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煩わしい税関手続き、アプリでこんなに簡単に

税関が出した無料アプリ「QuickZoll」。ドイツ語、フランス語、イタリア語、英語の4カ国語に対応 swissinfo.ch

スイスに入国するとき、税関の申告書類に記入したり、窓口に並んだりするのは骨が折れる。それを簡素化したのが、スイス連邦事務局(FCA)の無料スマートフォンアプリ「QuickZoll他のサイトへ」だ。アプリ上で申告から税金の支払いまで簡単に済ませられる。ただ一定の制限がある。

このコンテンツは 2019/04/12 12:20

(この記事は2018年7月30日にスイスインフォ英語版で配信された記事です)

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「Zoll」はドイツ語で税関を意味する。つまり「クイック税関」だ。スイスに入国する人が国外で免税対象額300フラン(約3万3千円)を超える買い物をした場合、アプリ上で簡単に申告・関税の支払いができるようになった。アプリはドイツ語、フランス語、イタリア語、英語の4カ国語に対応している。

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政府は、海外で買い物をする際の煩わしさを軽減するだけでなく、コストの削減もにらむ。スイスの国境を通過する人は1日当たり75万人、車両は35万台、トラックは2万台に上る。QuickZollアプリのようなイノベーションでコスト削減と効率の改善を図るのが政府の狙いだ。税関関連業務にかかる事業費は年間4億7千万フランに上るとされる。税関事務局は、このアプリがあれば、国境間の貨物輸送だけで年間1億2500万フランのコスト削減につながると話す。

アプリの使い方は比較的簡単。国境を越える前に、持ち込む商品の種類や量を登録し、提示された税金をスマートフォンで支払う。免税や支払い方法などの細かい情報はすべてアプリ内にある。

税関事務局によると、アプリは2万回ダウンロードされ、出だしは好調だ。

税関事務局の広報担当ニコラス・リオンさんは「スイスに入国する前に、商品を入力して税金を支払う。それが数回のクリックで済む。移動中に使えるデジタル技術が登場して、みんな非常に満足している」と語る。

「例えば(ドイツの)ベルリンから(スイスの)ツェルマットに旅行する場合、通関手続きのためにいちいち国境のバーゼルの駅で下車して、次の列車に乗り換えるなんて面倒でしょう。このアプリがあれば、生活が何倍も楽になる」

ジュネーブ近郊の国境で行われた税関の訓練で、商品をチェックする職員。2014年撮影 Keystone

商品の輸入、特に郵便で商品を輸入する際のコストが高いこと、また一部の消費者が低いと感じている免税額の上限300フランー。これらはスイスの消費者にとって依然、大きな問題だ。

QuickZollアプリはスイスインフォ読者の間でも一定の関心を集めた。

マイス・プリマーさんは「とてもいいね」と好印象。スイスインフォのFacebookページに「特に夜、車で国境を通過するときに使いたい」と答えた。

レト・デルングスさんも「QuickZollアプリのアイデアはすごくいいと思う。ドイツの国境近くに住んでいた時、しょっちゅう国境を越えて買い物に行っていたから」と話す。隣国フランスやドイツ、イタリアはスイスと比べて物価が安いため、週末になると日用品などを求めて買い出しに行くスイス人はとても多い。

フランス語圏消費者連盟他のサイトへ(FRC)の経済専門家ロビン・エイマンさんは「消費者の生活を楽にしたいというのは明らかにポジティブな要素だ。自分の購入した商品は輸入制限がかかっているのか、関税がかかるのか、付加価値税(VAT)がいくらなのかをアプリ上で直接確認できるのはいいことだ」と話す。

きれいでユーザーフレンドリーなインターフェースにもかかわらず、アプリは細かい制限がいくつかある。

一つは、商品にかかる付加価値税(VAT)が、すべて標準税率(7.7%)に基づいて算出されること。食品、薬、書籍はそれより低い2.5%が適用されている。税関事務局は申告商品全体に占める低税率の商品は20%程度だと主張するが、それでも額面に差は生じる。

エイマンさんは「500フラン分購入したときの差は26フランだ」と話す。

税関当局は、このアプリが旧来の通関手続きに取って代わるものではないという。低い付加価値税の買い物をたくさんしたのであれば、今までのように窓口で手続きをした方が確実だ。

もう一つの制限は、オンラインでの通関手続きと支払いは、国境を越える最大48時間前からしか行えないということ。アプリ上で、スイスに入国する時間のスロット(2時間幅)も指定しなければならない。また領収書は税関職員に提示を求められる可能性があるため、スマートフォンに保存しておいた方がいい。

さらに税関事務局は、スイスの通関手続きと、商品を購入した国で必要となるVAT払い戻しの手続きは別々のままだと強調する。たとえば、ドイツで買い物をしてスイスに戻る際、ドイツでかかったVATの払い戻しを希望する場合は、ドイツ側の税関窓口で必要書類を提出しなければならない。

関税とVATをアプリで支払う場合、クレジットカードはVISAかマスターカードしか使えない。

スイスインフォの読者からは、国外でアプリを使用したときに高額なローミング料金がかかるのではないかという懸念が寄せられた。税関事務局側は、これは問題にならないはずだという。

税関事務局の広報担当リオンさんは「アプリはオフラインで使える。ネット接続が必要なのは、支払いの時だけ。飛行機ですべての作業をオフラインで済ませ、着陸直後、例えば荷物が来るのを待っている間に支払いをする。国境を越える前に支払いを済ませる、それだけ気を付けていれば大丈夫です」と話す。

デジタル化

税関事務局は、これらの「バグ」にもかかわらず、アプリは消費者の生活を楽にするようデザインしたと話す。政府は税関の簡素化・デジタル化を目指す「DaziT programme他のサイトへ」に計4億フランの事業費を投じている。プロジェクトは2026年に完了する予定だ。

税関事務局は、連邦政府でも極めて規模が大きい部門だ。2015年の職員数は約5千人、年間収入は215億フランで、これは連邦政府全体の約3分の1を占める。個人の通関手続きによる収入は3千万フランに上る。

デジタル化によって、税関審査も的を絞るようになるとみられる。

リオンさんは「多くの市民は、税関申告が必要であることを知らない」と話す。 「アプリを使って、多くの人に、税関申告が必要であることを知ってもらいたい。知らない、やらないという言い訳を減らしたい」と話す。

リオンさんは一方で、税関は「スイスに入国するすべての個人、商品をコントロールする」ための資源も、そうしたいという願望もないとしている。

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