米海軍のマイク・ギルディ作戦部長は18日、海軍の艦隊サイズについて「500隻以上が必要との結論に至った」と明かし注目を集めている。
参考:CNO lays out future fleet he wants: 500 ships, 12 carriers, 150 unmanned vessels
宙に浮いたままだった海軍の艦隊サイズ見直しに言及したギルディ作戦部長、500隻以上が必要
米国はキューバ危機以降、海軍拡張に乗り出したソ連に対抗するため1981年に海軍の艦隊サイズを470隻→600隻に大幅増強する方針を発表、これに伴い大型空母の数も13隻→15隻に増強して1988年までに588隻まで拡張されたが1991年にソ連が崩壊して冷戦が終結、存在意義を失った海軍の600隻体制は直ぐに軍縮の対象になって大型空母も15隻→11隻に削減、さらにテロとの戦いに適用した戦力構造への変化も加わったことで艦隊サイズは2007年に274隻まで縮小してしまった。

出典:Public Domain
しかし中国海軍の躍進を懸念したトランプ前政権が355隻体制(大型空母11隻→12隻)の確立を2018年に打ち出したため再び拡張期に突入すると思われたが、肝心の造船産業が直ぐに艦艇増産に対応できないことが判明、さらにアーレイ・バーク級駆逐艦の後継艦開発に失敗した影響もあり老朽艦の更新やアップグレードが遅れ稼働率自体が低下、フォード級空母の実用化が大幅に遅れたためニミッツ級空母の寿命延長を検討する必要があり、大国間の戦いに適していない大量発注した沿海域戦闘艦が次々と引き渡されてくるという有様だ。
以上のような理由で2020年に「世界最大の海軍」という称号を中国(米海軍の297隻に対して中国海軍は360隻)に奪われ、中国海軍の艦隊サイズは2025年に400隻に到達すると予測されている。

出典:人民海军成立72周年
つまり予定通り2030年に355隻体制を確立できても「中国海軍の背中は遥か先に遠ざかっている」という意味で、トランプ政権時代のマーク・エスパー前国防長官は独自の海軍再編計画「Battle Force 2045」を2020年に発表して新たに「500隻体制」の確立を主張したが、この案はホワイトハウスの承認を得られずトランプ大統領も再選に失敗したため「海軍の艦隊サイズ見直し」は宙に浮いたままだった。
この問題について米海軍のマイク・ギルディ作戦部長は18日、大型空母12隻、強襲揚陸艦9隻、小型の水陸両用作戦艦20隻~30隻、駆逐艦60隻、フリゲート50隻、攻撃型原潜70隻、弾道ミサイル原潜10隻+、約100隻の各種支援艦、無人艦艇150隻を含む500隻以上の艦隊サイズが必要との結論に至ったと明かし注目を集めている。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Sean Lynch/Released
問題は500隻以上の艦隊サイズ実現に必要な資金調達をいつから始めるのかだがギルディ作戦部長は「2024年予算に反映させるため戦力構造評価を行っている真っ最中だ」と明かし、記者団から「評価後に(500隻以上の)数字が変わる可能性は?」と尋ねられても「(500隻以上より)少なくなることはない」と答えているので、Battle Force 2045で示され「500隻体制」を上回る艦隊サイズを本気で考えているのだろう。
まぁ紙の上の数字を書き換えても肝心の造船産業が建造できなければ意味がないので、今後海軍は造船産業の拡張にも心を砕く必要がありそうだ。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Haydn N. Smith
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艦艇の数、と言うものではなく、個々の艦艇の性能で戦う、と言うことではダメなのでしょうか。その他にも対潜哨戒機、早期警戒機、戦闘機、ミサイル、ここら辺の性能を中国以上に上げ、対応するしかないんじゃないでしょうか?その他にも、各国との協力関係を強化するとか。自分は無知なので「あなた馬鹿なんじゃないの」などのコメントはやめていただけると嬉しいです。
戦いは数だよ兄貴
どんなに優れた兵器でも、数がなければ袋叩きにされて終わる。
艦船が洋上に浮かぶ巨大な機械である以上、整備する余裕がなければ船は動かなくなる。
技術は簡単には身につかないし、基本の積み重ねが出来ていなければ、応用のしようもない。
ランチェスターの法則を調べてみてください
身の丈に合った装備を考えたらそうなった位では。大体、管理人の文でもアーレイバーク後継の失敗とフォード級の戦力化遅延に触れてるのに、あなたの言っていることは同じ轍を踏めと同義じゃないの?
