先日、原田真二(58)をインタビューしました。

 デビュー40周年記念のシングルコレクションアルバム「TIME TRAVEL」のことや、40年を振り返っての思いなどを話してもらうつもりでした。

 ですが、原田は約50分の取材時間の半分以上を費やして、「平和」や「地球の未来」に関する危機感などを熱い口調で訴え続けました。

 被爆地・広島で生まれ育ち、平和を求める思いが幼少のころから自然な形で身についたそうです。音楽に関わってきた理由について「世の中を優しい方向、戦争のない方向に持って行けないか。音楽の使命として、そういう役割を果たせないかということが、曲を書き始めてからの純粋なテーマなんです」と明かしました。

 アマチュア時代から、作詞、作曲を全て自分でやっています。そして、その歌詞のほとんどに、平和や社会正義へのメッセージが色濃く込めています。

 今回のシングルコレクションの収録は40曲。そのうち30曲以上で作詞と作曲をしています。50代以上ならば、誰でも耳になじんでいるデビュー曲「てぃーんず ぶるーす」(77年)は作詞を松本隆氏が手がけました。ですが、もともとは原田が作った「君の世代へ」という曲でした。暴走族などの当時の社会問題にも触れながら世界平和を希求するメッセージソングです。「君の-」のメロディーはいいが、この歌詞では流行歌として商業ベースに乗せることができない。そう考えたスタッフが、作詞を松本氏に託したのです。

 最終的には、原田も納得して受け入れますが、「最初はものすごく抵抗があった」と言います。ちなみに、デビュー曲の後に続くヒット曲「キャンディ」「シャドー・ボクサー」「タイム・トラベル」なども、原田が作曲をして松本氏が作詞をしています。

 デビューから、いきなり人気アイドルに躍り出たのですが、1年もたつと、作詞も自ら手がけるようになりました。この時期から、徐々にアイドル路線から離れ、もともと志向していた道を歩くようになりました。それが「ラブ、ピース、ハピネス」の3つをテーマにした音楽活動です。

 「目指すのは音楽を通して、人に優しい気持ちになってもらうこと。いつかは、さまざまな宗教の人たちが集まって、バチカンで平和を求めるライブイベントをやりたいんです」。

 万人にとっての共通言語である「音楽」を通じて平和を追い求める。それをライフワークにする原田の旅はこれからも続きます。