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fu836684.txt
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画像ファイル名:1645714320884.jpg-(115769 B)
115769 B22/02/24(木)23:52:00No.900829778+ 00:53頃消えます
※カナハクです
※これらの怪文書と設定・世界観を共有します
fu836681.txt
fu836684.txt
fu836685.txt
※長文です
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
122/02/24(木)23:52:51No.900830113+
年が開けて数週間が経った。アタシはラストランを優勝で飾り、トゥインクルシリーズを引退、ドリームリーグへの移籍手続きの最中だ。
そんな折、プレハブに一通の封筒が届いた。
「お手紙が来てましたあああああ!!!!」
「うるっさ!貸してみろエール!…えっ!?これって…」
「なんや~?」
「…結婚式の、招待状です」
「へ?」「マジッスか」
このチームは冠婚葬祭にはあまり縁がない。プレハブの縁者だとしても誰が送ってくるのだろう。
「差出人は誰だよ」「えーと…ひえええ!?」
「貸しなさい!ってえええ!?」
「お姫様もかよ!で誰なんだ」
「……ろ…ロードカナロアとハクサンムーン」
「…………は?」
全員で招待状を回し読みする。そこには確かにこう書かれていた。
222/02/24(木)23:53:14 招待状No.900830267+
謹啓 
初春の候 冬晴れの空が美しい季節となり
皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます
さて このたび私たちは結婚する運びとなりました
つきましては 日頃お世話になっております皆さまをお招きして
 心ばかりの祝宴を催したく存じます
ご多用のところ恐れ入りますが 何卒ご臨席賜りますようご案内申し上げます
謹白
20〇〇年2月✕日
ロードカナロア ハクサンムーン
322/02/24(木)23:53:27No.900830352+
……しばらくアタシたちは言葉を失った。
確かに二人の関係はある程度承知していたはずだったが、まさか本当に結婚にまでこぎつけるとは。
現代は同性婚の制度も整備され、ウマ娘同士の結婚も少なくない。しかし、それにしたって。 姐御に至ってはさっきから一言も発していない。わなわなと震える手がここからでも見えた。
口火を切ったのは、やはり姉貴だった。
「で、どうすんだ。行くのか行かねえのか」
「いやーでも…」
「ええんちゃうか😀」「トレーナー!?」
「招待されてるんやしええやん!美味い飯も食えるやろうし、オルのご褒美も兼ねて行こうや」
能天気な声。これだからコイツは…でもまあ、その一言で気がほぐれた。
言われてみればアタシは結婚式にほとんど行ったことがない。これもいい機会かもしれない。
こうしてアタシたちは招待に応じることにした。
「でもご祝儀は包んでいかなければいけませんよ」
「😩」
422/02/24(木)23:53:44No.900830451+
トレセン学園を出て高速に乗り、郊外の大都市にそれはあった。高架道路の上からでも太陽光に煌めく白亜のビルディングがよく見えた。
この街一番のグランドホテル、その地下駐車場に停車する。
「あー疲れたわ😅」
「いつも運転してる距離じゃないッスか」
「ウチのみんな連れていって車乗ることないやん…誰も酔うとらんか?」
「大丈夫でええええええす!!!!」「大丈夫ッス」「…大丈夫♥」「大丈夫です」
「みんないけてるって、行くぞコラ」「いででで!!引っ張らんといてえな😩」
ぞろぞろとエレベーターに群がり、鉄の函に揺られて地上に運ばれる。エレベーターホールに到着すると、そのままエントランスホールに飛び出した。
