自分なりの目標設定方法を確立しよう
今年の初めに立てた目標を達成できたでしょうか。達成できなかった人や、目標の存在すら忘れてしまった人の原因は「目標設定の方法」にある可能性があります。
ここではビジネスシーンで活用されている9種類の目標設定の方法を紹介し、それぞれ個人的な「1年の目標設定」に応用するための考え方を解説します。
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***目次***
目標の立て方【基礎編】
1. ベーシック法
2. 三点セット法
目標の立て方【応用編】
3. ベンチマーク法
4. ランクアップ法
5. 期中設定法
6. SMART
7. KGI×KPI×KDI法
8. みんなの目標をみんなで考える
9. NLP式目標設定法
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目標の立て方【基礎編】
まずは目標の立て方の基礎が学べる、2つの方法を紹介します。今まで目標を立ててもうまくいかなかったという人は、この2つから始めてみましょう。
●1. ベーシック法
「ベーシック法」は「目標項目」「達成基準」「期限設定」「達成計画」の4ステップで構成される最も基礎的な目標設定方法。1年の目標を立てるとき、ついつい「個人の目標だから」とどこがゴールで、いつまでにどうやって達成するのかを曖昧にしがちです。これではとうてい目標達成はできません。ベーシック法の4つのステップで、まずは目標設定の基礎を学びましょう。
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▼目標項目の設定
目標項目は「何を達成するのか」を指します。大きく以下の4つのタイプがあります。
①向上・強化
現状で問題のない状態ですが、よりレベルアップさせていこうという目標項目です。例えば次のような目標がこのタイプに該当します。
→去年は英会話スクールに通って英語がだいぶ話せるようになったから、今年は実際に海外に行って英語を使ってみよう。
→去年は食生活改善やジョギングで体脂肪を減らせたから、今年は筋トレをしてもっとカッコいい体を目指そう。
②改善・解消
現状で問題を抱えていて、それを改善したり解消するという目標項目です。該当するのは次のような目標です。
→去年は浪費が重なってほとんど貯金ができなかったから、今年はお金をちゃんと貯めよう。
→去年は仕事ばかりでプライベートの時間がとれなかったから、今年は仕事を効率化して自分の時間を確保しよう。
③維持・継続
現状を維持すること、今までやってきたことを継続が難しい場合は、それも目標項目に設定できます。考えられるのは次のような目標です。
→去年は毎月50kmのジョギングを続けてこられたから、今年もこの調子で頑張ろう。
→去年は毎週時間をとってセミナーや資格の勉強をしてこれたから、今年もこれを継続しよう。
④創出・開発
新しいことを始めようとするときの目標項目です。1〜3のタイプに比べると失敗や未達成のリスクが高くなりますが、同時に達成したときの充実感や自分の成長度合いは大きくなります。例えば次のような目標が考えられます。
→去年までは映画や読書なんかの頭を使う趣味が多かったから、今年は格闘技に挑戦してみよう。
→去年までは何をするにしても1人で楽しむことが多かったから、今年はコミュニティに参加して交友範囲を広げてみよう。
どれか1つのタイプに絞って目標項目を設定してもいいでしょうし、タイプごとに設定して失敗や未達成のリスクを分散してもいいでしょう。
▼達成基準の具体化
次に達成基準、つまり「どれくらいできるようになれば、ゴールなのか」を具体的に設定します。いわゆる「数値化」です。しかしあらゆる目標項目が数値化できるわけではありません。そのため目標に応じて以下の3つの基準を使い分ける必要があります。
数値の基準:「毎月50kmのジョギングを継続する」など
状態の基準:「東南アジアで現地人とストレスなく英語で会話できる」など
スケジュールの基準:「今年中に勉強している資格を取得する」など
達成基準は具体的であるほど効果的です。
▼期限の具体化
「何を」「どれくらい」までが設定できたら、次に「いつまでに」を設定します。1年の目標を設定する場合は12月31日でも構いませんが、状況に応じて半期、四半期で分けてもOKです。
▼達成計画の具体化
「何を」「どれくらい」「いつまでに」だけでは目標達成のために行動が起こせません。準備ができていないと手をつけたくなくなるのは人の常。目標達成をするには「どうやって達成するか(達成計画)」を考える必要があります。
この達成計画は達成基準同様、具体的であるほど目標達成への効果が高まります。頻度や手段、活用ツールなど、あらゆる角度から具体化していきましょう。
