ポスター規制「形骸化」 任期満了前半年、政治活動に限定 関係者「故意に無視」
熊本日日新聞 | 2022年02月13日 11:03
今夏改選を迎える参院議員の任期満了まで半年となり、熊本県選挙管理委員会は1月下旬、各政党に候補者の氏名を類推させるポスターの撤去を求めた。選挙前に候補者が露出するのを避けるためだが、政党主催の演説会など政党や政治団体の活動名目なら、公示前までは候補者が写ったポスターを張り続けることが公職選挙法上、可能だ。一般の有権者には分かりにくく、選挙関係者からは「ポスター規制自体が形骸化している」との声も上がる。
1月下旬、熊本市中央区の住宅街のビルに、次期参院選に立候補を予定する自民党現職の松村祥史氏のポスターが張られていた。
ポスターには松村氏だけでなく、地元選出の自民衆院議員、木原稔氏の写真と名前も印刷され、松村氏のスペースは全体の3分の1以下に抑えられている。政党の演説会の告知が目的という通称「2連ポスター」。通りがかった同市中央区のパート本村道子さん(64)は「松村さんを勝たせたいなら1人のポスターにすれば目立つのに。なんで2人写っているんでしょうね」と首をかしげた。
1994年の公選法改正で、すべての国政と地方選挙で任期満了まで半年を過ぎると、候補者の氏名が類推できるポスターの掲示が禁止された。当時は選挙が近づくと、選挙向けとみられる掲示物が乱立していたためだ。違反時の罰則は2年以下の禁錮か50万円以下の罰金とした。
任期満了の半年前になると、各政党は候補者個人のポスターを、2連ポスターや3人の政治家が写った「3連ポスター」に張り替える。弁士として同じ党の議員と一緒に並び、「演説会」の日時や場所が記される。主に政党活動のためのポスターと認められる必要があり、県選管は「少なくとも候補者のエリアが全体の3分の1を超えてはならない」とする。
松村氏の2連ポスターは昨年の衆院選時に張ったものだという。松村氏の事務所は「その都度ポスターを切り替えるコストを考えて(任期満了まで時間があったが)2連にした」とした。
突然の解散がある衆議院の場合はさらに大変だ。任期満了まで半年以上あっても解散されれば、翌日には2連ポスターに切り替えなければならない。ただ、複数の元衆院議員秘書は「規制は半ば故意に無視していた」と明かした。
県選出のある元衆院議員の事務所では、普段は候補者をなるべく目立たせた個人ポスターを張り、期限が来たら2連に張り替えていた。2連は水に強く破れにくい合成紙を使うため割高で、作成費は3千枚で約200万円に上ったという。
ただ、この事務所の元秘書は解散後も個人ポスターを張り続けたことがあったと話す。「解散風が吹き始めてから2連を作っても、解散しなかったら無駄。解散後は選挙対策に追われて張り替える暇はない」
政党の演説会告知をうたいながら「中止になった」などとして、実際には開かないケースも多いという。別の元衆院議員秘書は演説会について「なるべく目立たないように記載し、開いたことはない」と証言。さらに、選挙期間に入れば2連も撤去しなければならないが「警察から『剥がすように』と警告されたものだけ対応して、残りは放置した。全部対応する余裕はない。ポスター規制は活動の邪魔にしかなっていなかった」として、見直しを求めた。(高宗亮輔)
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