日本大百科全書(ニッポニカ)「船問屋(ふなどいや)」の解説
船問屋(ふなどいや)
ふなどいや
廻漕(かいそう)問屋または廻船(かいせん)問屋ともいう。江戸時代から明治前期にかけて活躍した船舶運送取次ぎ人あるいは取扱い人のことである。かならずしも船舶を所有せず、船主と傭船(ようせん)契約を結び、荷主から依頼された貨物を輸送したり、荷主からの貨物を船主に取り次ぐことを主要業務とした。積み荷、廻船仕立ても業務に含まれる。商品取扱業である問屋、輸送人である沖船頭、この両者を取り次ぐ船問屋が分化するようになったのは全国的な商品流通が発展した江戸前期のことで、とくに上方(かみがた)―江戸間の海上輸送にあたった菱垣(ひがき)廻船と樽(たる)廻船が有名である。明治中期以降、汽船会社がおこるにつれて、船舶ブローカーが船問屋にとってかわるようになり、船問屋はしだいに消滅した。
[宮本又郎]
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