「ドーピング」「人権問題」五輪報道、欧米メディア冷ややか…中国は「成功」一色
20日に閉幕した北京冬季五輪について、中国国内の報道は「成功」一色となった一方、欧米メディアは、中国政府による人権問題や大会期間中に注目を集めたドーピング問題に関心を寄せ、冷ややかな目を向けた。
米英などは新疆ウイグル自治区での人権侵害などを理由に「外交的ボイコット」を表明し、政府高官を出席させなかった。中国国営新華社通信はこれを念頭に、大会期間中に「数十の外交活動」が行われ、「中国の理念はますます世界の共感を得て、互恵関係にある友人の輪が拡大している」と主張。「大会の成功は人民の自信をさらに向上させた」と指摘し、閉会式での国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長による「比類なき大会だった」との評価を紹介した。
一方、2024年夏にパリ五輪を開催予定のフランスの主要紙ル・モンド(電子版)は、北京五輪を「外交的ボイコットと新型コロナウイルスの脅威に特徴づけられた」と総括した。200を超える民間活動団体(NGO)が人権侵害を非難し「ジェノサイド(集団殺害)の大会と表現する機会でもあった」と伝えた。
米紙USAトゥデー(電子版)は20日、ドーピング問題の浮上で人権問題が注目されなくなったと指摘。「中国は今大会で望んだものをすべて手に入れた。ドーピング・スキャンダルが役立った」と伝えた。
英紙ガーディアン電子版も「新疆ウイグル自治区の人権問題など影に覆われて始まった五輪」だったとし、期間中はこうした問題が注目を集めることはなかったと指摘して「中国は喜んでいるだろう」と論評した。
26年に次回冬季五輪を開催するイタリアの主要紙コリエーレ・デラ・セラは、新型コロナ対策の大会運営をおおむね前向きに評価した。ウクライナ情勢を巡って「習近平国家主席の友であるプーチン露大統領が、五輪ショーをかっさらった」と皮肉交じりで論評した。