【CERO:D】この物語に、ハッピー・エバー・アフターはあり得ない
ひとりでに映写機のハンドルが回る。
人と妖が手を取り合い、愛し合う。生まれてきたのは、真っ黒な子供。愛を知らない、哀された半妖の子供。──そうやって産まれた灰原揚羽は人と妖の子。半妖として生まれた彼は己の中に眠る妖怪の血が求める渇望に抗いながら、学生として周囲の目を欺いて暮らしていた。
白羽川市。人と妖怪が手を取り合って暮らす街。芽黎という時代は共生と共存の日々にあった。しかし、両者の間に子供が生まれることはごく稀であり、そして極めて悍ましいことであるとされている。
映写機はひとりでに動き続ける。ひたすらに回り続ける。過去と今と未来を描く。
寂しく音を立てて、ひたすらに。
この物語の結末に、ハッピー・エバー・アフターはあり得ない。
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セルフレイティング通りの内容を多分に含みます。閲覧の際は自己責任でお願いします。