かまぼこ業界のエジソン 大崎勝一氏

 ことしの全国蒲鉾品評会の特別賞製品のひとつとして、広島の大崎水産の「こもちおどり」が選ばれた。詳細な説明を聞くと、驚くことに、「こもちおどり」は、カニ風味かまぼこに続いて、故大崎勝一さんが開発した「エビ風味蒲鉾」であることを初めて知った。

 勝一さんといえば、ある意味、かまぼこ業界のエジソン的な存在であり、伝説の人物でもある。いまや、世界を席巻するかにスティックかまぼこ。勝一さんの凄いところは、かに風味かまぼこという食品のみならず、それを生み出す機械ラインの設計図さえ、自分の手で、設計してしまったことである。

 その後、かまぼこ業界が、揺れにゆれた特許問題は、さておき、ここでは「こもちおどり」の特長について報告したい。

 その特長は①生えびをたっぷり練り込んでおり、えびの香ばしさ・甘さを味わえる②ぷりぷりとした歯ごたえのある蒲鉾の弾力と、ししゃも卵のプチプチとした食感③「こもちおどり」は1袋100g④ししゃも卵の無い「おどり」という製品もあるが、こちらは1袋450g⑤「おどり」「こもちおどり」ともに、茶碗蒸しの具、かきあげ、惣菜原料として仕出し店や飲食店で使われている。

 同社の大崎桂介専務は「業務用食材としては本物のむきえびと競合するので販売量自体は多くありませんが、永年のファンがついている商品です。本物のむきえびは加熱すると風味が抜けて食感が固くなりがちですが、「おどり」「こもちおどり」は加熱してもしなやかでプリプリした弾力のまま。細々ながら販売が継続出来ているのは、そういった面が評価されているのかもしれません」と語る。自社製品の中でも、「特にこもちおどりが好きだ」と言っている大崎水産社員も多いとか。

 生前の大崎勝一さんにお会いしたのは、1度きりだが、昭和57年、同社の本社工場が現在地に完成した直後だったと思う。すでに、社長の椅子は、息子の誠一さんに譲り、実に穏やかで好々爺然とした方だったのを懐かしく思い出す。大崎勝一氏が、かまぼこ業界に残した功績は、かに風味かまぼこのみならず、さらにさらに、大きなものだったことを改めて感じた。

画像
           大崎水産の「こもちおどり」





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