「広いな…こりゃ」
「すごく広いでえええええす!!!!」
「エールデカイ声出すな!…でも本当に広い!こんなの初めて…」
「照明もキラキラね!私の魔法と同じくらい!」
見たこともない豪華なシャンデリア。赤い絨毯の敷かれた大階段。きらめく大理石。空間に満ち溢れる気品。どれを取っても最高級ホテルのそれだ。
522/02/24(木)23:54:02No.900830569+
「私場違いじゃないかな…」
「大丈夫やソング!ビシッと決めとる俺がおるさかい😁」
「kmiッス。あと似合ってないッス」
「😩」
それにしても。
「ここが会場なんスねえ…」
「正確には2階の大ホールが会場ですね」
「もう結構みんな来てるから早く会場入るプイ」
「ああありがとうッス……ってええ!?」
「こんにちは、ジャスタウェイです」
「ああ~会いたかったプイ心の友よ~」
こいつらいつの間に来たんだ。プイ先輩ががっしりと抱きついてきた。
「ほー…ニヤニヤ」
「そういう関係だったのね!」
「仲良しですねえええええ!!!!!」
622/02/24(木)23:54:19No.900830678+
「なにがそういうッスか!!ええいkmiッス離れるッス!」
なんとか軟体生物を引き剥がす。
「プイ~…で、オルフェちゃんたちも招待されたプイ?」
「されなかったら何でここいるんスか。先輩も招待されたんスよね?何か聞いてないッスか」
「いいや?純粋にただの結婚式やるだけらしいプイ」
「…そうッスか。アイツらがねえ…」
「そういえばありましたね、そういうの」
「元々お前が言い出したのが火種なんスよ!」
「おっともうこんな時間ですか。それでは私は仕事がありますので」
「仕事?招待客じゃないんスか?」
「芦毛好きのよしみで司会役を仰せつかっているのですよ。原稿確認がありますので失礼」
そういってジャスタウェイは足早に去っていった。…あんなヤツに任せて大丈夫だろうか。残った先輩のほうを振り返る。
「じゃあプイ先輩は招待客ッスよね?付き添いいないんスか?」
「プププ、今頃反対側の高速に乗ってたこ焼きでも食わされてるころプイ!ここには一人で来たプイ」
722/02/24(木)23:54:33No.900830770+
「またURAにネチネチ言われるからやめてほしいんスけどそういうの」
「じゃあディープちゃんも来るか」
「一緒に行くプイ」
また勝手に…他のみんなも止める気はなく、むしろ世話を焼く始末。
「ディープちゃん疲れてない?休んでもいいんだよ♥」
「私は平気プイ」
「相変わらずちびっこいなー愚妹よりちっせえ」
「ジャーニーちゃんのほうがチビプイ」
「ああ?」
「喧嘩はやめてくださあああああい!!!!仲良くしないと迷惑になります!!」
「エールちゃんはいい子プイ…」
うるさく騒ぎながらエントランスの階段を昇っていく。既に多くの招待客が来ており、あたりはごった返している。
受付に招待状を見せ、アタシたちは会場に入った。
「「「「…………」」」」
822/02/24(木)23:54:48No.900830859+
息を呑むしかなかった。さっき見たエントランスホールを遥かに上回る広さ、明るさ、豪華さ。
巨大なシャンデリアがダイヤモンドのように輝き、ホール全体に極彩色の燦めきを投げかけている。絨毯は深く柔らかい。
天井は高く、その細部に至るまで細工と手入れが行き届いている。一言で言うと、めちゃくちゃ豪華だ。
「…なあ、俺たち呼ばれてよかったのか?」
姉貴が言うのも最もだ。背広のトレーナーはともかく、全員学生で礼服なんて持ってない。
いつものくたびれた制服姿だ。
「大丈夫プイ大丈夫。こんなの軽いよ」
「急に雰囲気変えないでほしいッス」
プイ先輩がよそ行きモードにスイッチしている。プイ先輩の参加した数々の式典に比べれば大したことないかもしれないが、こっちは庶民なのだ。
「ごっついなー…😲」
「ウチの実家のパーティーよりすごいです!!」
