ミサイル160発、首都制圧狙う=ロシア軍侵攻3方向、137人死亡―チェルノブイリ掌握・ウクライナ
このニュースをシェア
【2月25日 時事通信社】ロシア軍が24日に開始したウクライナへの本格侵攻について、米国防総省高官は同日、ロシアがミサイル160発以上を発射し、軍事施設や滑走路を攻撃したと明らかにした。ウクライナのゼレンスキー大統領は、民間人を含めウクライナ人137人が死亡し、316人が負傷したと発表。ロシア軍は3方向から侵攻しており、首都キエフ制圧による中央政府の「無力化」を狙っているとみられる。
高官によると、ロシア軍は夜明け前の開戦直後に、短距離弾道ミサイルや巡航ミサイルなどを撃ち込んだ。爆撃機約75機も約10カ所の滑走路を標的にした攻撃に参加。地元メディアは、ロシア軍が24日夜までにキエフ北方のチェルノブイリ原発やその周辺地域を掌握したと伝えた。
ただ高官は、攻撃に加わっているのは国境地帯に集まった部隊のわずか一部にすぎず、「大規模侵攻の初期段階」とみられると指摘している。これに対しゼレンスキー氏は24日、予備役の動員を加速するため総動員令を発令。劣勢からの立て直しを図る。
ロシアは目下、(1)ベラルーシから南下(2)クリミア半島から北上(3)ロシア南西部からウクライナ北東部ハリコフに進軍―の3ルートで進軍している。国防総省高官は「これらの部隊がキエフを目指していることを考えると、ロシアには基本的にウクライナ政府を無力化し、別の統治体制を導入する意図がある」と分析した。
国防総省によれば、戦闘はキエフ中心部から約32キロの地点でも行われている。現地からの報道では、クリミア半島付近やハリコフ一帯でも交戦が続いている。
ゼレンスキー氏は25日未明に公表した映像メッセージで、「敵の破壊集団がキエフに侵入している」と発言。キエフを対象に発令した午後10時から午前7時までの夜間外出禁止令を守り、注意深く行動するよう市民に要請した。また、ロシアとの戦いで「置き去りにされている」と訴え、国際社会の支援が十分に得られない現状を嘆いた。
キエフでは外出禁止令の時間帯は公共交通機関の運行が止まるが、地下鉄駅はシェルターとして市民に開放されるという。(c)時事通信社