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画像ファイル名:1644843047683.png-(659589 B)
659589 B22/02/14(月)21:50:47 noarchiveNo.897316307+ 22:51頃消えます
「ただいまー」
リビングの扉を開き、電気を付けながら呟く。いつの間にか習慣になってしまったそれに返事をする声は当然ない。
深く息を吐き出しながらソファに歩み寄り、足元にバッグを置いて腰掛け、背凭れに深く身を預ける。今日は午後の練習を早めに切り上げ、教え子のリフレッシュに付き合い寮まで送り届けるのが仕事だった。
「送ったらそのまま帰っていいよ、最近根詰めっぱなしだったでしょ」
学園を出る前にこっそり伝えに来てくれたトレーナーの姿を思い出して目を閉じる。前哨戦を勝ち抜いた彼女が次に向かうのはG1の舞台。初めて挑戦することもあって、できることならなんでもしてあげたかった。その気負いをトレーナーは見抜いていたのだ。
「……やっぱり勝てないわね……」
眉尻を下げながら吐息とともに零し、トートバッグを開けると顔を覗かせるバレンタインということで教え子や他の生徒に渡されたチョコレートの数々。
その可愛らしいラッピングに包まれたその一番下、黒い包装紙に赤いリボンを付けた箱を取り出してクロノはため息を吐いた。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
削除された記事が4件あります.見る
122/02/14(月)21:51:05No.897316438+
「……渡せなかったなあ」
現役時代、トレーナーの時間を独り占め出来ていたことがどれだけ贅沢なことだったのかを改めて認識させられるとは。悔し紛れに小さく唸って立ち上がる。可哀想なチョコレートは冷蔵庫の最上段少し奥に収められた。
簡単に家事をしてシャワーを浴び、練習メニューや記録をまとめ終える頃には夕食には少し遅い時間になっていた。
不意にクロノの耳がぴくりと動き、パソコン画面から顔を上げる。
「ただいまあ」
「おかえりなさい」
疲れを滲ませた顔で帰宅するトレーナーを見ると、自分が走っていた頃には見せまいとしていたその顔を見せられるくらいには気が置けない仲になったのかと思うと嬉しくなる。
ソファから立ち上がり、出迎えに顔を見せてからキッチンへ向かう。
222/02/14(月)21:51:33No.897316667+
「クロノご飯食べた?」
「ううん、まだ」
「先食べてて良かったのに」
「ちょっとまとめてから食べようと思ってたのよ」
「ほんとにー?」
「ほんと」
コートを片したトレーナーがいつの間にか鍋を混ぜているクロノのすぐ横に立ち、シンクに手をついて彼女と同じように鍋の中身を眺めている。
「いい匂い」
「ほら、お風呂入ってきちゃって。パンもあたためておくから」
「はーい」
間延びした良い子の返事を残し、足音が遠退いていくのを聞きながらビーフシチューを温める。いい匂いと言っていたけれど、昨夜も同じメニューだったのにとクロノは思う。そんなにビーフシチューが好きだったのかと考えながら鍋に蓋をし、トースターにバゲットを入れ軽く焦げ目が付く程度に焼き始める。
テーブルにランチョンマットを敷いてカトラリーを用意している最中、扉の向こうから届いた物音に深皿を二枚取り出す。
322/02/14(月)21:52:12No.897317027+
「お茶持ってくね」
「ありがとう」
ビーフシチューを皿によそっているクロノに声を掛けながらトレーナーが冷蔵庫を開ける。棚の一段目から昨日彼が作ったオクラとタコのマリネを小皿に盛り付け、用意されていたコップに麦茶を注いでキッチンをあとにするその背中を追いかけるようにしてクロノも戻り、ランチョンマットの上に皿を置いて隣に腰掛けた。
「今日も一日お疲れさまでした!」
「お疲れ様でした」
軽く持ち上げて乾杯してから麦茶を数口飲み込む。トレーナーが気紛れに作ったマリネも時間を置いて更に味が染み込んでおり、その美味しさを伝えるようにクロノの尻尾がソファを優しく撫でた。
夕食に舌鼓を打ち、綺麗に食べ終えたあと二人でそれぞれの食器を手にしてキッチンに向かい、軽くすすいだあと腕まくりを始めたトレーナーに引き継ぐ。
「お酒準備しておくわね」
「ありがと」
そう多くない洗い物が終わる前にグラスを取り出し冷蔵庫を開け、小振りの瓶を掴んで一足先にソファに戻る。
422/02/14(月)21:52:25No.897317128+
スパークリングワインの中でも度数が低く、飲みやすいそれを平日からひと瓶飲み切るには罪悪感がある中、中身を半分ずつにして食後の時間をのんびり楽しむのがいつの間にか日常になっていた。
テレビの音をBGMにして口当たりの良いワインを楽しみ、時折耳が拾った単語で全く別の方向に話しを飛ばしたりしている最中、クロノがグラスに唇を付けたタイミングでチョコレートのCMが流れた。
「クロノ今年めちゃくちゃもらってたなあ」
「私もびっくりしちゃった」
トレーナーと一緒にいるときはもちろん、一人で廊下を歩いているときや教え子と図書室から戻るときなど、どこか緊張した面持ちのウマ娘から声を掛けられチョコを手渡された。
「憧れで、目標です。なんて、……私が走っていたのなんてもう随分前なのに」