「エールちゃんそういえばお嬢様だったよね♥すごいなあ…」
ふと思った。カナロアはどちらかというと内向的な性格…要は陰キャ。気心の知れた人間としか付き合わないタイプだ。
とすればこんな大規模な集まりを主催したのは、こちらに向かって歩いてくる彼女なのだろう。
922/02/24(木)23:55:01No.900830942+
人混みを抜けて現れたのは、黄と青の露出度の高い豪奢なドレス。褐色に日焼けした肌。なびく鹿毛…
「あら~プイプイちゃんにオルフェーヴルちゃんね!トレーナーさんにチームの皆さんまで♡来てくれて嬉しいわ~♡」
かつて“最強の大王”と評された女傑、キングカメハメハ。ロードカナロアの実の親である。横にやってきた中年男性はその夫(元トレーナー)だろう。
「キンカメ先輩こんにちはプイ~」
「しばらくぶりね~2週間ぶりくらい!カレンさんもいらっしゃるのね!うちのカナロアが随分お世話になったわ♡」
「いえいえ私のほうこそ♥よろしくお願いしますキングカメハメハさん♥」
見ての通り絵に描いたような陽キャだ。アタシの一番苦手なタイプ。なぜこの親からあのカナロアが生まれるのかさっぱりわからない。
「どうもトレーナーさん…うちのカナロアがなにか迷惑をかけていないでしょうか」
「いえいえそんなん!むしろ一緒にトレーニングなんかもしてもろてありがたいですわ😆!ウチのんとも皆仲良うしてますし😁」
「それなら良かった…昔から人見知りが激しい子でしたから」
1022/02/24(木)23:55:14No.900831030+
旦那さんは対照的に凪いだ水面のごとき落ち着きぶりだ。なんともアンバランスな夫婦である。
「それじゃあまたご挨拶して回らないと♡今日はホテル全部貸し切りだからとことん楽しんでいってね~♡」
南洋の竜巻が過ぎ去ったような気分だ。ひとます席を見つけて座る。テーブルの名札には「ご友人方」と書かれていた。アタシの隣は姐御とプイ先輩だ。
向こうのテーブルにはキングカメハメハ一族が固まっていたり『G16勝会』と書かれたのぼりを掲げたゴルシの野郎やブエナ先輩もいたりした。特に付き合いのある人もアタシにはいないので、しばらく雑談して時間を潰しているとアナウンスがかかる。
壇上にタキシードを着たジャスタウェイが立っていた。
「えー大変長らくお待たせいたしました。それでは新郎、ロードカナロア様と新婦ハクサンムーン様のご入場の準備が整ったようです。皆様どうぞ大きな拍手でお出迎えください」
やや間を置いて、
「それでは新郎新婦、ご入場です」
1122/02/24(木)23:55:49 sNo.900831254そうだねx2
長すぎるので式の詳細は折りたたみます
fu836690.txt
1222/02/24(木)23:56:09No.900831397+
「それではお二人が退場します。どうかお二人のこれからの人生を、盛大な拍手で見送りましょう!」
ジャスタウェイのマイクにつられて会場に轟音のような拍手が響く中で、二人がゆっくりと会場を横切り、そのまま入ってきたのと同じ扉に消えていった。扉が閉まる。
このあとはエンドロール…ビデオを観たら終わりだ。そういえばもうかなり遅いが、寮に帰るのには遅くないだろうか。
「ところでトレーナー、このままでは寮の門限に遅れますが」
「え?あーしもうた!どうしよ…寮長さんにいちいち言わなあかんなこれ😅」
「あらそれは大丈夫よ?」
「カメハメハさん?」
「私たちこのホテル全体を貸切にしてるんですよ♡つまり御招待客の方々はこちらで記帳してくれればどのお部屋に宿泊しても♡」
「…だってよ。どうすんだ?実質タダだぞ」
「みんな泊まってるみたいだしいいんじゃないかプイ?」
「なんで先輩が意見してんスか」
1322/02/24(木)23:56:34No.900831559+
「まあそうやな!じゃあ俺この部屋な😃」
「イヤよ!そこ私の部屋!一人で使ってやるんだから!」
