
英語の過去形とは「昔のこと」です。
正確には「過去時制 Past Tense」といって、動詞を「過去形 Past Form」に変化させることで表現します。
英語の過去時制のイメージは、基本的に日本語とほぼ同じです。
過去形を見たら「過去の話だな。昔のことね。」ぐらいの感覚でOKです。
英語に「過去」と間違いそうなものに「完了 perfect」があります。
これは「時制 tense」ではなく「相 aspect」といって「行動の進行度 0~100%」を表すものです。
英語では「過去(時制) Past Tense」は「完了(相) Perfect Aspect」とは別物なので、区別することをお忘れなく!
be動詞の過去形
英語の過去時制は動詞を過去形に変化させて表します。
be 動詞の変化パターンはカンタンです。
・am ⇒ was
・is ⇒ was
・are ⇒ were
とくに困ることもないですね。
一般動詞の過去形は「動詞 + ed」
一般動詞の過去形は「動詞」に「ed」をつけるだけです。
さっそくみていきましょう。
・tweet - tweeted ツイートする、(鳥が)さえずる
・follow - followed フォローする、従う
これもカンタンですね。
ちょっと変わった過去形 動詞 + ed
最後に ed をひっつけるときに、すこしトリッキーな変化をするものもあります。
① 動詞の最後が e なら、そのまま利用します。
・like - liked 「いいね」する / 好き
・hope - hoped 望む
② 動詞の最後が y で、その直前のスペルが子音なら -ied に変化します。
・copy- copied コピーする / 写す(p=子音)
・reply - replied 返信、返答する(p=子音)
③ 動詞の最後が y で、その直前のスペルが母音なら -yed のままです。
・stay - stayed 留まる(a = 母音)
・enjoy - enjoyed 楽しむ(o = 母音)
④ b p t d などで終わる場合は、子音を重ねてから -ed をつけるものもあります。
・hop - hopped はねる
・tap - tapped 軽くたたく
単に ed をつけるわけでないので hoped や taped(テープを貼る)との違いを見分けられます。
これは ING形にも応用できます。
・hop - hopping 跳ねる
・hope - hoping 望む
・tap - tapping 軽くたたく
・tape - taping テープをはる
・star - starring 出演する
・stare - staring 凝視する
・can - canning 缶詰にする
・cane - caning 杖(cane)でたたく
過去形のワナは3種類
過去形そのものは実にシンプルです。
「なんや、かんたんやん!」と思いがちですが、そうは問屋が卸しません。
実は過去形には一筋縄ではいかないパターンが3つあります。
それらはどれも過去形とほかのパターンの文法が関係してきます。
では、実際にみていきましょう。
過去形のワナ その1 「不規則変化動詞」が困りもの
英語には不規則変化動詞(irregular verbs)というものがあります。
・speak - spoke - spoken (現在形 - 過去形 - 過去分詞形)
中学校でさんざん暗記させられましたね?
一見「ふつうに 動詞 + ed だけにしといてくれよ」と思いがちです。
ですが、実は変化があった方が見分けやすいんです。
なぜなら不規則変化パターンによっては、見た目が同じになるのでわかりにくくなります。
・cut - cut - cut
・read - read - read
このような変化ない(A - A - A)パターンだと見分けにくいですね?
さて、困りましたね・・・どうしたらいいでしょうか。
というわけで、不規則変化動詞の見分け方を知りたい方はこちらをどうぞ。
不規則変化動詞 パターン別の見分け方(英文法 No.016)
過去形のワナ その2 「過去形の動詞」と「過去分詞」が見分けにくい
不規則変化動詞で覚えることになる「過去分詞」というものはわかりにくいと思います。
混乱しやすい「過去分詞 past particple」を少し解説します。
まず「分詞 participle」とは「動詞が変化した形容詞」です。
そして過去分詞は「過去時制」と関係ありません。
過去分詞の「過去」とは「動詞の過去形と同じ形の分詞」ということで名称が付きました。
例として規則変化動詞の help を見ていきましょう。
・help - helped - helped
「過去形」と「過去分詞形」の形が同じです!
