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 バナナマンの設楽統(左)と日村勇紀
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 バナナマンの設楽統(左)と日村勇紀

現在活躍中の芸人は吉本興業に所属している人が多いが、そうしたなか東京を代表する人気コンビがホリプロコム所属のバナナマンである。

冠番組のTBS「バナナマンのせっかくグルメ!!」の他、テレビ東京「YOUは何しに日本へ?」日本テレビ「沸騰ワード10」など人気番組のMCも多い。メンバーは設楽統と日村勇紀の2人で、いずれもちょっと珍しいと感じる名字だ。

まずは設楽統の「設楽」。「設楽」で「したら」と読むのは難読と感じる人も多いだろう。しかし、「設楽」は全国ランキングの1500位以内で、数の上ではごく普通の名字。ただし、関東と東北南部に集中しており、それ以外の地域には少ないため珍しいと感じる人が多い。

「設楽」は地名由来の名字で、そのルーツは愛知県東部の三河地方。北設楽郡、南設楽郡(平成大合併で消滅)という郡があり、ここに住んだ一族が地名に因んで「設楽」と名乗ったのが祖。

この付近には足利将軍家一族の所領があるなど足利氏と関係が深く、設楽一族も足利氏に仕えて今の千葉県に領地をもらい千葉県北部に広がった。

また、戦国時代に近くから徳川家康が出たことから、設楽一族は家康に仕えてその家臣となった。のち関東に移り住み、江戸時代には旗本となっている。このため、設楽一族はルーツの地である愛知県を離れて、関東地方で広がった。

現在は、とくに埼玉県秩父地方から群馬県藤岡市にかけての地域に集中しており、設楽統も秩父の皆野町の出身。

さて、一方の日村勇紀の「日村」。こちらは誰でも「ひむら」と読めるが、全国順位は1万位以下で珍しい名字だ。それでも「樋村」「桧村」「火村」など「ひむら」と読む名字のなかでは最も数が多い。

「日村」のルーツははっきりしないが、古代豪族の日奉(ひまつり)氏に関係する可能性がある。日奉氏の村で「日村」となり、そこに住んだ人が「日村」を名乗ったとも考えられる。

日奉氏とは古代ヤマト王権で太陽(日)を祀った氏族とされ、平安時代後期に一族が東京都西部の多摩川・浅川流域に土着して西党という武士団を形成したことで知られている。

現在「日村」は山陽地方と青森県に集中しており、山陽地方では広島県東広島市付近、青森県では弘前市に集中している。日村勇紀は神奈川県出身だが、広島県東広島市の生まれである。

◆森岡 浩 姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。学生時代から独学で名字を研究、文献だけにとらわれず、地名学、民俗学などを幅広く取り入れながら、実証的な研究を続ける。NHK「日本人のおなまえっ!」にコメンテーターとして出演中。著書は「47都道府県名字百科」「全国名字大事典」「日本名門名家大事典」など多数。

2022/2/26
 

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