アップル独自開発Appleシリコン「M1」チップ搭載Macにつき、同社の幹部がArm版Windows 10を動作させることは技術的に可能であると認め、それを実現するのは「マイクロソフト次第だ」と発言したことが報じられています。
M1搭載の新型Macは従来のインテル製チップと異なるアーキテクチャのため、BootCamp(Macにインテル版Windows 10をインストールし、起動時にmacOSとWindowsを切り替えられる機能)は不可能になったと見られています。
その代わりとして有力視されているのが、M1と同じCPUアーキテクチャを対象としたArm版Windows 10のインストールです。しかし記事執筆時点では、MSは同OSをプリンストール用にPCメーカーにライセンスするだけで、個人が自由にインストールできる製品やライセンスは提供していません。MSは6月に「OEMのみにライセンスしています」と答えるのみで、将来的に個人向けに提供するともしないとも明言せずに含みを持たせていました。
さて今回の新たな発言は、アップルのソフトウェアエンジニアリング担当VP(上級副社長)クレイグ・フェデリギ氏、製品マーケティング担当VPのグレッグ・ジョスウィアク氏およびハードウェアテクノロジ担当VP(チップ開発のトップ)ジョニー・スロウジ氏の3人が米Ars Technicaのインタビューに応じたなかで飛び出したもの。ほとんどの話題は別媒体でも語られたことと被っていますが、「M1搭載MacでのWindowsバイナリ動作」に話が及んだのが目新しいところです。
フェデリギ氏はマシン上でネイティブに実行されるWindows(つまりArm版Windows 10)につき「それは本当にMSにかかっている」と回答。さらに「我々はArm版Windowsを実行するためのコア技術を持っており、もちろんx86ユーザーモードのアプリケーション(32ビットアプリ)をサポートしています。しかし、ユーザーがMacで実行できるライセンスを提供するかどうかは、MSが決定しなければなりません。ともあれ、Macは確かにそれができる能力を持っています」とのことです。
またフェデリギ氏は将来的にクラウド版Windowsが利用できる可能性を示唆し、M1搭載Mac上でx86のWindowsアプリを実行できるCrossOverにも言及しています。
「M1搭載Mac上で仮想Windows環境を実現」といえば、米Parallelsも積極的に取り組んでいることを明らかにしていました。仮想化ソフトウェア企業にとっては死活問題のため熱心なのは当然ではありますが、アップルもMacでWindowsアプリ使用を望むニーズを重視しているのかもしれません。
Source:Ars Technica