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中西加奈子
松田直美は苦手な子だった。
頭が良くて、確か生徒会の役員をしてた筈だ。
あまり話した記憶もない。
チョット緊張するがかけるしかない。
タップした。
「もしもし、俺わかるかな、同級生だった石川慶太だけど」
「ああ~、石川君、誰かと思った。知らない番号だったから」
「急にゴメン、元気にしてた?」
「それなりにね、周りに優秀な子が多くてチョット焦りもあるかな。石川君はF大学だったわね。調子はどう?」
「噂に違わず、アホ大学だったよ。分数の掛け算ができない奴が結構いるんだぜ、信じられるか」
言ってる自分が情けなくなってくる。
「その噂ホントだったんだあ」
「もがく~」
「所でそんな話する為に電話してきたんじゃないでしょう」
「実は聞きたいことがあって、同じクラスに中西加奈子っていただろう.あの子の連絡先知らないかなと思って」
「根暗なカナちゃんのことね。石川君そんな趣味だったんだ」
「そうじゃないんだ、大学のダチが中西加奈子のこと知ってて、卒業アルバム見せたら何が連絡したい事があるんだって」
チョット苦しい言い訳に聞こえたかもしれない。
「そう言えば彼女高校の時にこっちに越してきたのよね」
それは知らなかったが助かったと思った。
「確か中学の時に一緒だったとか」
「そうなんだ、でも残念ね。彼女、高校の時にはスマホは持ってなかったし、家の電話は今度引っ越しするから、新しい番号が決まったこっちから連絡するって言ってたけど、梨の礫」
「そうなんだ」
ちょっとガッカリしたのが伝わったのか
「ホントに友達の為なの?気落ちしてるみたいだけど」
「ホントだよ、何せ3年間一度も、中西とは喋った記憶もないのに」
「ほとんどの人がそうよ、だから根暗なカナちゃんって言われるの」
「悪かったな急に変な電話して」
「ちょっと待って、思い出したことがある。山田さと子覚えてるでしょう」
「ああ、確かバスケ部のキャプテンしてたんだっけ」
活発な子で人気があった。忘れるはずがない。
「さと子が言ってたけど、○○町の正福寺って知ってる?」
「知ってる。数件先のバイク屋に時々行くんだ。原付バイクもそこで買った」
「その正福寺で法事があったらしいけど、そのお寺の前に10階建てのマンションがあってそこから出てきたらしいよ」
「そのマンションだったら知ってる。あの辺で一番高い建物だから」
「さと子は礼服着てたから向こうは気付かなかっただろうっ言ってた」
「でも山田さと子も良く気づいたな」
「女の子同士はよく他人を観察してるの。中西加奈子のあるき方には特徴があるのよ。何ていうか、少し飛び跳ねるっていうか」
「俺には分かんないけど、女の子って凄いな」
「私が知っているのはここ迄、後はそのバイク屋さんにでも聞いてみれば」
「いや、いいんだ。そこまでする義理はないから」
「そうなの。もし根暗のカナちゃんに会えたら連絡先を聞いて教えてね。来年は同窓会だから」
「もしわかったら連絡するよ。それじゃあ」
「あっ、ちょっと待って。最後に---中西加奈子随分キレイになってるらしいわよ」
慶太は尚更、中西加奈子に会いたくなった。
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