例えば英語力のレベルアップを目標項目にするのであれば、「とりあえず海外に行く」よりは「3ヶ月に1回海外に行って、1人以上の現地人と連絡先を交換する」のほうが、目標達成のために行動しやすくなります。
以上が「ベーシック法」です。
まともに目標設定をしたことがないという人は、まずこの方法から試してみましょう。
●2. 三点セット法
続いて紹介する「三点セット法」は、ベーシック法をより掘り下げた目標設定方法です。三点セットとは「テーマ」「達成レベル」「達成時期」の3つです。以下ではそれぞれを設定する際の方法や考え方を解説します。
▼「テーマ」を見つけるための3つの方法
テーマはすなわち「何を達成するのか」です。テーマは「英語力を磨く」といった漠然としたものより、「ネイティヴとスムーズに会話できる」といった具体的なものであるほど達成しやすくなります。ではどうすればテーマを具体化できるのでしょうか。それが以下の3つの方法です。
①正早安楽
「せい・そう・あん・らく」と読みます。これは業務改善の用語で、業務は「より正しく、より早く、より安く、より楽に」行われるべきであるという考え方を示しています。しかしこの4つのキーワードは日常生活にも応用できます。例えば部屋の掃除をするときに正早安楽を当てはめてみましょう。
・正:よりきれいにする。
・早:より時間をかけずにきれいにする。
・安:よりお金(あるいは手間)をかけずにきれいにする。
・楽:より体や頭を使わずにきれいにする。
もちろん全てのテーマに正早安楽が当てはまるわけではありませんが、業務改善と性質が似ているテーマであれば高い効果を発揮してくれるはずです。
②自己否定による影響分野発見法
これは「自分が○◯をうまくできなかったら、どんな問題が起きるか?」という切り口からテーマを具体化する方法です。仕事で考えると以下のようになります。
・自分が電話応対をうまくできなかったら、
・自分よりやるべき仕事が多い先輩や上司が電話を取らなくてはならなくなる。
・だから電話応対ができるようになろう。
これをプライベートに置き換えると、次のような例が考えられます。
・自分が体型管理をうまくできなかったら、
・服が似合わなくなったり、異性にモテなくなったり、体を動かすのが面倒になる。
・だから服の似合う体型や異性にモテる体型、機能的な体型を目指そう。
◯◯の部分に見て見ぬ振りをしがちな自分の問題を入れ込むと、改善・解消のための具体的なアクションにつながるテーマが見つかるかもしれません。
③プロセスチェック
当たり前のようにこなしてしまっているルーティンを、ブラッシュアップするときに効果的な方法です。例えば「もっと睡眠の質を上げよう」というテーマを思いついたとします。
しかし今の生活のどこをどうすれば睡眠の質が上がるかがわかりません。仕事から帰ってきてから寝るまでの、自分の行動の流れ(プロセス)を洗い出すのです。
すると寝る前にスマホをいじっていたり、入浴後に近所のコンビニにお酒を買いに出ていたりといった、睡眠を妨げる行動が浮かんでくるでしょう。
この場合、具体的なテーマは「寝る前はスマホを置いて本を読む」とか「入浴後には家から出ない」といったものになっていきます。
▼「達成レベル」を正しく設定するための重要な視点
達成レベルはベーシック法での達成基準を指します。達成レベルは具体的であるほど効果的ですが、だからといって無理に数値化すると目標が目標でなくなってしまいます。
その典型が「0か100かの数値化」です。例えば次のような達成レベルを設定したとしましょう。
・今年は無駄遣いを0にする。
・今年は絶対に毎週3回ジムに行く。
「0にする」「撲滅する」という目標は、仮に目標設定をした直後に無駄遣いをした瞬間に達成可能な目標を1つ失ってしまいます。
これでは抱えている問題は解決できず、ただ「今年も目標を達成できなかった」という徒労感だけが残ります。
「100%達成する」「完璧に達成する」という目標も達成できる可能性は低くなります。逆にこのタイプの目標が達成できた場合、それはたいてい「特別努力しなくても当たり前にできたこと」を目標にしているだけです。
重要なのは実現可能で、かつ少し努力が必要な達成レベルを設定すること。「0か100かの数値化」の罠におちいらないよう、数値の基準以外の状態の基準やスケジュールの基準も使い分けて、正しい達成レベルを設定しましょう。
▼「達成手段」は2つの工夫でレベルアップ
達成手段はベーシック法の達成計画を指しますが、ここではより具体的な考え方を2つ紹介しましょう。ひとつは「今までのやり方を少しだけ変える」という考え方です。
仮に「交友範囲を広げよう」という目標に対して、去年までは異業種交流会ばかりに行っていたとしましょう。
