日本テレビの「ザ!世界仰天ニュース」(火曜後9・00)が22日に放送され、元ロッテ投手で2004年に犯した強盗殺人の罪で無期懲役となり、現在服役中の小川博受刑者(59)について扱った。

 小川受刑者は高校時代に3度の甲子園出場を果たし、大学を経て1984年ドラフト2位でロッテ入り。甘いマスクで高校時代から人気があり、プロ野球でも88年にオールスター出場、リーグ最多のシーズン204奪三振と結果も残しつつあった。だが、銀座のクラブ通いなど派手な生活を送り、金遣いが荒かったところ、右肩を痛めた時期にチームメートに誘われて行った気晴らしのギャンブルにはまり、それをきっかけに転落が始まった。

 引退後には年俸700万円でコーチの職につき、この時点では住宅ローンが1000万円残っているだけだったが、浮気もあって当時の妻と離婚すると、離婚の2カ月後にはクラブで知り合った女性と再婚。2人の子供も授かった。だが、前妻への慰謝料や前妻との子供の養育費に加えて派手な生活をやめることができずに球団内でも借金を重ね、母に預けてあったプロ入り時の契約金4200万円もすべて使い果たした。それでも妻にさえ見栄を張って借金があることを言えず、40歳で球団を解雇された時には消費者金融などからの借金が1700万円に。自己破産して一度は清算したものの、これを機に妻がお金の管理をするようになり自由に使える金がなくなると、当時就職していた会社の慰労会用にと渡されていた10万円のうち3万円を私的に流用した。この3万円を妻に言えず、すでに自己破産していて消費者金融では借りることができないため法外な利子を取るいわゆる“闇金”で借金するようになった。

 再現ドラマで徐々に明らかになっていく小川受刑者の転落劇に番組MCを務める笑福亭鶴瓶(70)が「羨望の眼差しで見られていた時期があったっていうのが…」と苦しそうに話すと、同じく番組MCの中居正広(49)は「忘れられないんでしょうね」と話を引き取った上で「何回かきっかけはあったような気がしますよね」と複雑な表情。ゲスト出演していた女優の小松菜奈(26)も「どんな仕事でもいい時も悪い時もあると思うし。母親にはお金のことはちゃんとしなさいってずっと言われてました。1円でも貸し借りは絶対しないでっていうのもずっと言われていたので…」と話した。

 結局、小川受刑者は“闇金”での借金を別の“闇金”で借りて返すことを繰り返すようになり、元金10万円に1週間で3万円の利子がつくことも。母親に内緒で実家を担保に借金したほか、借金を返すはずの借金をパチンコで使ってしまうなど悪循環。最後は利息3万円を含む4万3000円を“闇金”業者に支払う期限の午後7時まで40分に迫ったところで会社の会長宅に押しかけ、家政婦に4万円の借金を断られると暴力をふるって気絶させ、その間に175万円を盗む犯行に。さらに気絶している家政婦の女性を車に乗せ、気がつきそうになると何度も殴った末に川へ遺棄するに至った。

 犯罪心理学の専門家は「現実を検討する能力が著しく劣る」とこういった犯罪者の共通ポイントを明かし「前に栄華を感じてしまったり、すごいとほめられてしまったり。(今の自分は)そんなことない、現状はこういうところに来ているのにまだそのギャップが自分の中で埋められない」と分析した。また、小川受刑者が獄中から知人宛てに送った手紙の中身も公開され、そこには面会に来てくれた母親について「久しぶりに会う母は私の前では気丈に振るまっていましたが、顔にしわが増え、老いた様子でした。私が犯罪者になったことにより母には寂しい思いをさせてしまっています」などと後悔がつづられ「父が建てたあの家。今の私にはあそこしか帰る場所がありません」「一瞬の迷いとはいえ、いま思えばなぜあんなことをしてしまったのかと後悔の念です」「日々、事件で亡くなられた被害者の冥福を祈っています」などとも書かれていた。