無人島 ~俺の10枚~ 【CIVILIAN:コヤマヒデカズ 編】

2017年03月22日 (水) 12:00

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インディーズにして絶大な人気を誇った Lyu:Lyu としての活動から、より幅広い表現にチャレンジするため、昨年バンド名を CIVILIAN に改名し、新たな挑戦を続ける3ピースロックバンド。「自分のために書き殴った歌」から「誰かに聴いてもらう歌」を歌う事を選んだバンド CIVILIAN にとってメジャー第2弾となる「生者ノ行進」は、テレビアニメ「All OUT!!」第二クールのOPテーマに抜擢。バンド自身のこれまでと、これからの意志表明 と言えるアンセムソングとなった。
また、シングルには Vo.&Gt.コヤマヒデカズがニコ動上で ”伝説” と称されるボカロP「ナノウ」として活動していた時期に発表した「サクラノ前夜」も収録される。
そんな、彼らの過去と現在を繋ぐ重要な作品とも言えるシングル『生者ノ行進』をリリースした CIVILIAN が、ローチケHMVニュースの「無人島 ~俺の10枚~」に参加。連載形式で毎週1名のメンバーが登場。10枚の作品を紹介してくれる。

無人島 ~俺の10枚~ 【CIVILIAN:コヤマヒデカズ 編】
音楽好きには、超定番の企画“無人島 ~俺の10枚~”。なんとも潔いタイトルで、内容もそのまんま、無人島に持って行きたいCDを10枚チョイスしてもらい、それぞれの作品に込められた思い入れを思いっきり語ってもらう。ミュージシャンとしてルーツとなるもの、人生を変えた一枚、甘い記憶がよみがえる一枚、チョイスの理由にはそれぞれのアーティストごとに千差万別。今回のお客様は、CIVILIAN コヤマヒデカズ(Vo&Gt)が登場。

各メンバーが選んだ10枚はこちら


Syrup16g 『coup d'Etat』
名盤が沢山あり過ぎてどれを選んだら良いか迷いましたが、自分の思い出補正も含めてやっぱりこのアルバムが一番です。「My Love’s Sold」からの「神のカルマ」からの「生きたいよ」までの三曲でもうこのアルバムから完全に離れられなくなり、比喩でもなんでもなく狂ったようにこのアルバムを聴き続けていました。
当時何もかもが嫌だった自分にとって、このバンドが言うことこそが正義で、唯一の理解者で、僕の人生の先導者で、または僕の人生をこんなにした元凶で、僕の音楽的人格形成の一端を確実に担っている重要なバンド。当時友達にアルバムを貸したら「ひねくれ過ぎてて聴いててイライラする」と言って突き返されたのも良い思い出です。それさえも誇らしいと思ってしまうくらい、Syrup16g というバンドが好きでした。もちろん今でも。


ART-SCHOOL 『BOY'S DON'T CRY』
名盤があり過ぎるバンドその2。無人島の中でずっと聴くにはどのアルバムが良いだろうなとぐるぐる考えて、『REQUIEM FOR INNOCENCE』も良いよなと思ったのですが、多分生の人間の声や音が欲しくなる気がしたので、ライブアルバムを持っていきます。ART-SCHOOL というバンドの持つ暴力的な音塊とアンサンブル、木下さんの官能的な声、そして当時の時点でのほぼベストアルバムといっても差し支えない演奏曲目。ずっと聴いていました。
僕は今までの人生の中で「狂ったように聴いたアルバム」が何枚も存在するのですが、ART-SCHOOL もそのうちの一つです。ちなみに初めて聴いたのは『REQUIEM~』でした。"ねえ今から 美しいものを見ないか" の「BOY MEETS GIRL」から始まって、最後の曲が終わるまで曲と曲の間の空白が一切ないという潔さ。ラストまでぶっ続けで放たれる厭世的で暴力的な音楽。当時の僕はそれの虜でした。