もし去年までのやり方で目標を達成できないのなら、より深い部分で共通の話題を持っている趣味のコミュニティへの参加に切り替えるという達成手段が考えられます。
例えば登山会などに参加すると、企業の重役クラスや経営者も多く参加しているので、下手な異業種交流会よりも意味のある人間関係が築けます。
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もうひとつの考え方は「今だからこそできることは何か」という考え方です。先ほどの「交友範囲を広げよう」なら、4月は「とにかくあちこちのお花見に参加しよう」とか、夏は「誘われたBBQには全部参加する」といった達成手段も考えられます。
その時期にしかないもの、あるいは今年しかないものを利用すると、新しい角度から達成手段を具体化することができます。
以上が三点セット法です。ベーシック法と合わせて活用してみてください。
目標の立て方【応用編】
以下ではベーシック法と三点セット法の考え方を下敷きに、7つの応用編を紹介していきます。
どうやって目標項目(テーマ)や達成基準(達成レベル)、期限や達成計画(達成手段)を考えるのかの参考にしてみてください。
●3. ベンチマーク法
「ベンチマーク法」は目標を立てるにあたって、ライバルをベンチマーク(水準点)に設定する方法です。
この方法で重要になるのは「自分がベンチマークを超えた先に何があるのか」「自己分析とライバル分析」「ライバルが成功している要因は何か」です。
▼「自分がベンチマークを超えた先に何があるのか」
本来ベンチマーク法はビジネスシーンで活用される目標設定方法なので、ベンチマークを超えた先には顧客の評価があります。しかし個人的な1年の目標には基本的に顧客のような存在はなく、「自分がどうなりたいか」しかありません。
したがってベンチマーク法を利用する際は、ベンチマークの根拠となる目標項目の具体化が前提となります。まず達成したい目標項目を設定したうえで、それを達成するための具体的なベンチマークとしてライバルを選ぶ、という順番です。
▼「自己分析とライバル分析」
目標項目が設定できたら、次に行うべきが目標に対して「自分がどこにいるのか(=自分のレベル)」と「ライバルがどこにいるのか(=ライバルのレベル)」の分析です。
分析をする際はベーシック法で使った3つの基準を意識しましょう。数値化できればそれに越したことはありませんが、数値化に固執しない視点も必要です。
▼「ライバルが成功している要因は何か」
ライバル分析の中でもライバルが成功している、自分より優れている要因(KFS、Key For Success)を明確にする作業は特に重要です。場合によっては目標達成までに大きな遠回りをする可能性があるからです。
例えばものすごくスタイルの良い同僚をベンチマークにして、彼にその秘訣を尋ねたとしましょう。すると彼は「うーん、毎日ジョギングしているくらいかなあ」と答えました。
これを鵜呑みにして一生懸命ジョギングに励みましたが、なかなか効果が出ません。なぜならジョギングのダイエット効果は大したものではないからです。
改めてベンチマークの同僚を観察してみると、彼の食生活は自分のものと比べてはるかにヘルシーなことがわかりました。食生活改善のダイエット効果は、改善前の食生活が荒れているほど大きくなります。
それはジョギングの比ではありません。つまりライバルのKFSは「ジョギングの習慣」ではなく「ヘルシーな食生活」にあったということです。
以上がベンチマーク法のポイントです。ベンチマークにしやすいライバルが身近にいたり、ライバルを設定した方が燃えるという人に適した目標の立て方です。
●4. ランクアップ法
ランクアップ法は確実に自分を成長させるための目標「ストレッチ目標」を正しく設定するための方法です。ランクアップ法では改善、代行、研究、多能化、ノウハウの普及、プロ化の6つの切り口で目標項目を考えていきます。
▼改善
現状のネガティヴな部分に注目し、それを改善する形で目標項目を設定するという切り口です。ネガティヴな部分とは「部屋が汚い」「下っ腹が出ている」「酒癖が悪い」「異性にモテない」などのこと。汎用性が高い切り口です。
▼代行
先輩や上司など「自分よりランクの高い人の仕事を代行できるようになる」という形で目標項目を設定するという切り口です。仕事面での目標設定に役立ちます。
▼研究
あるテーマについて自分に取り入れられるか、取り入れるメリットはあるかを研究することそのものを、目標項目や達成基準に設定する切り口です。例えば「投資を始めるために、どんな金融商品が自分に合っているかを研究し、比較検討しよう」などが考えられます。
▼多能化
