今回のテーマは「逆」!足腰が弱くなり立ち上がるのが大変だった人が、ある「逆」を実践することで、スイスイと立ち上がれるように!一体何をしたというのか?調べていくと、ある工夫をすることで、階段を上るよりも下る方が鍛えられ、血圧や中性脂肪も下がってしまうことが判明。そこには筋肉や脳の不思議なメカニズムが関係していました。日常の「逆」を意識することで健康で美しいボディを簡単に手に入れられる、とっておきのトレーニング方もご紹介しました。
効率的に筋力アップ!「逆」のすごい効果
今、「逆」の動きが通常の動きに比べてラクに、しかもより効果的に筋力アップができると注目されています。
台湾で行われた研究では、階段を「上る」よりも「下りる」方が倍以上も筋力アップ効果があることが明らかに。日本の高齢者施設では、いすから立ち上がれるようになるために「座る」トレーニングを行ったり、足を上げて歩くために、持ち上げた足を手で「押し下げる」トレーニングを行ったりして、太ももの筋力が20%近くもアップした人もいます。また、オーストラリアでは、普通とは逆方向に足が回るサイクリングマシーンが、心肺に大きな負担をかけられない心不全の方のリハビリで行われています。
そうした逆の動きの数々、実は、コツがあります。それは「ゆっくり」逆の動きをするということ。ゆっくりすることで、筋肉に力が入ります。
逆の動きをゆっくり行うとき、筋肉は「縮もうとしながら伸ばされる」状態になります。
このとき、単に縮もうとするよりも筋肉が刺激され、より筋力アップするのです。
しかも、筋力アップ効果が高いにもかかわらず、逆の動きは、脳がラクだと勘違いするため酸素消費量は少なく、心拍数も通常の動きに比べて減り、ラクに行えます。
ポイントは“ゆっくり”。逆トレのやり方と注意点
いす座り
- 5秒かけて、いすにゆっくり座ります
- 座面にお尻がつくまで、太ももの筋肉の力を抜かないようにするとより効果的
※転倒防止のため、いすは必ず固定してください。
階段下り
- 太ももの前の筋肉が固く力が入るように、1段1秒くらいの速さで階段を下ります
注意点
- 筋肉痛になる恐れがあります。1回(階段の場合、1階ぶん)からなど、少ない回数から徐々に増やしてください
- 肘や膝など体に痛みがある人は無理にやらず、かかりつけの医師に相談してください
- 転倒防止のため、不安な方はいすのひじ掛け、杖、階段の手すり、介助などを使ってください
- リハビリ、治療などの代替となるものではありません
他にも、「荷物をゆっくりおろす」「体をゆっくり倒す(腹筋の逆)」などの動きでも逆トレをすることができます。
筋力アップだけじゃない!?逆トレのうれしい健康効果
逆トレには、動かしている部位の筋力アップ以外にも様々な効果がある可能性が明らかになってきています。
台湾で行われた階段上り下りの比較実験では、階段を上ったグループに比べて下ったグループの方が、血圧、血糖値に関わるグルコース、中性脂肪の値がより減少したという結果が出ています。
また、逆トレの専門家、オーストラリア、エディスコーワン大学教授の野坂和則さんのグループが行った実験では、逆トレは「自然と体がバランスをとろうとして体幹トレーニングにもなる」という結果や、「片腕で逆トレをすると、動かしていないもう片方の腕の筋力アップにもつながる」という結果が出ており、メカニズムの解明も含め研究が続けられています。
筋肉量は2,30代がピークで、それ以降、何もしていないと毎年1%ずつ筋肉が減るとも言われています。将来の寝たきり予防、美ボディ、ダイエット、生活習慣予防のためにも、ぜひ様々な効果が期待される「逆トレ」をやってみてはいかがでしょうか。
血圧・血糖値・中性脂肪については補助的な効果です。適切な食事や運動・治療の代替にはなりません。