THE BACK HORN 『人間プログラム』
名盤が多過ぎるその3。もしかしたら、どのアルバムを持っていくか一番悩むバンドかも知れません。最初に聴いたのがこの『人間プログラム』で、今でもハッキリ覚えているんですが、レコード店の試聴機で一曲目の「幾千光年の孤独」を聴いた瞬間に頭をぶん殴られまして、最初に思ったのは "このバンド、狂ってる" でした。「幾千光年~」からの「セレナーデ」からの「サニー」の流れといったらもう。このアルバムで何度も号泣して、何度も大声で叫んで、何度も頭を振って、そしてやっぱり何度も号泣しました。将司さんのヴォーカルの真似をして歌っていたら喉を壊してしまったのも良い思い出です。
あと、僕はそれまで歌を聴いて泣いたことは沢山ありましたが、ギタープレイで感動して泣いてしまったのもこのバンドが初めてです。どの曲かというと同じくこのアルバム収録の「空、星、海の夜」の、ギターソロの部分。死に物狂いで弾いている姿が目に浮かぶような鬼気迫るギターです。今聴いてもやっぱり感動します。


BUMP OF CHICKEN 『ユグドラシル』
名盤多過ぎるその4。僕が挙げる人達は基本的にみんなそうなので、迷い過ぎて逆に楽しくなってきます。案の定このバンドも、『THE LIVING DEAD』かなぁとか、いや『jupiter』かなぁとか、ぐるぐるぐるぐる考えて、迷いに迷ってこれにしました。
「乗車権」~「ギルド」~「embrace」の流れがね。良い。というかこのアルバムは曲の配置が本当に神がかっていて、どこを切っても流れが素晴らしい。各々の曲が良いのは勿論のこと、アルバムとしての完成度も素晴らしいなと思います。これを聴いていた当時僕はアルバイトをしていて、続けられるアルバイトが見つからずに何度も何度も色んなバイト先を辞めていたんですが、そんな時に「ギルド」の「人間という仕事を クビになって どれくらいだ」という歌詞に心を締め付けられたのを鮮明に覚えています。


椎名林檎 『加爾基 精液 栗ノ花』
もう全部迷うんですがこの人も迷う。でも、多分一番聴いたのはこれだと思います。『無罪モラトリアム』、『勝訴ストリップ』ときて、次に出されたオリジナルアルバム。それまでの鋭利なバンドサウンドからかなり実験的な内容になり、楽曲から歌詞から、ジャケットやブックレットのデザインに至るまで、狂気や妄執すら感じるほど徹底されたコンセプトが貫かれていて、僕にとって椎名さんのイメージはこのアルバムでした。
他のアルバムの所でも述べましたが、僕は一時期バイトをクビになったり自ら辞めたり、その他色々なことがあったんですが、ちょうどその時期にこのアルバムを聴いてまして、「おだいじに」にずっと癒されておりました。"隣の芝 青く見えたら 出来るだけ睡るのさ" の言葉に従って、僕は落ち込むと今でも出来るだけ眠ります。


転校生 『転校生』
惜しくも活動終了してしまった、転校生さんのアルバム『転校生』です。僕は以前にバンドで一緒にライブをしたことがあったのですが、その時に CD を頂いて、それ以来度々このアルバムを聴き続けてきました。美しいアルバムです。ゆっくりゆっくり海の底に沈んでいくような感覚のするアルバムです。あまりに好き過ぎて、自分のバンドのワンマンの開演前 BGM として曲をよく使わせて頂いています(「きみにまほうをかけました」という曲です)。 自分は男なので、どう頑張ってもやっぱり男の声しか出ないのですが、そのせいもあってずっと女性の歌声に憧れていて、僕にとって転校生さんの歌もそのひとつでした。僕は今でもずっと待っています、新しい曲が発表されるのを。


cocco 『ベスト+裏ベスト+未発表曲集』
転校生さんの所でも触れましたが、僕は女の人の声に憧れています。異性として憧れている歌手その2、coccoさんです。その中でもこのアルバムは、僕が初めて聴いた coccoさんでした。一曲目の「Way Out」の破壊力たるや。プロデューサーである根岸さんのセンスも相まって一曲目からずっと心臓を持っていかれたままで、当時このベストを擦り切れるほど聴いていたのを覚えています。
男と女は、体の構造も精神的な構造も違っていて、女性は「子を産む」という、男には無い機能を備えて産まれて来ます。そういった男女の違いは創作表現において時に顕著に現れることがあり、coccoさんもそのうちの一人だと思います。「強く儚い者たち」の歌詞の内容には当時本当に脱帽しました。男にこれは書けない。少なくとも僕にはこんな歌は書けませんでした。


