「人類との歴史的和解の瞬間」に見えなくもない写真の白い物体は、米国 MLB Company が開発したVTOL飛行ロボ V-Bat。丸く膨らんだ基部にローターを備え、ふわふわとホバリングすることで狭い室内でも精緻な移動が可能です。
また写真では手前に伸びて分かりづらいものの固定翼を備えており(地面に落ちた影に注目)、垂直に飛び立って十分に高度を稼いでから水平飛行に移る、いわゆるテイルシッターな垂直離着陸機として長い航続距離も誇ります。
米国防総省の研究機関 DAPRA、国防高等研究計画局の資金で開発されたのは、このV-Bat に複数カメラと画像処理による機械視覚と、長さ6フィート(約1.8m)のアームを装備した機体。「通常の輸送方法では到達困難な地点に迅速に展開し、眼を使って目標物を探し、アームを使って軽いペイロードを正確な場所に設置する」までを、人間のオペレータが介在しない自律で実行できることを目的としています。
実際にアームを使った試験の様子は続きの動画をどうぞ。
DARPAの発表によれば、目標地点までの飛行はGPSで、到達してからの細かな移動やアームを使った動作にはGPSとステレオカメラによる視覚を併用するとあります。1.8mの腕で持てるペイロードの重さは1ポンド、約 450g。
眼と腕がついた巡航ミサイルを想像するとなかなか恐ろしいものがありますが、将来的には「片道2時間の通学先でも、忘れたお弁当を迅速かつ正確に下駄箱に入れてくれるお手伝いさんロボ」として実用化されるかもしれません。下はアームがついていないV-Bat のVTOL動作デモ。
なおカメラはアームの先と、アームの根本近くに搭載しています。残念ながら、白い胴体のなかばにある黒丸が単眼というわけではないようです。