プリップリの食感がたまらない「エビ」。でも、豊洲市場でその道のプロに伺うと「エビはプリプリじゃない」という驚きの言葉が!実は、私たちは食感ばかりに気をとられて、エビが本来持っているうまみを最大限味わえていなかったことが判明。しかも、食感だってプリプリくらいでは済ませられない“究極の食感”が!でも、殻むきも面倒だし、中までちょうどよく火を通すのも難しいから、エビは外で食べるもの…と思っていませんか?そんな悩みを吹き飛ばして、異次元のおいしさを実現するワザを、甲殻類専門の料理人が直伝。もちろん、おうちで簡単にできちゃいます!
プリプリじゃない! プリプリプリプリプリプリプリ(7プリ!)
おいしいエビを一言で表現すると、よく使われる言葉が「プリプリ」。しかし、最新科学で調べてみると、エビの食感は1かみで「プリプリ」では無く、その構造上「プリ」が7回になることが判明。
エビはいわば全身が筋肉。その筋肉構造をCTで詳しく調べてみると、3種類の筋肉が左右対称の荒縄のような構造をしていたんです。表皮膜をかみ切ったときの「プリ」と、3種類の筋肉を左右合わせて6回かみ切る「プリ」の計7プリ。あのプリッとした食感は、主にエビならではの強じんな筋肉の束をかみ切っているからこそ。せっかくのおいしさ、ぜひかみしめてみてください!
画像提供:東洋食品研究所
豊洲のプロいわく「エビはプリプリだけじゃない!」…せっかくのうまみ逃していませんか?
一方、エビの魅力というと「プリプリ」ばかり言いがちな風潮に、物申すのは豊洲市場のエビのプロたち。エビの魅力は、プリプリ感よりも「うまみ」や「甘み」などの味にあるので、それをちゃんと味わってほしいといいます。
実際、うまみ成分の1つグルタミン酸の量は、魚介類の中でも非常に多いんです。にも関わらず、日頃あまりうまみを感じていない人も多いはず。丸い筒状の形をしているエビを加熱する際、中心部まで火をちゃんと通そうとすると、どうしても周囲の部分は火が通り過ぎになってしまいがち。しかも、エビには骨がないので強じんな筋肉がギュッと縮まって丸まり、せっかくのうまみエキスを絞り出してしまっていたんです。これはもったいない!
エビを極めた料理人直伝 エビのうまみを逃さない調理のワザ
つい加熱しすぎになってうまみエキスを逃してしまう…調理が難しいエビ。そこで、エビを極めた料理人に尋ねてみると、ありがたいことに長年の修行で見いだした調理の秘けつを明かしてくれました。一番重要なポイントは「エビの身を開くこと」。開くことで筒状の状態に比べて、短時間で均一に火が入るように。しかも、わかりにくかった火の通り具合も、身の透明度で一目瞭然に。加熱しすぎを防げるので、うまみエキスを存分に味わうことができちゃいます。
エビの焼き蒸し
※フッ素樹脂加工などの「空だき禁止」のフライパンは使わないで下さい
[材料]
2人前
- 殻付きエビ 6尾(ブラックタイガー、アルゼンチン赤海老、バナメイなど)
- 塩 少々
- サラダ油 大さじ1
- 水 大さじ1
- 塩水(水500ml塩15グラム)
[作り方]
- エビは有頭の場合は頭を取る(頭の活用方は後述)
- 尾にあるトゲを取る
- 包丁や鋏で背中から切って開く
- ボールなどに3%の塩水を用意し、開いたエビを洗う
※背腸や砂などがあれば取り除く - さっと水気を拭き取り、塩を適量振りかける
- 火を強火にしてフライパンを熱し、煙が出るまで予熱する
- フライパンに油を入れ、エビの殻を下にして並べる
- 殻に火が入り香ばしい香りが出てきたら(目安は焼き始めから20~30秒程)
水を入れて蒸す - 10秒蒸せば完成
※身に透明感が残っている場合は蒸し時間を追加
★エキスが落ちないようにお皿に移し、熱々をお召し上がり下さい!
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開きエビフライ
[材料]
2人前
- 殻付きエビ 6尾(ブラックタイガー アルゼンチン赤海老 バナメイなど)
- 塩水(水500ml塩15グラム)
- 薄力粉 適量
- 卵 1個
- パン粉 適量
- 油 適量
- 塩 少々
- こしょう 少々
[作り方]
- エビはしっぽを残して殻を剥く
- 尾にあるトゲを取る
- お腹から切れ目を入れ背中のギリギリまで開く
- ボールなどに3%の塩水を用意し、開いたエビを洗う
※背腸や砂などがあれば取り除く - 水気を拭き取り、塩こしょうする
- 薄力粉 溶き卵 パン粉の順に衣をつける
- 揚げ鍋に油を入れ190度にしてエビを入れる
- エビの大きさにもよるが15秒程度で完成
★高温の油で短時間で火を通すのがポイント!