The Album Leaf 『In a Safe Place』
僕は自分のバンドのワンマンで、開演前の BGM を流すのですが、The Album Leaf もそのうちのひとつ。僕がエレクトロニカやアンビエントというジャンルに触れることになったきっかけのアルバムです。バンドのダイナミズムとは対極に位置する、静謐で無機質でミニマルで神々しい、聴いていると精神が分離して宙に浮いてくるかのような感覚。
このアルバムを知った経緯は実はちょっと変で、初めて聴いたのはライブハウスの中でした。下北沢のライブハウスでライブを見ている時、前のバンドと次のバンドのセット転換中にステージにスクリーンが降りていて、そこにずっと無音で「AKIRA」の映像が映され、その状況の BGM として鳴っていたのがこの「In a Safe Place」の曲だったのです。「AKIRA」の映像と相まってその光景が強烈に頭に残っていて、迷わずスタッフに「これ、誰の曲ですか?」と聞いて、次の日アルバムを買ったのでした。


Rage Against The Machine 『Battle of Los Angeles』
これも迷います。相当迷う。『Evil Empire』も良いし、ファーストも良いし、何なら最後に出たカバーアルバム『Renegades』も最高に格好良いです。だけど、一枚選ぶとしたらこのアルバム。
高校生の時に流行っていた RATM。でもその当時は歌詞の内容なんて全く調べようとせず、ただギターのフレーズをコピーしていただけだったんですが、後に歌詞をしっかり調べて聴き直してみて驚愕。ザックはこんなことをラップしていたのか、と知ってますます好きになり、唯一出ているライブの DVD を何度も何度も見ました。音楽を、世界と戦う手段として用いていたバンド。音楽自体よりも、その姿勢そのものに感動していました。


NIRVANA 『Nevermind』
最後はやっぱりこれだと思います。前回も別のアルバムを出しましたが、僕が初めて影響を受けた「ロック的なもの」として、どうしてもこれは外せないなと思います。
高校に入るか入らないかの時期、僕はいわゆる「バンド」というものを聴いたことがありませんでした。ある日友人が泊まりに来て、僕の部屋の CDプレイヤーを使って好きな曲をかけていたのですが、その時にかかっていたのがこの『Nevermind』でした。ものすごくチープでありきたりな言い方ですが、電撃に打たれたような、頭をぶん殴られたような、そんな言葉しか浮かばないくらい衝撃で、その友達にこっそり「これ誰?」と聞いて、次の日にすぐ同じ CD を買いに行ったのでした。今でも時々聴き返して、その度にやっぱり格好良いなと思う、永遠の憧れです。


連載まとめはこちら

無人島 ~俺の10枚~ 【CIVILIAN 連載編】

彼らの過去と現在を繋ぐ重要な作品とも言えるシングル『生者ノ行進』をリリースした CIVILIAN が、ローチケHMVニュースの「無人島 ~俺の10枚~」に参加。連載形式で毎週1名のメンバーが登場。10枚の作品を紹介してくれる。

HMV&BOOKS online-邦楽・K-POP|2017年03月08日 (水) 12:00



作品情報


CIVILIAN
『生者ノ行進』
3月1日発売

<収録曲>
[CD]
1. 生者ノ行進
2. 君は君であることを
3. サクラノ前夜(ナノウ楽曲のカバー)
4. 生者ノ行進(アニメver.)

[DVD]
“2016.11.23 Major Debut Memorial Studio Live”
1. 愛/憎
2. LOVE/HATE/DRAMA
3. 3331



ライブ情報


「CIVILIAN ONE MAN TOUR “Hello , civilians,”」
5月18日(木) 愛知 名古屋ell.SIZE
5月19日(金) 大阪 心斎橋Music Club JANUS
5月25日(木) 東京 渋谷CLUB QUATTRO


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