遠い昔を懐かしむように目を細めながら淡い金色の中で泳ぐ泡を追いかけ、グラスを指先でなぞる。その横顔はトレーナーが見ていた頃よりずっと大人びていて、伏せられた長い睫毛の影がほんのり桜色になった頬に落ちる姿は可愛らしさよりも美しさがぐっと増している。
522/02/14(月)21:52:45No.897317300+
「それだけクロノの走りが格好良くて、みんなの記憶に残るレースだったってことだよ」
「もう、やめてよ。それにあなただってもらってたじゃない」
ぺちぺちとトレーナーの太ももと叩きながら照れからか更に頬を赤くしたクロノににやにやと口元を緩めながら続ける。
「全然もらってないし、むしろクロノさん今いますか?ってめっちゃ聞かれたもん」
「えっ、そうなの?」
「クロノが人気なのは嬉しいけど複雑やったなー。それに……」
「それに?」
トレーナーがグラスを持って一口。
「好きな子から貰えなかったし」
一瞬の静寂。「大切な人にチョコレートを贈ろう!」とやけに明るい女優の声だけが響く。
「クロノから貰えなかったし」
テレビ画面に向いていたトレーナーの瞳が、驚いて固まったままのクロノを捉えている。その声は責めるというよりも子どものように拗ねたものだった。
622/02/14(月)21:53:02No.897317443+
「……そ、それは」
「めちゃくちゃ期待してたのに」
トレーナーにウマ耳が生えているはずがないのに、クロノにはぺたりと伏せられた耳が見えたような気がした。
「だ、誰かに貰う前に一番に渡そうと思ったの。けどリキュールを入れたのを思い出して……もちろん酔っ払うような量ではないから休憩中ならって、思って、いたんだけど……」
クロノが慌てて口を開く。そう、本当にそう思っていた。だがその時間を青春を謳歌している可愛い可愛い後輩たちに割くと決めたのもクロノ自身だった。
「もう夜やからお酒入っててもいいと思うな、僕は」
「そうね、私もそう思う。……ちょっと待ってて」
用意はしていてくれたという事実に元気になったトレーナーが、今度は子どもがおもちゃをねだるときと同じ顔をしている。去年も一昨年も渡していたこともあり、その落胆はクロノが考えている以上だったのかもしれない。
立ち上がって冷蔵庫に隠すように収めていた小さな箱を取り出す。初めて作った日からクオリティの差はあれど、この包装も毎年同じ。クロノとトレーナーを繋いだ大切なもの。
722/02/14(月)21:53:26No.897317633+
ソファに座り、互いに背筋を正して膝を突き合わせる。クロノとしては休憩時間に「甘いものでもどうぞ」という軽さで渡すつもりでいたためこんな風にかしこまることは想定しておらず、真っ直ぐに見つめ返してくるトレーナーに緊張してしまう。
小さな包みを掴む指に力を入れ、深呼吸を一つ。
「ハッピーバレンタイン、トレーナー」
「ありがとう、クロノ」
えへへ、と嬉しそうに笑って受け取る顔がいつになっても愛らしくて、クロノの胸がいっぱいになる。
走り終えるたび、笑顔で出向かえてくれるのが好きだった。彼の顔を見て安堵するようになったのはレースに出るようになってからそう遅くはなかった気がするが、その笑みをきっかけに特別な感情を抱くようになったのはきっと、最後の冠を手にしたあの日だろう。
「  さん」
「へ?」
恥ずかしくて普段は滅多に口にしない名を呼ぶと、嬉々として包みを剥がそうとしていたトレーナーが間の抜けた声を漏らしながら停止する。
彼の膝に両手をついてぐっと背筋を伸ばし、顔を寄せて柔らかいところに唇を触れさせる。包装紙に爪先を引っ掛けたままの状態で固まっているトレーナーの瞳を下から覗き込んだ。
822/02/14(月)21:53:57No.897317873+
「……好きよ」
未だ現状を把握できていない彼の呆気に取られた顔を見て小さく笑いながら鼻先を擦り合わせる。「剥がすの手伝いましょうか」と悪戯な声で我に返ったのか、箱を互いの間に置いて両手をクロノの頬に添えた。
「僕も好きだよ、クロノ」
クロノがしたよりも少しだけ長く触れ、まろやかな頬の山を撫でて黒の中に淡さが増え始めた髪を指先で梳いてひと束手中に残し、口付けが落とされる。
「ず、随分キザなことするのね、誰に習ったのかしら」
「先輩が昔ラヴズちゃんにやっててええなーって思って。クロノの髪も好きやし」
耳や尻尾だけでなく黒かった髪にも薄っすらと色が混じり始めた頃、洗面所の鏡を見ながら「色が変わっていく最中ってこんなに不格好なのね……」とぼやいた彼女に「そうかなあ、今しか見られないクロノやし、僕はちょっとずつ変わっていくのを見るの好きだけど」と廊下から顔を覗かせて告げたトレーナーの声が思い出され、クロノの頬が染まる。
922/02/14(月)21:54:07 おわりNo.897317942+
「……ばか」
「ほんとは全部好き」
「ばか!」
あまりの恥ずかしさから耳を絞り、トレーナーの胸に頭突きをする。鈍い声が上がったのも気にせずにそのままでいると、トレーナーの腕が背中に回り彼女の髪に頬を寄せる。
そのぬくもりにクロノは幸せそうに微笑み、両腕と尻尾で抱き締め返した。
1022/02/14(月)21:54:22 sNo.897318064そうだねx11
今日はバレンタインです!どれだけイチャイチャしても許される素敵な日です!
