うどんやパスタにパン、ラーメン、ケーキ…。古今東西、さまざまな料理の「主役」となり「引き立て役」となり、大活躍してきた小麦粉。でも最近、家庭で小麦粉そのものを使う機会、めっきり減っていませんか?今回、ガッテンでは、おなじみの小麦粉にある“ひと手間”を加えることで、いろんな粉もの料理の食感が大きく変わったり、時短になったりと、うれしくなる活用法を大発見!なんと、グルテンのいかし方ひとつで、同じ材料でも、驚きの差が生まれるんです。家庭の粉もの料理を変える、家族や仲間で楽しめるワザの数々を大公開します!
粉もの料理のカギ!「グルテン」
小麦粉から作るさまざまな粉もの料理の仕上がりを大きく左右するのが「グルテン」です。「グルテン」は、小麦や大麦などからしかできない貴重なたんぱく質。小麦粉に水を加えて混ぜることで、まるで手をつなぐように、網目状に広がって作られるんです(左下画像)。
その「グルテン」が、なぜおいしさのカギとなるといえるのか?答えは、その独特の性質にあります。…というのも、とにかく強いのです!!
番組では、小麦粉と水をこねて作った生地から「グルテン」(右上画像)を取り出し、その性質を調べました。すると、中に空気を入れて作った“グルテンボール”(左下画像)は、なんとプロボクサーのパンチを受けても、ものともせず!「グルテンは」殴られても蹴られても、中の空気を逃すことなく、元の形を保つことができたのです(右下画像)。この他の食材にはない「グルテン」の驚異の粘りと弾力。これこそが、パンやパスタのもちもち感や、うどんのコシの源です。
つまり、この「グルテン」の特性を生かのすか?殺すのか?またそれをどう使うのか?が、粉もの料理の“神髄”と言えるのです。
■「グルテン」の取り出し方
[材料]
- 強力粉 100g(・あるいは薄力粉 100g)
- 水 50g
※番組で「グルテンボール」を作るために使用した量は強力粉300g、水150gです。
[作り方]
- 小麦粉に水を加え、よくこねる。生地がまとまり、全体がなめらかになったらOK。
- ボウルにたっぷり水をはり、できた生地を流水でもみ洗いする。 水が白く濁らなくなるまで洗ったら完成。
(※番組で作った粉300gの量では30分ほどかかりましたが、100g量では、15分ほどで水が濁らなくなります)。
(※洗い流された白濁した水に含まれているのは、デンプンです)。
グルテンを弱めるとふわっふわに!カステラの秘伝
小麦粉のグルテンをあえて弱めることで、美しい形状や食感を生み出しているお菓子があります。そのひとつがカステラです。昔からカステラ職人の間では、きめ細かく、ふわふわに膨らませることを目的に、グルテンを弱める“秘伝”が、経験的に伝えられてきたといいます(左下画像)。
そのうち古典的な方法が、新しい粉ではなく、「寝かした(長期間保管した)粉を使うこと」。というのも、粉を寝かすことで、グルテンのもとになる物質の手にあたる部分が酸化され、グルテンができにくくなります。その結果、「グルテン」が弱まり、生地の中の水分が膨みやすくなるというわけです(右下画像)。
さらに近年では、「粉を長期間、寝かす」のと同じような作用を短期間で生み出すための方法を製粉会社等が開発してきました。それが粉の「熱処理」です。ひきたての新しい粉を特殊な方法で加熱することで、寝かすよりも短い時間でグルテンを弱めることに成功したのです。
ガッテン流!フライパン粉の作り方
今回ガッテンでは、家庭で簡単にできるグルテンを弱める加熱法を実験で探りました。 その結果、導き出したのが、フライパンで2分半加熱する方法。この方法で作った「フライパン粉」を使うと、ホットケーキの膨らみがよくなったり、天ぷらがサクサクになったり、ホワイトソースがなめらかになることが、わかりました。
[材料]
- 薄力粉 100~200g
[作り方]
- 加熱する前のフライパンに薄力粉を入れる
(※熱したフライパンに粉を入れると飛び散ることがあるので、加熱前に粉を入れてください)。 - 強火にして2分半を目安に、焦げないように、かき混ぜながら炒める。
(※フライパンの材質や構造により熱の伝わり方が異なります。2分半より前でも焦げ始めたらすぐ火を止めてください)。
★小麦粉の香ばしいかおりがしてきたら、完成の目安です。 - 炒め終わったら、ボウルやバットに移し、あら熱をとる。
