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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか? 作者:よぎそーと

第6章

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211回目 実家のお仕事 2

 トモルがまとめた提案は単純なものである。

 冒険者の居住地と村との間に、監視のための警備所を設置する事だった。



 そこに常駐で何人かを貼り付かせ、冒険者達が不埒な事をしないように睨みをきかせる。

 警備や裁定のための巡回を常駐化させたものとも言える。

 今までの柊家ではそれだけの人間を割く事も難しかった。



 しかし、冒険者から上がる収益があるので、その為の費用を捻出する余裕もある。

 人だって増えてきている。

 時間はかかってもやれない事は無い。

 とりあえずこれを提案するだけは提案しようと思った。



 こうした監視や警備のための拠点から始めて、ゆくゆくは冒険者側に設置する役所にしていく事も考えていた。

 いずれ統治の為の機関は必要になる。

 冒険者だけでなく、商人なども入ってきてるし、発展していく事にもなるはずだ。

 そうなる事を見越しての布石でもある。



 狙いは更にもう一つある。

 トモルがそちらに出向く事で、冒険者に直接接触する機会を増やす事だ。

 今のまま父の下にいたら、冒険者との接触する時間がなかなかもてない。

 それも仕方が無い事だが、これでは折角揃えた冒険者を有効活用出来なくなる。

 そうならないためにも、出来るだけ接点を増やしたかった。



 同時に、冒険者としても行動を起こしていく。

 領主側の人間として見えた問題点もあるからだ。

 それを冒険者側である程度抑える事が出来るならば、それにこした事は無い。

 今後もこの場で活動を続けていくならば、問題は排除せねばならない。

 その為に、夜になってから行動を開始していく。



 まず、冒険者達の主な者を集めて注意を促していく。

 下手に村の外に出るな。

 揉め事も起こすな。

 どうしても衝突は避けられないにしても、領主や村とは面倒を起こすなと。

 こういった事を全員に周知させていく。



 それこそ立て札を作り、毎朝の朝礼を催して何度も繰り返すくらいに。

 それでも問題を起こす者はいる。

 そういった者は、容赦なく制裁を下していった。

 幸い、村の者達からやらかした者達の特徴などは聞いている。

 容疑者の特定はさして手間もかからなかった。



 そして、わざわざ捕らえた者を領主に引き渡す手間もかけない。

 弁明や釈明という言い訳もさせずに、すぐに処分する。

 その亡骸を吊し上げて見せしめにしていく。

 そうする事で、言いつけを破ったらどうなるかを見せていった。

 こうする事で、わざわざ村まで出かけるような暇人は極端に減る事になった。



 もとより、冒険者が村になど出向く必要など全く無い。

 居留地に居れば生活は出来る。



 衣食住などは商人が運んでくる。

 娯楽も冒険者の住み着いてるあたりに集まってきている。

 それに比べれば村の方は遊ぶ所が何も無いような状態だ。

 なのに、なぜ村に出向くのか、という話になる。

 必要性など全く無いのに。



 実際、村に出向いた冒険者がやってる事といえば、村人を脅して楽しんでいるだけ。

 悪さをして憂さ晴らしをしてるとしか言いようのない事だった。

 そんなものをトモルは許すつもりは全くなかった。



「悪口一つで縛り首。

 声をかけただけでも打ち首。

 村の方に出ていったら、全身切り刻む」

 トモルが冒険者に課した規約である。



 ものの例えでもなんでもなく、実際にこうするというお達しである。

 冒険者を束ねる立場の者からのこの指示に、全ての冒険者が震えた。

 実際に処分されて見せしめとして吊されてる者がいるのだ。

 嘘や冗談、厳しさを誇張するためのはったりと思う者はいない。



 もとよりトモルは、悪さをする連中を許すような事はほとんどなかった。

 発覚すれば、それがどんなに小さな事でも厳しい制裁を下していた。

 酔った勢いでの暴言なども例外ではない。

 そんなトモルが出したお達しである。

 逆らえばどうなるかは言うまでもない。



 下された対処方法に、既に様々な処罰が示されている。

 全員震えながらそれに従うしかなかった。



 それでも逃げ出す者はほとんどいなかった。

 確かに規律は厳しいが、守っていれば問題は無い。

 それに、村などに出向かなければ問題はさして起こらない。

 何もしなければ何も起こらないのだ。



 多少態度を気をつけねばならないが、それだけ守ってれば良いという事でもある。

 何より、これを守っていれば余計な揉め事も起こらない。

 冒険者同士のいざこざも、目に見えて減ってきている。

 そうした環境の方が住み心地も良い。



 わざわざそんな状態を壊す者もそう多くはない。

 馬鹿な真似をするのは、本当にバカとしかいいようのない者達だけである。

 そういう者はそう多くはない。



 そんな例外と言える少数派は、トモルによって処分されていく。

 最初は恐怖を抱いた冒険者であるが、次第にそれにもなれていく。

 普通に暮らしていれば、処分される事は無いのだから。

 多くの冒険者にとっては、そんな厳しい処分で得られた平穏の方がよっぽど大切だった。



 何より、ここから他の所にいったとしても、同じように稼げる場所が無い。

 探せばあるかもしれないが、探す手間がかかる。

 だったら、多少規律が厳しくてもここに残ろうという者が多かった。

 これも当然ながら例外はいるが、その例外はさほど多くはない。



 そして、この場を離れる例外がいたとしても、それが冒険者の集落に与える影響はほとんどない。

 人数が減って解散するしかない冒険者の一党なども出るには出たが。

 そうなったら、他の冒険者たちの所に行けばいい。



 結果として、規律を守れる、周囲に迷惑をかけない者だけが残るようになっていった。

 それは、トモルとしても、柊家としても好ましい事態である。

 揉め事が自然と減っていってるのだから。

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