「ひとり情シス」という言葉をご存じだろうか?
「ひとり情シス」とは、中堅中小企業において社内の情報システムを一人で担当している状態を指す。一人から二人に増員される傾向もあるものの、今まで情シス担当者が不在のゼロ情シス企業が一人目の情シスの任命をすることもあり全体でひとり情シス企業は増加傾向にあるという。
そんなひとり情シス企業および中堅中小企業はテレワーク導入に際して、どのような課題を抱えているのだろうか。
スプラッシュトップ株式会社ではこのほど、一般社団法人 ひとり情シス協会とともに従業員50名から500名までの独立系、大手企業グループ会社系の日本国内の中堅中小企業を対象とした「ひとり情シス・テレワーク実態調査」(有効回答数:中堅中小企業全体:1846名、ひとり情シス企業:719名)を実施した。
テレワーク導入に三つの壁
調査によると、中堅中小企業およびひとり情シス企業のテレワーク導入に向けて、三つの壁があることが判明した。「第一の壁」はテレワーク導入前の障壁、「第二の壁」は週3日以上導入までの障壁、「第三の壁」は全日実施に至るまでの障壁だ。それぞれの壁で異なる課題が浮き彫りになった。
【テレワークの導入日数と導入に至る課題 n=1846】
第一の壁では、「エッセンシャルワーカーへ気遣い」など心理上の課題が特長として挙げられる。併せて「PC・周辺機器の調達不足」などそもそものテレワーク初期環境の未整備の課題も見られた。第二の壁では「社内システムがリモートで使えない」などシステム上の課題が特徴だ。第三の壁では「Job型」への移行など働き方の課題と三つの壁それぞれの課題の傾向が見られた。
週一日実施のテレワークが最も満足度が高い
テレワークを実施する日数別にテレワークの満足度を調査したところ、週一日が63%と最も高く、週二日56.7%、週三日が53.6%、週四日が49%と日数が増えるごとに満足度が低下した。
満足度の低下は、一部にペーパーレス化していないプロセスや社内のシステムがテレワーク環境下で全て使うことが出来ない等、デジタル化が十分ではなく従業員に不満を蓄積させているなど要因が明らかになった。
【テレワーク導入数別満足度 n=1846】
<「ひとり情シス・テレワーク実態調査」概要>
・調査名 :「ひとり情シス・テレワーク実態調査」
・調査期間 :2021年12月13日(月)~ 2021年12月31日(金)
・調査方法 :インターネット調査
・調査企業 :従業員50名から500名までの独立系、大手企業グループ系の中堅中小企業
・調査対象者:ITの意思決定に関与する方
・有効回答数:1846名
その他の調査結果について
■テレワーク実施率は低下傾向
調査は、2021年12月に行われたこともあり、オミクロン株による本格感染が急拡大する第6波前でもあり楽観的な見通しが支配的で実施率は25.4%と低水準なものになっている。また「テレワーク業務自体が無い」と回答した企業が5%とコロナ発生後最高値になり、テレワークへの適用をあきらめた傾向が確認された。
【テレワーク導入率の推移】
(出典:株式会社バーソル総合研究所、ひとり情シス・ワーキンググループ、ひとり情シス協会調査より作成)
■テレワーク実施企業の6割は週2日以内
テレワーク実施企業25.4%の実施日の日数内訳を調査したところ、週一日の実施企業は38.5%、週一日は23.6%で双方合わせると62.1%に上り実施企業でも週2日以内が過半数を占めた。企業によっては「週3日、社員の6割以上」を目指している途上との回答もあり、現状3日のハードルは高いことが判明した。
【テレワーク実施企業数の日数内訳 n=1846】
■ひとり情シス企業のテレワーク率は、中堅中小企業平均を5.6%下回る
ひとり情シス企業は、サーバーの仮想化やクラウド利用などにリソースを避けずに保守的になることが多く、テレワーク実施についても5.6%低いことが判明した。ひとり情シスは、今回のコロナ禍のテレワーク導入などの急激な環境変化に対応できにくいことも類推される。
【中堅中小企業(n=1846)ひとり情シス企業(n=719)のテレワーク導入率および課題】
■45%の企業でPC・周辺機器の準備不足が原因でテレワーク実施の障壁に
会社が社員へ十分に携帯性に優れたノートブックの支給や、個人所有のパソコンにリモートデスクトップソフトを導入することへの不安など、PCや周辺機器に課題がある企業が45%に達することが判明した。
中堅中小企業ではテレワークのIT予算を支給するのが難しい面が浮き彫りになった。さらに、ネットワーク回線の帯域不足や通信費用などに課題がある企業が56%、セキュリティリスクを感じる企業が67%だった。
出典元:スプラッシュトップ株式会社
構成/こじへい