さらに、ザルで2回ふるったら「フライパン粉」のできあがり。
★保存をすると加熱の効果が薄れてしまうため、できるだけ早く使い切ってください。
※加熱時間は、ガスコンロの標準火力バーナーでの目安です。
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フライパン粉レシピ① ふわっふわホットケーキ
[材料]
(4枚分)
A
- フライパン粉 200g
- ベーキングパウダー 8g
B
- 砂糖 50g
- 卵 1個
- 牛乳 150g
- 溶かしバター 10g
[作り方]
- ボウルにBを全て入れ、砂糖が溶けるまで混ぜる。
- 1.のボウルに、Aをあわせてザルでふるい、全体の粉っぽさがなくなるまで混ぜる。
- フライパンを強火で1分予熱。そのあと、ぬれ布巾で1秒冷ましたら、すぐコンロに戻す。
- 中火にして、ボウルから、おたま1杯分をとり、10㎝ほどの高さから生地を 流し入れ、1分20~30秒ほど加熱する。
- ひっくり返したら、フライ返しで生地の中央を軽く押す。
フタをして、弱火で2分、加熱したら、できあがり。
(※生地の中央を軽く押す理由は、全体を均等に膨らませるため)。
※連続して焼くときは、1枚目を焼き終えたら、火を消さず、弱火のまま生地を流し入れて 4.と5を繰り返せばOK。
※加熱時間は、ガスコンロの標準火力バーナーでの目安です。
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フライパン粉レシピ② サクサク!天ぷら
[材料]
- フライパン粉 100g(※天ぷらの場合ふるわなくてもサクサクに揚がります)
- 水 170g
- 油 素材全体がつかる量
- 打ち粉用のフライパン粉 適量(30~50gほど)
※エビ天(ブラックタイガー)ならば10尾ほどの分量です。
[下処理](エビの場合)
- 尾を残して殻をむき、尾の端を切って包丁でしごき水分を出す。
- 背わたをとり、腹側に3か所、ななめに切り込みを入れ伸ばす。
(「フライ」の回の「ピーンとまっすぐ!ぷりぷりエビフライ」の項目に 下処理について詳しい手順があります)。 https://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20190116/index.html?c=food)
[作り方]
- ボウルにフライパン粉を入れ、水を1度に加え、少しダマが残るくらいまで箸で混ぜる。
- 下処理をした食材に打ち粉(分量外)をしっかりつけ、余分は粉をはたき、1.の衣にくぐらせる。
- 200℃の油で揚げる。
★グルテンが弱められたフライパン粉をつかうことで、衣中の水分が蒸発しやすくなります。
その結果、衣がサクッサクに、中はプリプリに仕上がりやすくなります。
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フライパン粉レシピ③時短&なめらか!ホワイトソース&グラタン
[材料]
■基本のホワイトソース
[材料](基本のホワイトソース/グラタン2~3皿分)
- フライパン粉 30g(※加熱時間の目安は強火2分。その他、前項目を参照)
- バター 30g
- 牛乳 400g
- 塩 2g(小さじ1/3)
[作り方]
- 深めのフライパンや鍋にバターを入れ、強火で溶かし、フライパン粉を加えて、ヘラで全体を混ぜる。
- いったん火を止め、冷たい牛乳と塩を一気に加えてよく混ぜる。
- 再度、強火にかけ、加熱ムラができないように、大きくヘラで混ぜながら加熱する。 とろみが出てきたらできあがり。
(※加熱時間の目安はおよそ3分。途中火を止めかき混ぜる時間をあわせると、 およそ5分で完成です)。
■グラタン
[材料](グラタン2~3皿分)
- 基本の量のホワイトソース (※上記で作った分量)
- 鶏もも肉 100g (※一口大に切る)
- エビ 適量
- タマネギ 1/2個 (※薄切りにする)
- マカロニ 100~150g
- チーズ 80~120g
- サラダ油 大さじ1
- 粉チーズ 適量
[作り方]
- フライパンでサラダ油を熱し、鶏もも肉、タマネギを炒める。
- 鶏もも肉の色が変わったらエビを加え、火を止めて、ホワイトソースとあえて、器に盛る。
- とけるチーズや粉チーズをのせ、オーブントースターで、7~8分焼いたら できあがり。