「うふふふ、まあ部屋に入る前ならいつ決めても大丈夫だから♡」
やいのやいのと騒いだ結果、プイ先輩がアタシの指を二回、軽く一回握った。ちらと目線を向けて、すぐ戻す。先輩は多角形のフロアの頂点にあたる角部屋を一人で取った。
プレハブの面々も二人ずつ振り分け、アタシが一番端っこの一人部屋だった。そこでアタシは気付く。
「あれ?カレンの姐御は?」さっきまでいたはずなのに。
「カレン?俺たちにもなんも言ってねえぞ?」
「おらんから適当に部屋決めとこか😄!」
その瞬間、トレーナーに強烈な蹴りとパンチが三発同時ヒットした。
1422/02/24(木)23:57:00 ルート1:ロードカナロアNo.900831742+
「はぁー疲れた…ムーンもう部屋かなあ」
着替えに手間取ってしまい、ムーンには先に部屋に戻っててもらうようラインしていた。僕は制服姿で廊下を急ぎ足で進んでいた。早く逢いたい。
深い絨毯を踏んで曲がり角を曲がって、そこにカレンチャンが立っていた。
僕は思わず脚がすくんだ。彼女は勝負服姿だった。黒く、白く、紅い。美しい。
いつものの笑顔はなく、切り出した岩のような真剣な顔で。
「…………あの子のところに行くの」
優しくも厳しくもなく、そしてどちらでもあった。僕は…一歩進んだ。
「うん。逢わなきゃいけないんだ」
人生で一番はっきりと発音したと思う、僕の言葉が誰もいない廊下に響く。彼女は笑った。
「…そう。それなら…よかった」
よかった…良くはないだろう。でも僕は進まなくちゃならない。だから、進んで、歩み寄る。手を取った。
「カレンチャン…僕は本当に感謝してる。貴方がいなければ僕は今ここにいなかった。だからこそ」
逃げない。逃げることはカレンチャンへの、なによりムーンへの裏切りだ。
「…ありがとう。心からそう思ってるよ」
1522/02/24(木)23:57:13No.900831827+
「………わかった。ハグ、しよっか」
腕を広げる。翼のように華麗じゃなくて、慈母のおおらかさでもなかった。
静かに抱擁しあう。大きく見えた憧れの先輩の背中は、腕の中に収まるほど小さかった。
「…大きくなったね」カレンチャンが小さく呟いた。
身体が離れる。僕は彼女の顔を見てしまう前に、エレベーターの開いた扉に滑り込んだ。
扉が閉じる。もう開くことのない鉄の扉を、彼女は見つめていた。
世界一美しくて寂しい彫像は、いつまでもいつまでもそこに立っていた。
1622/02/24(木)23:57:40No.900832000+
エレベーターシャフトに振動が伝わり、鉄の籠が遥か上空へと運ばれてゆく。長い長い上昇の末、やがてシャフトの頂点に達し、停止する。
扉を開けてロードカナロアが足を踏み入れたのは、このグランドホテルの最上階、スペシャルスイートルームフロアである。
広大な一フロアをわずか9部屋に割り当てたこのホテル最高の客室、その対応カードキーを持ち彼女は円形の回廊を歩く。絨毯に足音を吸われ、高貴な空気に包まれた回廊には物音一つすら大きく響く。
「0999」と銘されたプレートがかかったドアの前に来ると、金色のカードキーを取り出し鍵をアンロックした。中に入る。
扉を閉めるか閉めないかというときに、カナロアの首にハクサンムーンがかじりついた。
「あなた♥♥」
「ただいま」
改めて彼女を抱擁する。強く、情熱的に。どちらともなく唇を合わせ、唾液の音が広い室にこだまする。唇を離して、ようやくカナロアは息をつく。
「あぁ~つかれたぁ~…」
「お疲れ様♥カナロアこういうの得意じゃないもんねー」
「本当だよ母さんさえ言わなきゃ…あっもちろんムーンといられるのは嬉しかったよ!」
1722/02/24(木)23:58:55 ルート1:EndNo.900832471+
慌てて取り繕うカナロアの腕を取り、ハクサンは笑顔で頷く。
「わかってる。私はぜーんぶわかってる。しんどかったけど我慢したんだよね。えらいよ、とってもえらかったよ」