拡張性を過剰に見込めばコスト増や建造遅延、凝った装備をさせればメンテや人員への負担増もあり得る話で自滅に向かってまっしぐらとか笑えない話。
対潜哨戒機は恐らく世界最高レベルにはあるしアップデートも予定されている。早期警戒は性能に劣っても通常機体搭載の個々のセンサー情報集約して運用が本命だろうし、戦闘機もF-35の次は確実に作るし、現時点で見えてないのより高性能な魚雷と超音速以上の対艦ミサイルぐらいでは。
兵器というのは機械なので定期的に整備しないといけない。
またそれを扱う乗員にも休息が必要です。
性能よくても、整備・訓練・任務のローテーションを維持できる数がなければ
結果として戦力に空白が生まれてしまいます。
電動化が進めばもう少し整備間隔を伸ばせるかもしれませんが
整備や訓練をけちると、いざというときに信頼できないので、人も兵器もやはり数は必要です。
マーク・エスパー元国防長官は2020年の11月中には解任させられているし(選挙の結果が10月中に出ていたにせよ)
トランプが再選していても、独自の海軍計画を提出する事は出来なかったんじゃないだろうか。
解任理由もデモへの軍投入に対する意見衝突だったし
二日前、久しぶりにタイコンデロガ級のwiki覗いたら今年中に退役予定6隻もある(ToT)。やはり歳には勝てないか┐(ToT)┌ CG-61の退役予定は2022年2月22日って明日ではないか!!
戦闘機なんかと違って船は物量で強くなれる上に戦車と違って海を進めるので支那さんはトン数上げても省人化を必須にせず海軍軍拡しまくるの確かに正しい
そのうち現代に戦艦を復活させるなら多分支那海軍だろうと思う
将来的に高出力レーザーとレールガンが実用化されたら戦艦の復活もあり得るかもしれませんね。
イタリアなどの国の造船会社に建造を委託できんもんかね
というか日本に委託してくれたらいい
レーガン政権時には軍拡競争を仕掛けてソ連を潰した米国が、今度は軍拡で潰される側になるのか
残念ながら、西側諸国は「ベトナム」以降のリベラルな価値観を後生大事に抱えながら中露の覇権主義に屈して行く結果となりそうですね…
こちらまでただ中国ロシアに勝つために同じく全体主義政策を選べば、それは戦うまでもなく奴等の勝利なんだけどな
目的と手段をひっくり返したら敗けだよ
何のための争いか考えてる?
数があってこそ質も保てるわけだから多いに越したことはない
ギルティ? or ノットギルティ?
中国は第一列島線第二列島線の聖域化に殆どの海軍力を投入出来る強味が有利すぎる
アメリカは大西洋側にも纏まった戦力が必要だし
人民海軍は近海遠浅海域の海を守護するのが主眼なので陸上機のエアカバーを得つつ比較的小型安価な艦艇に対水上打撃力と浅海域向けの対潜能力を付与しつつ数で押せる
一方アメリカは陸上機の援護は受けにくく大型長大な航続距離をもつ大型艦が必要になるし大型の原子力潜水艦は浅海域では行動が制限され対潜艦に捕捉されやすくなる
対抗するには人民海軍を大きく圧倒する戦力が必要になるけど…つらいねぇ
地の利というやつですな
そこで日本のサポートが要になるわけで
維持するための金や設備や人間はどこから出てくるんだ