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ありあわせでもふわっと!達人直伝・お好み焼き
「粉もの」の“王様”ともいえる、お好み焼き。今人気の“ふわふわ食感”を目指そうと今回、「フライパン粉」でも作ってみましたが、結果大失敗…。グルテンが弱まっているため、キャベツなどの具がつながらず、バラバラになってしまったのです。
そこで、本場・大坂でお好み焼き店を営む達人を訪ね、秘伝のワザを教えていただきました。
そのポイントは2つ。
- 小麦粉と同量の水をよく混ぜ、グルテンがしっかりしたもったりした生地を作る
- 生地と具を混ぜるとき、空気をたくさん取り込めるよう縦方向の動きを取り入れる
さらに、取り込んだ空気を逃さないよう焼くことも大事です。
これを意識するだけで、同じ材料でも、固いお好み焼きが、ふわっとした食感に変わりますよ。
[材料]
(1枚分)
A
- 薄力粉 35g(※加熱していない普通の薄力粉)
- 水 35g
- キャベツ 130g(※5~7㎜程度のみじん切りにする)
- 卵 1個
- 豚バラ肉 適量
- 紅ショウガ 適量 (そのほか、あげ玉などはお好みで)
[作り方]
- A(薄力粉と水)をダマが残らないようによく混ぜる。
- ボウルにキャベツ、紅ショウガ、1の生地、卵の順に入れる。
(卵を乗せる場所に、穴を作って“卵ポケット”にすると混ぜやすい) - スプーンで、生地をなじませ、具の間に空気が取り込まれるように混ぜる。
できる人は「達人流チャーハン混ぜ」、難しければ「ガッテン流サクサクぐるり」の混ぜ方がおすすめです。【達人流チャーハン混ぜ】
- てっぺんに乗った卵をつぶし、伸ばす。
- スプーンを包丁のように人差し指を上にして持つ。
- チャーハンの鍋ふりのイメージで、カップだけを15~20回ほどゆっくり 動かす。その間、数回、下から上へぐるりとひっくり返し、全体をなじませる 動作も入れる。
【ガッテン流サクサクぐるり】
- 上から垂直にサクサクと何回かスプーンを刺し生地と卵を全体になじませる。
- 下から上へぐるりと空気を取り込むように混ぜ、10回ほど繰り返す。 その間、数回、サクサクと全体をなじませる動作も入れる。
(※カレースプーンを使うと混ぜやすいです)
★具のすき間を維持し、余計な水分が出ないようにするため、できるだけ少ない回数で混ぜ、すぐに焼くのがポイント。だから、1枚ずつ混ぜて焼いたほうがふわっとします。
★小さいボウルで混ぜるときは、こぼれてもいいようにフライパンの上で混ぜることを おすすめします。 - フライパンを強火で1分予熱する。
- 中火にし、生地をやさしくフライパンへ流し入れる。
★含ませた空気を逃さないように、あらかじめ、ボウルの中で生地をまとめておき、 そっと置くように入れるのがポイント。
★生地を広げるときは、スプーンのへりを使って、やさしく広げると、生地のふわふわ感が維持されやすくなります。
★中央部は周辺部より若干薄くすると火の通りが良くなります。 - 肉をのせ、そのまま中火で4分、ひっくり返し、さらに3分焼く。 (ふっくら焼くには、ヘラでおさえないでください)。
- さらに両面2分ずつ焼いたらできあがり。
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家族や仲間とぜひ!ふりふりうどん
全くこねずに、あっという間にうどんを作るワザ。小麦粉と水を入れた袋を10分間振るだけで、うどん生地ができてしまうんです。これは、振ることで生地が袋の壁にポンポン当たり、こねるのと同様の力が生地に加わっているから。強い力がいらないので、子どもや女性にもおすすめです。
[材料]
(2人分)
- 薄力粉 200g(※加熱していない普通の薄力粉)
- 水 90g
※厚めのビニール袋を用意してください。
[作り方]
- 薄力粉を袋に入れ、水を加える。
- 口を閉じ、10分間、袋を振る。
★袋の中に空気を入れておくと、振ったとき、生地がポンポン動きやすくなります。 - 生地がまとまったら、お好みの太さに切って麺にする。
- 麺の太さによって、5分~10分ほどゆでたらできあがり。
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