カナロアはその腕を取り、額に押しつけた。小さく感謝の言葉を途切れ途切れに口にした。ハクサンは声の調子を変えた。
「それよりさ!もう全部終わったんだから…思う存分楽しみましょ?朝までゆっくり、新婚初夜のハネムーンを♥」
「…そうか…そうだよね♥」
カナロアは立ち上がり、ハクサンの腕をつかみ腰に手を回す。広いリビングにダイニングを抜け、螺旋階段を上りベッドルームに導く。壁は一面が巨大な格子状のガラス窓になっており、優しい月光が部屋に満ちていた。
大きなベッドに抱きかかえたハクサンを軽く投げ出すと、小さな身体が弾んだ。着替えた後の制服のままだった彼女に、カナロアが上からのしかかる。
胸元に手をかける。ファスナーを外し、上下に分かれて脱がせ、ベッドの脇に放る。
「カナロア…私をお嫁さんにしてください♥」
「ずっと一緒だよムーンっ♥♥♥」
ふたつの身体が重なり、月の影の中に溶け落ちていった。
1822/02/24(木)23:59:23 ルート2:キングカメハメハNo.900832670+
新郎新婦たちが結ばれたその三つ隣「0996」号室では、新郎の両親二人が湯から上がったところだった。
「今出たよー」
「はーい」
ベッドに座る夫の前に現れたのは、バスタオル一枚を巻いたキングカメハメハだ。湯気を漂わせ、拭いきれぬ汗で湿っている。
「いやー…結婚しちゃったねえ、カナロア」
「正直実感ないよ。あんなに人見知りだったのに」
「それだけお嫁さんがいい子なんでしょうよ♡それより…」
カメハメハが夫の腕を抱き寄せ、押しつける。パジャマが胸に触れ、汗でじんわりと濡れる。
「…最近やめたんじゃなかったのかい」
「そりゃあ年だものね。でもあの子たちを見てて思ったの、まだまだ早いって♡」
「なら仕方ないなあ」
1922/02/24(木)23:59:40 ルート2:EndNo.900832777+
妻の手首を掴み、ベッドに引き倒す。小さな声が漏れる。
「君は昔から全然変わってないよ。思い立ったらそれをせずにはいられない…たとえ変則二冠という故障必至の挑戦であろうが、大会社の設立であろうが…新しい子供であろうが」
「アナタはいつもそれを支えてくれたものね」
「君が夢を追う姿はいつだって綺麗だからね」
カメハメハはすっかり赤面しながら、タオルを開いた。
「今夜もわたしを…アナタの好きにして♡」
その瞬間、夫の理性の糸はぷっつりと途切れた。
2022/02/25(金)00:00:04 ルート3:ジャスタウェイNo.900832973+
「ふうー…喉が疲れましたね」
廊下を足場に歩くのは、つい一時間前まで司会を務めていたジャスタウェイである。レンタルのタキシードから制服に着替えた彼女は、エレベーターに乗り込み56階のボタンを押した。
階数表示が切り替わるデジタル数字を、ジャスタウェイは待ち遠しそうに見上げている。尻尾が規則正しく揺れる。エレベーターが停止した。
自動扉が開くや否やするりと間を抜け、ほどなくとある部屋の前で立ち止まる。
「5643」の扉をカードキーで開けると、音もなく中に滑り込んだ。
客室は二部屋に分かれている。奥の部屋に入ると、窓際の籐の椅子にバスローブ姿のゴールドシップが座っていた。紅い液体の注がれたグラスを揺らしている。
ジャスタウェイのほうをゆっくりと見る。ヴァイオレットの瞳がより一層煌めいて見えた。
「おかえり、ジャス」
「ただいまですよ我が友」
リラックスした様子でジャスタウェイはベッドに腰掛ける。大きくため息をつき、胸元をゆるめた。
「お疲れ様だったなー。超疲れてたからアタシが途中から代わってやろうかなーって何度思ったか」
2122/02/25(金)00:00:24 ルート3:EndNo.900833101+
「だめですよシップ。貴女がやったら貴女の舞台になります…主役はあの二人ですから」
「んー、そう言われちゃあしょうがねえ」
ゴルシはグラスに入ったファンタを飲み干し、サイドテーブルに置く。
「そういうシップはどうでした?お二人の晴れ姿」