これが「過去分詞」が「過去」と呼ばれる理由です。
さらに「think - thought - thought」のような(A - B - B)の不規則変化パターンでも同じです。
そうなると「過去形」と「過去分詞」が見分けにくいですね。
この場合は、見た目では区別がつかないので、別の見分け方が必要になります。
見分けるポイントは「品詞」が変わるということです。
・過去形(動詞)
・過去分詞形(形容詞)
つまり過去分詞は「形容詞」の使用パターンを見切れば、動詞の過去形と区別できます。
過去分詞をしっかりマスターしたい方はこちらをどうぞ
また過去分詞は「受動態 passive voice」と大いに関係しています。
・be動詞 + 過去分詞が受動態なんて大ウソ!受身は五文型で極める(英文法 No018)
過去形のワナ その3 「過去」と「完了」の違いがわかりにくい
「過去」と「完了」の違いはわかりにくいです。
英語の時制の中で「過去形」と「完了形」の違いは日本人にとって最難関のひとつでしょう。
その理由はカンタンで、両方とも日本語で「~しました」となってしまうからです。
日本語で違いがつけられないなら、どうやってみわけましょうか?
実は「過去形」と「完了形」は同じ「〇〇形」ですが、別のものです。
・過去 ⇒ 時制 tense(行動の時を表す)
・完了 ⇒ 相 aspect(行動の進行度を表す)
過去形は「過去時制 past tense」に対応する動詞の形です。
完了とは「完了相 perfect aspect」といって、行動が完了していることを表しています。
英語では「have + 過去分詞」で「完了」を表す言い方が一般的です。
しかしこれは「例外ルール」と呼べるもので、英文法の「基本ルール」 からは外れています。
なぜ「have + 過去分詞」が生まれた経緯を知りたい方はこちらをどうぞ。
・なぜ現在完了は「have + 過去分詞」をつかうのか?(英文法 No.019)
過去形のワナの抜け出し方
このように過去形には他の文法ルールと「形が同じ」や「和訳が同じ」という場合があるために、混乱してしまいます。
ですが、ひとつひとつの文法を理解していけば、意味を取り違えるようなことはなくなります。
「〇〇形」でひとくくりになっているものを「時制」「相」「態」に分解すると英文法がよりシステム的に機能します。
詳しく知りたい方はこちらをごらん下さい。
・時制・態って何? 現在・過去・未来・進行・完了・能動・受動の意味を理解する
過去形と過去分詞形を完全マスターすればチャンス!
最後に「過去分詞」に関するブログ記事を紹介します。興味の張る方は是非ご一読ください。
【 過去分詞の意味を正確に理解したい 】
過去時制と無関係? 過去分詞は「受身・完了」の形容詞(英文法 No.017)
【 受動態の正確に理解したい 】
be動詞 + 過去分詞が受動態なんて大ウソ!受身は五文型で極める(英文法 No018)
【 have + 過去分詞の意味を正確に理解したい 】
なぜ現在完了は「have + 過去分詞」をつかうのか?(英文法 No.019)
一般的な英文法書に書いてあることは「現代の用法」がほとんどなのですが、歴史的経緯から「ムチャな表現」が正式用法になっているものもあります。
こういった文法は過去の経緯を調べると「なるほど!」と思うことが良くあります。
過去分詞を例にとると「過去時制」と関係なく「完了相」と関係しています。
過去形の動詞と同じ形だから「過去分詞」と呼ばれるという経緯があります。
英文法の用語は「機能を的確に示すもの」と「たまたまそう呼ばれているもの」が混在しています。
このような英文法の用語の正確な意味を理解すれば、和訳丸暗記の英語と「差」が出てきます。
その「差」は世界に出たときに「大きな差」となって、相手に受け止めてもらえることになると思います。
コメントをお書きください
名無し (木曜日, 13 1月 2022 04:09)
ied変化のところ母音と子音ミスってますよ
あるま・まーた (木曜日, 13 1月 2022 12:08)
ご指摘助かりました!ありがとうございます。
最初はなにがおかしいのか自分ですら気づけなかったです。ほんとに感謝です!!