あらゆる伝統文化が衰退していく?
日本料理がなくなっていくということは、それに付随した日本の伝統文化、産業も一緒に衰退していくことになります。
調理師学校で日本料理を専攻する学生が少ないということは、寿司や天ぷら、蕎麦、うどんも含めて、日本料理店の数も少なくなっていくということです。
そうすると、和食器の需要も少なくなり、輪島塗のようなお椀や塗り物、和包丁、着物、のれんの染付、和室の畳、日本建築に至るまでも発展性のないものになっていきます。せっかく親の後を継いで陶芸家や蒔絵師などになっても将来の明るい希望が見えないのが現実ではないでしょうか。
その代わりに海外から日本に入ってくるものは新しい産業となりビジネスチャンスもたくさんあります。これまでを振り返ってみると、ワインやチーズなどの輸入食材、洋食器やガラス製品、もちろん洋服に至るまで、日本人は海外のものばかりに憧れる傾向があったような気がします。
そんな状況の中、私がいつも考えているのは日本の料理業界が日本料理(ここには寿司、天ぷら、蕎麦、うどん、焼き鳥、和菓子など全て含みます)ばかりをしていたらどうなるだろうか? ということです。
今よりもたくさんの日本料理店がオープンし競い合い、レベルも上がり、お客様も取り合うことになるでしょう。