本年度の調査で見つかった竜脚類の連続足跡化石(県立恐竜博物館提供)

見つかった化石の恐竜足跡

竜脚類のフクイティタンの復元模型(荒木一成さん制作、県立恐竜博物館提供)

 福井県立恐竜博物館(勝山市)は2月14日、同市北谷町杉山の約1億2千万年前(白亜紀前期)の地層で実施した本年度調査で、長い首が特徴の草食恐竜「竜脚類」の連続した足跡化石を発見したと発表した。歩行中の足跡とみられ、同類の連続足跡が確認されるのは国内2例目。また、絶滅したカメ類「アドクス科」について、国内3例目となる連結した甲羅の化石も発掘した。

 本年度調査は昨年7~9月に実施し、約1800点の標本を採集した。14日に同博物館で報道機関向けの結果説明会があり、柴田正輝主任研究員らが報告した。

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 竜脚類の連続足跡化石は前足5点、後ろ足5点の計10点が見つかった。最大の大きさは前足が縦22センチ、横35センチで、後ろ足が縦58センチ、横32センチ。足跡の大きさから腰の高さは2・2~3・4メートルと推定され、歩幅を考慮して計算すると時速1・4~2・3キロで歩いていたとみられる。

 この地層で見つかった新種の竜脚類「フクイティタン」の腰の高さは約2メートルで、同博物館は「フクイティタンや、それより一回り大きい竜脚類が残した可能性がある」と指摘。今後はほかの竜脚類の足跡と比較検討することで、同類の歩行メカニズムの解明などにつながるという。

 一方、現在のスッポンに似た「アドクス科」の連結した甲羅の化石は、背側の一部の模様が地層に残った「印象化石」(縦19センチ、横26センチ)と、腹側の一部(縦、横ともに17センチ)が見つかった。これまで勝山で見つかった同科の甲羅化石はばらばらの状態で「同一種なのか別の種類なのか判別が難しかった」といい、連結した甲羅が見つかったことで「分類の研究が進むことが期待できる」としている。⇒アドクス科の腹側甲羅の化石

 調査ではこのほか、ダチョウ型恐竜と呼ばれるオルニトミモサウルス類の足の甲の化石なども見つかった。こうした成果の一部は、3月に始まる同博物館の企画展で紹介する予定。

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