「そりゃあ綺麗だったわ。めっちゃ幸せそうだったしなー」
「そう…そうですよね。ねえ…シップ?」
息が荒くなる。ジャスタウェイはベッドに四つん這いになり、親友…いや、恋人の元に這い寄っていった。胸元が開いている。
「私達も…あれくらい、もっともっと…幸せになりましょう?」
「もちろんだジャス…ずっと一緒だ♥」
ゴルシが立ち上がり、歩み寄ってジャスタウェイを捕まえる。お互いに布を放り捨て、部屋の照明が消える。ベッドサイドランプの仄かな光の中に、絡み合う恋人たちの姿がかすかに見えた。
2222/02/25(金)00:00:50 エピローグ/ルート4:オルフェーヴルNo.900833267+
部屋割が決まり、カレンの姐御からも「すぐ戻るね」とラインが来たことでアタシたちは安心し、揃ってエレベーターで34階に昇った。
デュランダル先輩がトレーナーと同室に強引に入り、姉貴・スイープ先輩、姐御・ブラワン、エール・ソング、そしてアタシの一人部屋という構成だ。
「大丈夫かよ愚妹~?一人ぼっちで怖くておねしょしても知らねえぞ~?」
「姉ちゃん!!!」
「相変わらずすごいホテルやわ~😅」
「はやくお部屋入りましょおおおおおお!!!!!!」
「だから静かにしろってエール!」
割り当てられた部屋に入る。アタシは少ない荷物を部屋に置き、ベッドに座った。スマホを取り出すと。ラインの通知が入っていた。
チームでグループラインにカレンの姐御が帰ってきた旨が出ていた。ずいぶん時間を空けていたが、聞いても答えてはくれなかった。トイレでも行ってたのだろうか。
「それより…と、あった」
通知が一件、見られたときのために「P」とだけ書いてあるアカウントから。メッセージは
「11時 2.1」とだけある。十分だ。
2322/02/25(金)00:01:03No.900833360+
トレーナーの部屋に集まって駄弁ったり解散してからラインで話したりして、10時ごろになんとなく全員が寝入っていった。アタシは部屋で一人時間を潰していた。
10時50分。そろそろ時間だろう。カバンに着替えとタオルを詰め、アタシは廊下に出た。
首を乗り出して誰もいないか確認し、音をたてないように歩く。角部屋の前に来たときには10時58分だった。腕時計を睨む。
時計の秒針が、コチ、コチ、コチ、と動いている。その音一つ一つがアタシの肉に食い込むように痛々しい。秒針が0を指した。
はやる気持ちをおさえてノックする。二回、間隔を開けて一回。ロックが開く音がした。
「来たね」
タオルだけを巻いて微笑む先輩の瞳。海の底のような深みから、何かが立ち昇ってくる。
引き寄せられるようにアタシはその身体にしがみついた。あったかくて、いいにおい。
「かわいい♥」
2422/02/25(金)00:01:29 ルート4:EndNo.900833527+
もつれるようにベッドに倒れ込んだ。ああ、これからシちゃうんだ。
「ねえオルフェーヴル」
「何…ですか…」
息がかかる。それだけで、あたしは、もう
「好き♥」
もうだめだ。あたしは一生、この人のものなんだ。わかってしまった。
瞳を覗いてしまったから。その奥にある、深い衝撃を観てしまったから。
あたしは深い海の底へと溺れていった。幸せな、甘い窒息だった。
2522/02/25(金)00:01:53 エピローグ:EndNo.900833647+
「ねえジャーニー」
ベッドの上でパジャマ姿のスイープが棘のある口調で訊く。
「なんだよお姫サマ」
「アイツらほっといていいの?」
「…いいんだよ。アタシの妹だ」
小さな身体をベッドに投げて、ジャーニーは大の字で天井を見ている。
「それにあんなバレバレじゃあいずれ見つかってただろうさ。その時の相手がマスコミだったりしてみろ」
「だから…!」
「だからだよ。愛だの恋だの洒落くせえけど、それぐらい好きにしてもいいだろ?みんな了解済みだしよぉ…あ?聖剣」
振動するスマホを取ると、慌てた声が聞こえてきた。
