手続き論で改憲を止めるな
憲法改正の段取りを定めた国民投票法改正のめどが立ってきた。投票権を付与する年齢などの課題が解決せず、国民投票は事実上封印されてきた。手続き論を盾にして改憲を妨げるのは邪道だ。与野党は早期の法改正に向け、改正案づくりを急いでほしい。
改憲は衆参両院議員の3分の2以上で発議し、国民投票で過半数の賛成があれば可能だ。その具体的なやり方を規定した国民投票法は2007年に成立した。
「3つの宿題」が残った。ひとつが何歳から投票できるようにするかだ。自民党が20歳、民主党が18歳を主張し、原則18歳だが、民法の成人年齢などと整合性がとれるまで20歳とすることになった。
あと2つは(1)公務員が改憲への賛否を訴える活動をしてよいのか(2)改憲以外の案件でも国民投票をするのか――である。
これらは法施行後3年以内に解決するはずだった。だが、「20歳で成人」とする明治以来の法体系の見直しに霞が関が後ろ向きだったこともあり、論議が進まないままだった。
改憲をすぐに政治日程に載せるかどうかはともかく、「そのための手続きが完成していないから改憲できない」では立憲国家として恥ずかしい。
与党と民主党は今月、法改正後2年以内に投票権年齢の20歳から18歳への引き下げを目指すことなどで一致した。日本維新の会やみんなの党との調整も大詰めを迎えている。主要5党で共同提案できれば今国会での法改正の実現に大きく前進する。
世界では投票権年齢は18歳とする国が多いが、何歳が正解と言い切れる問題でもない。各党とも合意重視で議論を深めてほしい。
憲法は国の最高法規である。改憲手続きのような問題を政党の目先の党利党略に利用するのは好ましくない。
一刻も早く改憲の土俵を整え、改憲派と護憲派が正々堂々とがっぷり四つに組んだ憲法論議に期待したい。