開きエビの刺身
[材料]
2人前
- 刺身用エビ 6尾(クルマエビ、甘エビ、アルゼンチン赤海老など刺身用と記載されているもの)
- 塩水(水500ml塩15グラム)
- 氷
[作り方]
- 刺身用の海老の殻を剥く
- 腹から切れ目を入れる
- 3%の塩水に氷を入れ冷やし、開いたエビを入れてさっと洗う
※背腸や砂などがあれば取り除く
※つけすぎると塩が入ってしまうので、手早くさっと洗う - 水気を拭き取り、お皿に盛って完成
エビのビスク(頭と殻の活用法1)
[材料]
2人前
- エビの頭や殻 350グラム(ブラックタイガー、アルゼンチン赤海老、甘エビ、バナメイなど)
※頭や殻は一度に量が集まらない場合は冷凍ストックしておく
※アルゼンチン赤エビは頭の中に砂袋があるので必ず取り除く - 日本酒 大さじ3
- サラダ油 25ml
- 野菜ジュース 200ml
- 水 400ml
- 生クリーム 少々
- 塩 適量
- 黒こしょう 適量
- 水溶き片栗粉 適量
[作り方]
- 鍋にサラダ油を入れ、エビの頭、殻を入れて火にかける
- 中火くらいで焦げないようにじっくり火を入れる
- 香ばしい香りが出て、鍋肌に薄く殻のエキスがこびりついてきたら、日本酒を加えて鍋肌にこびりついたうまみを落とす
- 全部落としたところで野菜ジュースと水を加え、いったん強火に
- 沸いてきたら、中火に落として3分ほど火を入れる
- 火からおろしミキサーで砕く(目安は5秒程度)
※一気に入れると吹き出すので、何回かに分けて入れる - ザルなどでこす
※上からしゃくしなどで押してエキスを全て出し切る - こしたスープを鍋に移し、中火にかける
- 沸いてきたら塩で味を整え、水溶き片栗粉を入れてとろみをつける
- 器に注ぎ、生クリーム少々を回し入れ、上から黒こしょう少々かけて完成
加藤さん愛用 エビ油(頭と殻の活用法2)
[材料]
- エビの頭や殻 適量(ブラックタイガー、アルゼンチン赤エビ、甘エビ、バナメイなど)
※アルゼンチン赤エビは頭の中に砂袋があるので必ず取り除く - 油 適量
[作り方]
- 鍋にエビの頭や殻を入れ、油をひたひたより少し少な目に入れる
- 火にかけて木べらなどで頭を潰しながら煮る
- 最初大きかった泡がどんどん小さくなり、油に赤く色づいて香りが出てきたらOK
- ザルに移してこす。
※木べらなどでよく押してしっかり絞る。
★冷ましてから瓶などに入れて保存するといろいろな料理に重宝!
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究極のエビチャーハン(エビ油の活用法1)
[材料]
2人前
- ご飯 400グラム
- エビ油 大さじ6
- 卵 2個
- 開きむきえび 10尾(ブラックタイガー、バナメイ、アルゼンチン赤海老など)
- ねぎ 適量
- 塩 適量
- こしょう 適量
- 薄口しょうゆ 適量
[作り方]
- エビの殻を剥く
- お腹から切れ目を入れて開く
- ボールなどに3%の塩水を用意し、開いたエビを洗う
※背腸や砂などがあれば取り除く - 水気を拭き取る
- 強火でよく熱したフライパンに海老油を入れ、開いたエビを背側を下にして並べる
- エビが丸まってきたら、数秒炒めてエビを一度フライパンから取り出す。
- フライパンにエビ油が残った状態で再度強火で加熱し(油が足りない場合は追加)、煙が出る程度にまで予熱し、卵を入れて素早く混ぜる。
- 温めたご飯を入れ、卵とよく混ぜながら炒める
★米粒一粒ずつにエビ油と卵をコーティングさせながら炒めるのがポイント! - 仕上げにエビを加え、塩こしょうで味つけし、鍋肌に薄口しょうゆを少々加えて香ばしさを出す。
- 味見をしてOKならば、小口ネギを入れてあわせたら完成。
開きエビのアヒージョ(エビ油の活用法2)
[材料]
2人前
- 開きエビ 6尾(ブラックタイガー、バナメイ、アルゼンチン赤海老など)
- マッシュルーム 3個
- 塩 適量
- ニンニク 2かけ
- たかのつめ 1本
- エビ油 100ml
- 塩水(水500ml 塩15グラム)
[作り方]
- エビはしっぽを残して殻を剥く
- 尾にあるトゲを取る
- お腹から切れ目を入れ背中のギリギリまで開く
- ボールなどに3%の塩水を用意し、開いたエビを洗う
※背腸や砂などがあれば取り除く - 水気を拭き取る
- 鍋にエビ油を入れ、ニンニク、たかのつめを入れて火にかける
- 弱火でじっくり加熱をしてニンニクの香りを引き出す
- 火を強火にしてカットしたマッシュルームを入れ熱を通す
- エビを入れ、丸まってきたら温めた耐熱皿に移し、塩を適量振って完成
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