朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第17週「1983-1984」
第80回〈2月23日(水)放送 作:藤本有紀、演出:安達もじり〉
※本文にネタバレを含みます
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あの駄作『妖術七変化 隠れ里の決闘』が再映画化で動き出す人間関係
2代目モモケン(尾上菊之助)が『妖術七変化 隠れ里の決闘』を再映画化するといきなり発表。「乞うご期待」と言った眼差しの先には伴虚無蔵(松重豊)がいた。【レビュー一覧】朝ドラ『カムカムエヴリバディ』のあらすじ・感想(レビュー)を毎話更新(第1回〜80回掲載中)
『妖術〜』は虚無蔵が先代モモケン(尾上二役)と共演した作品。だが2代目は虚無蔵になんの報告もなく敵役の左近を、再映画化にあたって広くオーディションすると言う。もちろん虚無像はあれから20年経過しているから年齢的に無理かもしれないが、俳優として現役だから声くらいかけてみてもいいのではないか。2代目も水くさい。
……という視聴者の疑問に答えてくれるのはすみれ(安達祐実)だった。さすが黍之丞シリーズにレギュラー出演していただけあって事情通だ。
すみれは先代モモケンと2代目の関係、『妖術七変化』の裏話をひなた(川栄李奈)に聞かせる。あの駄作で興行成績最悪のまま初代の遺作となってしまった因縁の『妖術七篇か』には複雑な人間関係が渦巻いていた。
コミカルに描いてはいるが、歌舞伎によくある因縁話のようになっていて、この手の話が好きな人にはゾクゾクするものがある。
すみれとひなたがモモケンの話をしているそば処「うちいり」に赤螺一家も集まっていた。「うちいり」とは吉右衛門〈堀部圭亮〉の妻・初美(宮嶋麻衣)が働いていた蕎麦屋である。自転車を錠一郎に払い下げてくれた店だ。同じ俳優が役をいくつも兼ねているのも演劇的である。演劇だと当たり前に何役も兼ねるものだ。
モモケンの名前に吉右衛門が反応し、ひなたに語って聞かせるのは、吉右衛門が生まれた日の思い出。初代モモケンのデビューした日に吉右衛門は生まれ、そのとき、近所の御菓子司の息子が店先のラジオを盗んだのだと懐かしそうに語る吉右衛門と清子(松原智恵子)。御菓子司の名前も子どもの名前ももう覚えていないと言って、母子は記憶に鮮やかな亡き吉兵衛(堀部二役)のことを懐かしむ。
ひなたはまさか、自分の先祖の御菓子司で、この間、見かけた謎の振付師(濱田岳)がその盗っ人でかつ自分の大叔父だとは思いもよらない。なにも知らないひなたはいたずらではすまないでしょうと大叔父の所業を断罪する。でも因果は巡る風車、こうして「うちいり」というそば処に関係者が集まった。