当ページでは、Ryzen 5 5600Gの性能レビュー及び搭載ゲーミングPCの紹介をしている。Zen 3アーキテクチャを採用したAPUがついに発売開始となった。実質2世代前のRyzen 5 3400G以来2年振りの後継モデルだ。コンパクトPCなどに適したCPUだと言える。
6コア12スレッドとスペックが強化されライトゲーマーからクリエイターの方まで幅広いユーザーにリーチできる。Ryzen 5000シリーズの中で最も安価なモデルとなっていてRyzen 5 3600の後継モデルという見方もできる。気になるCPU内蔵グラフィックスの性能についても詳しく見ていこう。
当サイトのスタンスとしてはゲーミングCPUとしては推奨しない。Radeon Graphicsの性能は魅力的だが、外付けのグラフィックボードと比べると魅力に乏しいからだ。さらに、外付けのグラフィックボードを搭載してもRyzen 5 5600XやCore i5-11400と比べてパフォーマンスが伸びないためだ。
よくわかる!!Ryzen 5 5600Gの特徴まとめ
| アーキテクチャー | Zen 3 |
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| プロセス | 7nm |
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| コア/スレッド数 | 6コア/12スレッド |
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| 定格/最大クロック | 3.9 GHz/ 4.4 Ghz |
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| L3キャッシュ | 16MB |
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| TDP | 65W |
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| 発売日 | 2021年04月13日 |
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| 価格 | $259 |
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| コメント | (+)Ryzen 5 3400G以来の最新APUが登場 (+)Ryzen 5000シリーズの最安値モデル (-)Ryzen 5 3600の後継モデルとしては高い (-)CPU内蔵グラフィックス性能は微増に留まる |
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| 評価 | ・総合評価 7.0
・ゲーム評価 7.0 |
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Ryzen 5 5600Gの概要
基本スペック
Ryzen 5 5600Gは、CPU内蔵グラフィックスであるRadeon Graphicsを搭載したAPU(Accelerated Processing Unit)だ。Zen 2アーキテクチャを採用したRyzen 5 PRO 4650Gがリリースされていたが、一般消費者向けには販売されておらずOEM供給のみであった。つまり、Zen +アーキテクチャを採用したRyzen 5 3400Gの後継モデルということになる。
プロセスが12nmから7nmへと微細化されパフォーマンスが向上している。さすがに2世代前のモデルと比べるとスペック的に大きく変わっている。トランジスタ数は220%アップの107億になりながらもダイサイズは14%小さく180m㎡となった。CPUコア/スレッド共に50%アップで6コア12スレッドだ。定格クロック周波数は6%アップ、最大クロックは5%アップとなっている。
L3キャッシュ容量は4倍の16MBだ。このL3キャッシュの増量は大きなポイントとなる。対応メモリがDDR4-2933→DDR4-3200へと変わっている。Radeon Graphicsも飛躍的に向上しているわけではないが進歩している。グラフィックコアは36%減少しているが、グラフィックス周波数は36%引き上げられている。TDPは45Wから65Wへと高くなった。この点は性能を考えると納得できるだろう。価格差は$110となっている。
現行の上位モデルであるRyzen 5 5600Xと比較していく。7nmプロセスを採用したCPUで共通だ。CPUコア及びスレッド数も違いはない。定格クロックはRyzen 5 5600Gの方が6%高く、最大クロックはRyzen 5 5600Xの方が5%高い。L3キャッシュ容量についてはRyzen 5 5600Xの方が多く倍の32MBとなっている。対応メモリはDDR4-3200で共通だ。TDPも65Wとなっている。価格差は$40でRyzen 5 5600Gの方が安価だ。
Intel製CPUと比較
競合モデルであるIntel Core i5-11600K及びその下位モデルであるCore i5-11400と比較していく。価格的には直接の競合はCore i5-11600Kとなる。Rocket Lake世代でプロセスは14nmを採用している。Ryzen 5 5600Gの7nmプロセスと比べるとどうしても見劣りしてしまうが、パフォーマンス面では同等以上だ。そこはIntelの意地が見える。
CPUコア/スレッドは6コア12スレッドと共通だ。定格クロックはどちらも3.9GHzだ。最大クロックについてはCore i5-11600Kの方が12%高い。L3キャッシュ容量はRyzen 5 5600Gの方が34%高くなっている。対応メモリはDDR4-3200で共通だ。内蔵グラフィックスについてはCore i5-11600KもUHD Graphics 750と強化されているが、Ryzen 5 5600Gの方が性能が高い。TDPはRyzen 5 5600Gの方が抑えられていて65Wに留まる。
性能だけで見ると下位モデルのCore i5-11400と同程度となる。価格はRyzen 5 5600Gよりも$77も安い。6コア12スレッドとスペックは似ている。定格クロックはRyzen 5 5600Gの方が50%高いが、最大クロックは同等だ。Core i5-11400はオーバークロックには対応していない。L3キャッシュ容量はCore i5-11600Kと同じ12MBとなる。内蔵グラフィックスはUHD Graphics 750よりもワンランク劣るUHD Graphics 730を搭載している。TDPはいずれも65Wだ。
Ryzen 5 5600Gの特徴&強み
Ryzen 7 5700Gよりもコスパに優れている
Ryzen 5 5600Gは、APUとして考えるとRyzen 7 5700Gよりもコスパの高いモデルだと言える。純粋なCPU性能では8コア16スレッドを冠するRyzen 7 5700Gには及ばない。一方で、ゲームプレイ時のパフォーマンスの差は5%以内に収まる。それで価格が30%も安いので魅力的だろう。これはL3キャッシュ容量がボトルネックとなっているためだと考えられる。
なお、外付けのグラフィックボードを搭載することを考えるとコスパに優れたモデルとは言えない。Ryzen 5 5600XやCore i5-11400と比べるとゲーミング性能がワンランク落ちてしまうからだ。価格的にもかなり中途半端な立ち位置になってしまう。Radeon Graphicsで十分満足できるユーザーなら問題ないが、多くのゲーマーはそうではないはずだ。しっかりと性能について理解しておく必要がある。
iGPUでのゲームプレイは制限がある
Ryzen 5 5600Gの特徴は高性能なCPU内蔵グラフィックス(Radeon Graphics 7)を搭載していることだ。実際Intel製CPUに搭載されているUHD Graphicsよりもゲーミング性能は高い。しかしながら、ゲームプレイを行う上で十分な性能を持っているとは言えず様々な制限を課されることになる。外付けのグラフィックボード搭載モデルと比べると性能差は大きく対等には戦えない。
Radeon Graphics 7ではフルHD環境でのゲームプレイは厳しく設定を下げてかろうじてHD環境でゲームができそうだというレベルだ。シューティングゲームなど負荷の低いタイトルであれば問題はないが、多くのゲーマーにとっては満足できるところまで到達していない。CPU内蔵グラフィックスの限界がここに見える。クリエイター向けCPUとして考えるのがよいだろう。
外部グラフィックス搭載モデルは出ないか!?
今のところ外付けのグラフィックボードを搭載したBTOパソコンはリリースされていない。CPU内蔵グラフィックスを搭載したAPUということで価格が高めになっていることからRyzen 5 3600の後継モデルにはなり得ない。そういった状況を考えると今後もグラフィックボード搭載モデルはリリースしないのではないかと思う。
ゲーミングCPUとして通用するモデルになるためにはCPU内蔵グラフィックスを排除して価格を下げるしか道がない。AMDからするとRyzen 5 5600を発売するよりもAPUとして販売する方が利益率が高く好ましいのかもしれない。ゲーマーからすると残念だがこれも仕方がないことなのだろう。
パソコンショップセブンのモデルの場合電源ユニットをアップグレードすればグラフィックボードを搭載することもできる。しかし、価格が跳ね上がってしまうためカスタマイズをするメリットがない。それならRyzen 5 5600X搭載モデルあるいはCore i5-11400搭載モデルを選択した方がよりコスパに優れたモデルを選択できる。
Ryzen 5 5600Gのベンチマーク一覧
Cinebench R23


