眼球が変形し様々な合併症を引き起こす「病的近視」。視界がゆがむ、視野がかける、暗く見えるなど、普通の近視とは全く異なり、その症状を放置すると失明してしまうリスクもあります。ある調査では40歳以上の人のうち1.7%が病的近視であると報告されています。今回は75年、3代に渡り近視研究を続けてきた医師たちが明らかにした、病的近視のメカニズムやその治療法、早期発見のためのセルフチェック法をご紹介します!
眼球が変形する!病的近視とは?
「病的近視」は眼球の網膜の部分が変形してしまうのが特徴。この変形により、様々な合併症を併発し、失明のリスクにつながる場合も。遺伝的になりやすい人がいることも知られていますが、どんな人が病的近視になりやすいのか、詳しいメカニズムはまだわかっていません。
病的近視の最新治療
病的近視の合併症の代表的なものとして「黄斑変性」「網膜剥離」「緑内障のような症状」が挙げられます。それぞれの合併症に対して症状を改善させたり、進行を遅らせたりする治療法があります。
- 「黄斑変性」
網膜の中心部にある「黄斑」はものを見るために重要な組織です。眼球の変形が起きることで黄斑がダメージを受けると、ものがゆがんで見えるなどの症状が出ます。「抗VEGF薬」という薬剤を眼球に注射する治療で、症状の改善が期待できます。
- 「網膜剥離」
眼球の変形により網膜がはがれ「網膜剥離」が起こることがあります。網膜剥離になると目の前に飛ぶものや光が見える症状が出ることがあります。剥がれた網膜を元に戻す手術が必要になります。
- 「緑内障のような症状」
眼球が変形することで、網膜だけではなく網膜に映し出した像を脳に伝達する視神経もダメージを受けます。視神経が圧迫されると、視野が欠ける緑内障のような症状が出ます。緑内障用の目薬を使った治療で、眼にかかる圧力を低下させ症状の進行を抑えます。
こんな症状が出たら一度眼科へ!セルフチェック法
病的近視による失明を防ぐためには、早期発見し適切な治療を受けることが重要です。簡単にできるセルフチェック法をご紹介します!
まず10cm四方の紙に5ミリ間隔のマス目を書きます。それを、片目を閉じた状態で30cm離して、中央の黒い点を見てください。メガネはかけたままでも大丈夫です。
マス目がゆがんで見える、一部が欠けて見える、中央が暗く見えるなどの症状はありませんか?このような症状を感じたら一度眼科を受診してみてください。
以下からマス目が書かれたチェックシートを印刷することができます。
※A4サイズの紙で印刷してください。
※機器の設定などにより指定のサイズにならない場合は、ご自分でマス目をお書きください
また、日常生活の中で次のような症状が一つでも出る方も、一度眼科で相談してみてください。