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音声記憶装置
外は幸運の雨が降っている。
本当は、加奈子は今日の朝早くに慶太の家に来る筈だった。
しかし昨日の夜から今日の午前中まで強い雨が降るとの予報があり。
急きょ、昨日の夜から泊まりでくることになった。
泊まりと言っても寝ることはない。
徹夜で色々な事を語り合った。
加奈子は以外にも、ロックが好きだと言うことが分かった。
ONE OK ROCKが特にファンらしい。
今度一緒にライブに行く約束をした。
お互い下の名前を呼び捨てに喋ることも不自然ではなくなった。
いつもの水曜日のように電話がなった。
非通知の画面を加奈子に見せた後、タップして
スピーカーにセットする。
「もしもし慶太君、おはよう」
「おはよう未来からの使者さん」
慶太は可愛らしく行った。
「どうしたの、えらく機嫌がいいわね」
「紹介したい人がいるんだ」
加奈子がスマホに近づく。
「初めまして、中川レイコさん。中西加奈子です」
「あらまあ、もうそんな仲になってるの、驚いたわ。流石、量子コンピューターが選んたわけだ」
「そんな事はどうでもいいの。それより私に何か話があるんじゃないの。時間が限られているんでしょう」
「話は、伝わっているようね」
「大体の話は、聞いてるわ」
「それじゃあ、今から言う通りにして。30秒後に音声を流すからスマホにイヤホンを取り付けて加奈子に聞かせて一分程流れるから最後まで聞いて頂戴」
「なんだよ急に、説明もしなくて」
慶太が腹立たしく言うと、言下に加奈子は
「言われる通りにしましょう」
慌ててイヤホンを取り付け耳に当てた。
これで慶太には聞こえない。
イヤホンを抑えながら聞いている加奈子は、時折顔を顰めながら聞いている。
一分が経った。
加奈子はイヤホンを外すとスマホをスピーカーにする。
「何だったのこの音。自然界には無い機械的でもない不思議な音」
「情報を送ったの。一晩眠ったら情報が整理されて記憶となって加奈子の頭に残るわ」言下に慶太が言った。
「勝手にそんな事するなんて酷いじゃないか」
慶太が抗議すると加奈子は私の事は気にしないでと言った。
「ゴメンネ加奈子。これしか方法がないの。この数百年に世界で何が起こったか、5時間も睡眠を取ればわかるわ」
「それで俺達はこれから何をすればいいんだ?」
「加奈子の記憶を二人で共有して頂戴。これで5分の電話よりも多くの情報を送れるわ」
「大体どうして5分間なんだ」
「エネルギーの問題よ。あなた達の時代にある原子力発電所一基分が一週間で創る電力を、たった5分で消費されるの。これが限界よ」
レイコから聞くもの全てが超常現象だ。
「最後に一つだけ聞かせて、どうしても私に直接電話しなかったの?」
これは慶太も気になっていた事だ。
「話すときが来たようね。加奈子よく聞いて。あなたはこのままだったら後2年後に自殺していたのよ」
澄まして言ったレイコに腹が立ったが否定する言葉が慶太には見つからない、
「タイムオーバーね。また来週会いましょう」
直後に電話が切れた。
暫く沈黙が続いた。
かける言葉を探していた。
加奈子が急に立ち上がり、身支度をしだした。
「今日はこれで帰るわね」
「そうか、じゃあ送っていくよ」
「今日はいい。タクシー拾って帰るから」
「そうか−−今の出来事信じるか?」
「家に帰って寝て、起きた時には、ハッキリしてるわ」
「そうだな、じゃあ起きたら連絡してくれ」
「勿論」
そう言って加奈子はか帰っていった。
その日は連絡が来なかった。
翌日の昼過ぎにLINEが入る。
「今から来れる」
慶太は原チャリを飛ばした。
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