引退後サブトレの道を選んだグランプリ女王兄貴とトレーナーです
覚えてくれている人がいれば初詣デートの二人でもあります
空欄には好きな名前を入れてね!
これ書いてる最中に兄貴の最近の写真があがってましたが引退のときより白くなったなあとなんかしみじみしちゃいました
1122/02/14(月)21:56:11No.897318944+
久々にクロノ兄貴姉貴怪文書見た
1222/02/14(月)21:57:16No.897319483そうだねx1
良い…
1322/02/14(月)21:57:28No.897319574+
む!
1422/02/14(月)21:57:31No.897319586+
ペット来たな…
1522/02/14(月)22:00:14No.897320756+
甘すぎる…
1622/02/14(月)22:00:38No.897320927そうだねx5
>ペット来たな…
変な意味に聞こえるからやめろ
1722/02/14(月)22:01:43No.897321358+
いいお母さんになるよ
1822/02/14(月)22:02:51No.897321850+
グランプリ三連覇で兄貴呼ばわりされるけど実は乙女な姉貴
1922/02/14(月)22:06:21No.897323392+
>>ペット来たな…
>変な意味に聞こえるからやめろ
海外で一日中遊んだし…
2122/02/14(月)22:08:19No.897324248+
グランアレグリア「バレンタイン?それよりマイルは」
ラヴズオンリーユー「ヒトミミに渡すチョコなんてない」
カレンブーケドール「トレーナーとか誰でも同じだしいらない」

クロノ姉貴「…………」
2222/02/14(月)22:08:28No.897324312+
原作が強すぎるやつはダメ
2322/02/14(月)22:09:09No.897324631+
>グランアレグリア「バレンタイン?それよりマイルは」
>ラヴズオンリーユー「ヒトミミに渡すチョコなんてない」
>カレンブーケドール「トレーナーとか誰でも同じだしいらない」
>クロノ姉貴「…………」
クロノ姉貴が一番乙女じゃん…
2522/02/14(月)22:10:03No.897324963+
>グランアレグリア「バレンタイン?それよりマイルは」
>ラヴズオンリーユー「ヒトミミに渡すチョコなんてない」
>カレンブーケドール「トレーナーとか誰でも同じだしいらない」
>クロノ姉貴「…………」
メロディーレーン「みんなに作ってきたよ!」
2822/02/14(月)22:12:45No.897326133+
>メロディーレーン「みんなに作ってきたよ!」
👮うぅ…嬉しい…
2922/02/14(月)22:13:22No.897326380+
そろそろ芦毛になったんだろうか兄貴
3022/02/14(月)22:14:59No.897327085+
>そろそろ芦毛になったんだろうか兄貴
元から芦毛だよ!
3122/02/14(月)22:18:21No.897328472そうだねx2
バレンタイントレクロとは有り難い…
3222/02/14(月)22:18:48No.897328677そうだねx2
>クロノ姉貴が一番乙女じゃん…
乙女じゃないの戦績だけだし…
3322/02/14(月)22:19:14No.897328902そうだねx3
クロノ兄貴が乙女なのいいよね…
3422/02/14(月)22:22:35No.897330298そうだねx1
神様みたいな名前に鬼の様な戦績だけど甘えん坊で真面目なお嬢さんだからな
3522/02/14(月)22:23:14No.897330571+
どうして牝馬にクロノジェネシスなんて名前を付けたんだろうな…
3622/02/14(月)22:24:52No.897331295+
なんで牝馬にクロノジェネシスとかスパロボかアーマードコアの強敵として出てきそうな名前つけたんだろうね
3722/02/14(月)22:27:18No.897332225+
時空創世記クロノジェネシス
3822/02/14(月)22:41:57No.897338357そうだねx2
トレクロ大好き
3922/02/14(月)22:46:21 sNo.897340128そうだねx3
格好良い見た目と格好良い名前の女の子が格好良いレースするのいいよね…いい…

引退後しか書いたことがないのでまだコンビ組んだばっかりで現役中のレーススイッチ入ってる兄貴に内心ビビりまくってるトレクロもいつか書きたい

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