今持っているスキルやノウハウに加えて、異なるジャンルのスキルやノウハウを磨くという形で目標項目を設定するという切り口です。例えば長年ブラジリアン柔術に親しんできた人が、柔術とは違う体の動きを身につけるためにボクシングを始めたり、ヨガをやってみたりするのも多能化の切り口から生まれる視点です。
▼ノウハウの普及
自分のスキルや経験を、第三者でも習得できるようなノウハウとしてまとめる形で目標項目を設定するという切り口です。例えば洋服が好きな人が「自分の服選びの基準や服の知識を、ブログやSNSで発信していこう」と行動するのは、ノウハウの普及という切り口から生まれる発想です。
▼プロ化
スキルやノウハウを専門家レベルにまで高める形で目標項目を設定するという切り口です。例えば趣味でやっているだけの筋トレのノウハウを、AT、CPT、JATIなどが主宰しているスポーツトレーナー認定資格を取得することでプロレベルに引き上げる、などが考えられます。
以上がランクアップ法で使う切り口です。6つの切り口で具体化した目標項目を、ベーシック法や三点セット法に当てはめると、より質の高い目標が立てられます。
●5. 期中設定法
期中設定法は、チャレンジ性の高い目標を設定するための方法です。チャレンジ性の高い目標というのは得てして「やってみなければわからない」部分が大きいものです。
その場合、達成の目安にするための基準や、達成のための手法やツールも確立しておらず、ベーシック法で見た「目標項目」「達成基準」「期限」「達成計画」を具体化することができません。
そこで期中設定法では1年や半年といった一定期間の中で徐々にベーシック法の4つの項目を明確にしていき、最終的に目標を達成するというやり方をとります。
▼期中設定法のメリット
この方法のメリットは大きく2つ。ひとつはチャレンジ性の高い目標に挑戦できる点、もうひとつは無茶な目標を立てて未達成に終わることを防げる点です。
やってみなければわからない部分が大きいにもかかわらず、年の初めに無理に目標を立ててしまうと得てして実現不可能な目標(というより理想)になってしまいがちです。
例えば投資の勉強を全くしてこなかった人が、何も考えずに「年間100万くらい儲けられたらいいな」などと目標を立てるようなものです。ちなみに、年間100万円の利益を投資で出そうとすると、比較的高利回りとされる年利5%で資産運用したとしても、2,000万円の資金が必要です。
何か全く新しいことを始めるためには、ランクアップ法で見た「研究」に基づく目標項目を組み合わせながら、少しずつ前進していくしかないのです。
▼「あいまいな目標」と「目標の明確化作業」が期中設定法のキモ
期中設定法は「あいまいな目標」を立てるステップと「目標の明確化作業」を行うステップで構成されます。
・あいまいな目標
あいまいな目標とは投資なら「投資を始めてみる」、筋トレなら「筋肉をつけたい」程度の目標です。投資や筋トレの勉強をしなければわからないことが大半なので、おおまかなコンセプトだけを決めるというわけです。
・目標の明確化作業
この目標をブラッシュアップして明確化していくのが次のステップです。1年のうちのいつまでに、どれくらい、どうやって目標を明確にしていくかを設定していきます。
以上が期中設定法の内容です。チャレンジ性の高い目標のほか、「なにもわからないけど、なんとなくやってみたい」という漠然とした目標を、実現可能な目標にしていく際に効果的です。
●6. SMART
「SMART」はベーシック法の4つの項目のうち、目標項目設定の精度を上げることに特化したツールです。SMARTのアルファベットはそれぞれ以下の意味を持っています。
・S:Specific(明確かつ具体的である)
・M:Measurable(測定可能である)
・A:Achievable(達成可能である)
・R:Result-based(成果に基づいている)
・T:Time-line(期限がある)
このSMARTは、いわば理想的な目標項目の特徴をコンパクトにまとめたものです。S、M、R、Tについてはすでにここまでの5つの目標の立て方でも触れた内容なので割愛しますが、Rについてだけは掘り下げておきましょう。
『これだけ!SMART 圧倒的に成果が上がる目標設定の技術』によれば、SMARTのうちRが最も重要で、目標設定はこのRから始めるべきだとされています。
「成果に基づいている」というのは、目標を達成したことによって得られる結果に対して、自分が当事者意識とモチベーションを持って向き合えている、ということを意味しています。
つまりResult-basedな目標を設定できれば、私たちは目標に対して高い達成意欲を持つことができるのです。
どんなに明確で具体的な目標でも、どんなに目標が数値化されていて達成可能でも、達成期限が明日に迫っていたとしても、そこに達成意欲がなければ個人の1年の目標を達成するのは難しくなります。逆に達成意欲さえあれば、多少無茶な目標でもなんとかなります。