Cinebench R23はCPUのレンダリング性能をスコア化できるベンチマークソフトだ。CPU性能を客観的に計測するのに利用されることが多い。従来モデルであるRyzen 5 3400Gと比べるとマルチスレッド性能は200%もパフォーマンスが向上している。CPUコア及びスレッド数が50%増えたこととアーキテクチャの改良によるものだ。シングルスレッド性能も50%近く向上している。同じ6コア12スレッドでZen 2アーキテクチャを採用したRyzen 5 3600と比べると、マルチスレッド性能は15%高くシングルスレッド性能は26%高い。シングルスレッド性能の伸びが大きくZen 3アーキテクチャの凄さが垣間見える。上位モデルであるRyzen 5 5600Xとの性能差は最大10%だ。Core i5-11400との性能差はそれほど大きくない。マルチスレッド性能は7%、シングルスレッド性能は2%だ。価格差を考えるとCore i5-11400のパフォーマンスの高さが光る。
Handbrake


動画のエンコードに掛かる時間を計測している。従来モデルのRyzen 5 3400Gと比べると200%以上パフォーマンスが向上している。全く別物のCPUに生まれ変わったと言っても過言ではない。Zen 2アーキテクチャを採用したRyzen 5 3600との差は2%-7%だ。世代が変わったわりにはそれほどパフォーマンスは変わっていない。$77も安いCore i5-11400と同等の性能に落ち着いているのは厳しい。Ryzen 5 5600Xとの差はx264で14%、x265で20%となっている。L3キャッシュ容量の差が出ているのだろう。
7-Zip


7-Zipの解凍・圧縮速度ではIntel製CPUを上回っている。Core i5-11600Kよりも解凍速度は14%速く、圧縮速度は8%速い。Ryzenシリーズとの相性がよいようだ。Ryzen 5 3400Gと比べると解凍速度は220%、圧縮速度は260%も向上している。Zen 3アーキテクチャの採用とコア/スレッド数が増えたことによる恩恵は大きい。Ryzen 5 3600と比べても解凍速度は13%、圧縮速度は15%向上している。Ryzen 5 5600Xと比べるといずれも11%前後劣る。
Ryzen 5 5600Gのゲーミング性能(iGPU)
CPU内蔵グラフィックスであるRadeon Graphicsを使用した場合のフレームレートを計測している。最高設定でのゲームプレイは難しく設定を下げている点は押さえておこう。CPU内蔵グラフィックスとしての性能は高くてもやはり外付けのグラフィックボードと比べると性能差は歴然で当サイトとしては推奨しない。Ryzen 5 5600Gをコストの抑えたCPUとして、別途グラフィックボードを購入した方がよいだろう。
Far Cry 5
