイムのトレンドを押さえておくことも重要です。
自身の苦手分野
また、過去問を何度も解いていると自分が苦手な分野が明らかになります。
したがって、自分に今不足している知識やどの分野を特に勉強すべきかを明らかにする意味でも過去問演習は重要です。
このように、司法試験を目指す上で過去問を解くことは必須です。
過去問は、法務省のHPで入手出来ますが、解説が付いていないので、予備校などが出している過去問集で勉強することをおススメします。
※関連コラム:司法試験・予備試験の問題集・参考書とは?おすすめの論証集・過去問集4シリーズ
【司法試験】過去問での学習を始める時期
司法試験は予備試験と異なり、短答と論文が同時に実施されるので、過去問演習も同時に行っていく必要があります。
また、過去問は当然難しいので、法律7科目のインプットが一通り終わっていることが前提となります。
インプットを完璧といえるまで仕上げる必要はありませんが、一通り終わった段階から過去問に着手するようにしましょう。
忙しさには個人差があるので、始めるタイミングを一概に決めることはできませんが、全ての年度の短答過去問を3周、全ての年度の論文過去問を2回起案できるくらいの時間的余裕のあるタイミングで始めればよいのではないかと思います。
予備試験合格者の方は、合格発表から半年しか時間がなく、またその間大手事務所のインターンに参加していることも多いと思いますので、合格発表後ただちに過去問演習にとりかかると良いと思います。
また、予備試験合格者の方は一般的に選択科目の学習が不十分ないし初見であることがほとんどであると思いますので、過去問演習と並行して選択科目のインプットをなるべく早く終わらせるべきといえます。
司法試験の過去問は何年分やればよい?
「原則として全年度やるべき」ですが、「時間的に厳しそうであれば直近5年分」をやりましょう。
「原則として全年度やるべき」な理由としては、過去問で問われた知識・論点がそのまま問われる可能性があるためです。
例えば、平成19年刑法で問われた論点が、ほとんどそのままの形で令和2年の刑法で問われました。
「時間的に厳しそうであれば直近5年分」というのは、出題傾向の変遷があるためです。
現在の司法試験制度になってから15年程度が経過しており、その間に出題傾向がやや変遷しています。
問われていることの本質は変わりませんが、この出題傾向の変遷によって過去問の重要度も変わってきます。
科目にもよりますが、現在の出題傾向を捉えるという意味では、直近5年分くらいが参考になるといってよいでしょう。
【予備試験】過去問での勉強はいつから始める?何年分やるべき?
短答式試験の過去問を始める時期
個人差がかなりあるので一概には言えませんが、短答の過去問演習は10年分を3周くらいするのがセオリーです。
したがって、ちょうど3周くらいできる時期に始めるのがいいと思います。
学生など時間に余裕がある場合
時間が十分に取れる大学生などは、受験する年の正月頃から始めるのが良いかと思います。
もっとも、予備試験は短答・論文・口述に分かれており、この時期に短答ばかりやっていると論文に間に合わなくなってしまうので、論文の過去問もいくつか解いておき、短答式試験2か月前の3月頃からは完全に短答に集中するという感じがよいと思います。
あまり時間をとれない方の場合
他方、社会人などそもそも時間がない方は、あらかじめ短答過去問10年分を3周出来るようなスケジュールを作って早めに過去問演習にとりかかるのが良いと思います。
論文式試験の過去問を始める時期
短答式試験から論文式試験までは2か月もありません。
したがって、先述の通り、年始は短答式試験の対策と平行して論文の過去問も少しは解いておくことをおススメします。
また、短答式試験は各予備校が解答速報を出しているので、自己採点である程度合否が予測できます。
自己採点の結果がボーダーライン以上であれば、合格発表を待たずにすぐに過去問演習を再開しましょう。
できれば全ての年度を起案するのが理想的ですが、時間がない方は答案構成だけでも良いのでなるべく多くの過去問に取り組むようにしましょう。
口述式試験の過去問を始める時期
論文式試験は自分で合否を判断できないので、よっぽど手ごたえがない限り、合格発表前に口述の対策に取り掛かるのは難しいかと思います。
しかし、合格発表から口述式試験までは2週間程ととても短いです!!
したがって、この時期に全集中力を注いで口述の過去問演習を行いましょう。
口述の過去問は法務省のHPからは入手できないので、予備校から再現答案を入手するしかありません。
口述は面接で行わなければならないので、再現答案のうち問題部分を読んでくれる面接官役の友人の存在が必要です。
複数人で自主ゼミを組んで過去問演習を行うことになります。
完全に1人で学習されている方は、再現答案を1人で読むしかありませんので、なるべく模試を受けるようにしましょう。