Rの重要性を十分理解しつつ、SMARTを使って自分が設定しようとしている目標項目のチェックをしてみてください。
●7. KGI×KPI×KDI法
次に紹介するのは最終目標(KGI、Key Goal Indicator)、中間目標(KPI、Key Performance Indicator)、行動目標(KDI、Key Do Indicator)の3つの指標を使った目標の立て方です。
KGIとKPIは既存のビジネス用語ですが、KDIは株式会社ZUUの冨田和成さんの著書『鬼速PDCA』で紹介されていた用語です。
個人の1年の目標に置き換えると、KGIは1年の終わりに達成したい目標、もしくはより長い期間(10年や一生でも可)に達成したい目標を数値化したものです。
KPIはこのKGIを小分けにし、1年のうちの四半期や半期、もしくは10年や人生のうちの1年で達成したい目標を数値化したものです。もうひとつの指標であるKDIは、KPI達成のための行動を数値化したものです。
▼KGI×KPI×KDI法の実践例
筆者はこの方法を使って、以下のように筋トレの目標管理をしています。
毎月末1回のMAX重量測定を行うことで、何も考えずに進捗を確認でき、進捗に基づいて改善策を考えられるようになっています。
これが3つの指標を組み合わせたKGI×KPI×KDI法です。他の方法で設定した目標項目を、確実に管理するのに適した方法となっています。またこのやり方では数値化が全てになるので、もし自分で考えてみて数値化が難しそうなら、他の方法をおすすめします。
●8.みんなの目標をみんなで考える
ここで紹介している9つの目標の立て方のうち、8つは自分の目標を自分で考える方法です。しかし「目標は自分で立てるもの」というのは固定観念。別に他人に考えてもらっても構わないのです。
ただしいきなりわけのわからない目標を与えられても興味もやる気も出てきません。あくまで自分のことを理解してくれた状態で、目標を提案してもらう、提案し合う状況を作る必要があります。みんなの目標をみんなで考える場を作るための条件は以下の3つです。
・利害関係のないメンバーであること。
→利害関係があると「この目標を達成してくれれば、提案した自分に利益がある」という考えが入り込んでしまい、本人にとって最善の目標にならない。
・自分の過去や現在を、丁寧にわかりやすく説明する時間を作ること。
→文章や映像、写真やPowerPointなど、何でも構わないので自分がどんな人間なのかをメンバー間で話し合う。
・全員が全員の目標について提案すること。
→例えば1人が自分の目標についてだけ提案を受け付けないとなると、その1人は無茶な提案ができてしまう。
この方法で目標を設定しようとすると、自分のことを理解してくれたうえで、自分とはまったく違う視点から目標を提案してもらうことになります。
それは人生の新たな局面を開くきっかけになるでしょう。「普通の目標の立て方じゃつまらない」という人は、「みんなの目標をみんなで考える会」を主催してみてはいかがでしょうか。
●9. NLP式目標設定法
NLP(Neuro Linguistic Programming、神経言語プログラミング)とは、オバマ元大統領やブレア首相が学んで演説に活かした※1ともされている、1970年代初頭に生まれた心理学理論です。
この心理学理論は心理学と言語学の観点から作られた人間心理とコミュニケーションに関する学問で、NLP式目標設定法はこの学問に基づいた目標設定方法です。
非常に簡単にまとめるとするなら、NLP式目標設定法は「言語的・心理的に目標達成後の自分をより具体的にイメージするための方法」ということができます。具体的な実践方法は以下の通りです。
※1日本NLP協会より抜粋
この方法もベーシック法でいえば目標項目の設定が大半を占めています。8つのステップで目標達成への道筋がかなり具体化しているものの、やはり他の方法との組み合わせは必要でしょう。
自分に合った方法で、自分に合った目標を
どんなに革新的な目標の立て方も、どんなに実績のある目標の立て方も、それが自分に合っていなければ効果は半減してしまいます。
ここで挙げた9の方法のうち、ひとつでも「これは自分に合っていそうだな」と思ったものがあれば、それこそが自分にとってのベストの目標の立て方です。
自分に合った目標は、目新しい方法論ではなく、そうした方法論から生まれてきます。来年こそは自分の目標を確実に達成する一年にしましょう!
参考文献
『すぐ使える、すぐできる 目標設定法』
『仕事が必ず達成できる目標管理マニュアル』
『これだけ!SMART: 圧倒的に成果が上がる目標設定の技術』
『鬼速PDCA』