『ジャーニー、オルフェーヴルが電話に出ないのです。ラインも未読ですしどうしようかと…』
「…あんの朴念仁が」
ジャーニーは小さく悪態をついた。
2622/02/25(金)00:02:07 おわりNo.900833718+
白亜の城に朝日が差すまで声は響き続いて、もはやどの声をも判別することはかなわなかった。
2722/02/25(金)00:02:44 おまけ:利用明細No.900833926そうだねx5
キングカメハメハ様宛 メジロハッピーウエディングサービスご利用明細
メジロハッピーウエディングサービス
・会場手配(メジログランドホテル) 全館一日貸切
・結婚式進行サービス
弁償
・ベッド(破壊) 4台
・客室(汚損) 4部屋(スペシャルスイートルーム含む)
割引
・一心同体割(60%OFF)
・うまぴょい大成功割(30%OFF)
・フォーエバーウエディング特別割(50%OFF)
この度はハッピーウエディングサービスをご利用いただきありがとうございました。
今後のお二人に更なる一心同体があらんことを願っております。
2822/02/25(金)00:13:02No.900837686そうだねx3
ウワーッ!?すごい物量!?
2922/02/25(金)00:15:32 sNo.900838569そうだねx2
合計13000字(省略部分2000字)です
長くなって申し訳ありません
3022/02/25(金)00:17:34No.900839281そうだねx4
プレハブ周りの幻覚大集合すぎて語彙力がトプロになる…すごくすごい…
3122/02/25(金)00:24:00No.900841377+
ついに幻覚世界にまでメジロシティが…
3222/02/25(金)00:24:13No.900841451+
すげぇ…キンカメパートまである…
あと久々に見たなぁ!メジロ明細!!
3322/02/25(金)00:31:31 sNo.900843582そうだねx5
    1645716691414.png-(47343 B)
47343 B
長らくお付き合いいただきありがとうございました
これにてカナハク怪文書サーガは一端完結となります
これでもう思い残すことはない…
3422/02/25(金)00:32:18No.900843818そうだねx3
待てー!死ぬなー!
3522/02/25(金)00:33:47No.900844227そうだねx2
>長らくお付き合いいただきありがとうございました
>これにてカナハク怪文書サーガは一端完結となります
>これでもう思い残すことはない…
もっと未練残せ
3622/02/25(金)00:36:48 No.900845048そうだねx1
>もっと未練残せ
ではもっとカナハク怪文書ください…
あのブエディザの「」じゃありませんがそのときまで手書きと怪文書を続けます
とりあえず残弾が三発ほどあるのでそれを解放してからにします
3722/02/25(金)00:40:27No.900846084そうだねx1
>弁償
>・ベッド(破壊) 4台
>・客室(汚損) 4部屋(スペシャルスイートルーム含む)
ひどい
3822/02/25(金)00:42:07No.900846568そうだねx1
>>弁償
>>・ベッド(破壊) 4台
>>・客室(汚損) 4部屋(スペシャルスイートルーム含む)
>ひどい
まあウマ娘同士のパワーでうまぴょいすればこうもなろう…
3922/02/25(金)00:50:31No.900848888そうだねx2
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25372 B
それではまたこちらの夫婦と共にお会いしましょう
4022/02/25(金)00:52:47No.900849536そうだねx1
本当にカナハクなんて「」しか書いてないからありがてぇ…

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