今回の主役は「きくらげ」。中国料理では見かけるけど、家ではほとんど使わない・・・。そんな影の薄い“謎のきのこ”。これまでガッテンでも取り上げてきませんでした。しかし、その存在感の薄さとは裏腹に、今回「きくらげブームが来てもおかしくない!」とスタッフ一同思ってしまうほどの魅力を次々発見したんです!
2週間のきくらげ生活で便秘解消なるか実証実験を敢行。すると、なんと長寿のカギを握ると注目される腸内細菌にも変化が!さらに、きくらげ独特の不思議な生態を知れば、あのコリコリ食感がトゥルントゥルンの新食感に大変身!驚きの新レシピもドドーンと大公開。きっと「きくらげ」の価値を見直したくなるはず!
“唯一無二”のコリコリ食感!秘密は不思議な生態に
きくらげならではの魅力といえば、唯一無二ともいえる「コリコリ食感」。魅力的な“コリコリ”が生まれる秘密は、その生態にありました。多くのきのこは通常は菌糸の状態で過ごし、子孫を残すときに子実体(柄やかさからなるいわゆるきのこ)を作り出し、胞子をまくとやがて子実体は枯れます。一方、きくらげは野外で半年以上も子実体のまま生き続けます。晴天が続くときは乾燥状態でやり過ごし、雨天になるたびに水分を吸い込んではかさを広げ、胞子をまくことを繰り返しているんです。その不思議な生態を可能にするのが「水分をたっぷり含む柔らかい内側」と「頑丈な外側」の2層構造。そしてこの構造のおかげで、噛むたびにコリコリと感じる食感が生み出されていたんです。
毎日爽快!?豊富な食物繊維でしつこい便秘も改善
薄っぺらい姿とは裏腹に、きくらげは様々な栄養素を豊富に含む食材です。その筆頭が「ビタミンD」と「不溶性食物繊維」。実はどちらも全食品のうちNo.1の含有量を誇ります(あらげきくらげ(乾)の値/「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)。今回、ひどい便秘に悩む方々に“2週間きくらげ生活”を送ってもらったところ、なんと16人中15人で便通の改善が見られました。これは不溶性食物繊維が便のかさましとなったことが理由と考えられます。さらに、同じく2週間のきくらげ生活を送ったガッテンボーイの腸内細菌を分析すると、健康長寿のカギになるのではないかと今注目されている「酪酸産生菌」が増加するという結果が!きくらげには善玉菌のエサとなる「水溶性食物繊維」も豊富なため、酪酸産生菌が増えたと考えられます。他にも鉄分やカルシウムを多く含むきくらげ、日常使いの食材に加えてみてはいかがでしょう?
【注意点】
- 小さく切る、もしくはよく噛んで食べてください。大きな塊のまま飲み込むと、場合によってはお腹の中で水を吸って膨らみ、膨満感で不快になったり、腸閉塞を起こす危険もあります。
- 食べ過ぎは避けて下さい。栄養の過剰な摂取が、かえって体調不良を招くこともあります。
- 体調が悪くなったらきくらげを食べるのを中止し、かかりつけ医にご相談下さい。
- 便秘解消や、腸内環境改善への効果には個人差があります。
“風味のなさ”を逆に利用!江戸時代に学ぶ“遊び心”
実は、日本人は江戸時代からその独特な食感に魅了され、様々な料理にアクセントとしてきくらげを加えていました。江戸の料理本に残っているきくらげ料理の数はなんと200以上!重宝されていた理由は、独特の「コリコリ食感」…だけではありません。もう一つの理由とは、「風味がない」こと。マイナスイメージともとれるこの特徴のおかげで、きくらげはどんな料理にも合う食材としての地位を確立していたんです。その用途は広く、なんとスイーツにも使われていたほど!そんな「味のなさ」をいかして今回ガッテンが開発したのが、『きくらげのわらび餅』。トゥルトゥルの新食感きくらげと、黒蜜・きな粉は相性抜群です!
魅惑のシャキぷにゅ食感!生きくらげ急増中
いまスーパーに多く出回るようになってきたのが“水戻し不要”のきくらげ…つまり“生きくらげ”です。実は国内のきくらげ栽培がここ10年でおよそ12倍に増加。そのおかげで、身近に流通するようになりました。番組で調べたところ、およそ2軒に1軒のスーパーで取り扱われていました(関東・大阪の100軒へ電話調査)。収穫されてから一度も乾燥されていないため、その食感は水戻ししたきくらげとは全くの別モノ!驚きのシャキぷにゅ食感なんです。いつものレシピに、乾燥きくらげの代わりに生きくらげを使うだけで簡単に別世界の味を楽しめます。きのこ売り場で見かけたらぜひお試しください。
新食感!トゥルトゥルきくらげの作り方
[材料]
- 乾燥きくらげ(一晩水に浸けておいたもの)
※国産のアラゲキクラゲを使用 - 水(乾燥きくらげ10gに対して600mlが目安)
[作り方]
- 一晩戻した乾燥きくらげを細切りにする
- 圧力鍋に1と水を入れフタをして強火にかける。水はきくらげが浸るくらいの量。 圧がかかったら弱火にし、およそ15~20分加熱する
※圧力鍋がない場合は、普通の鍋で2時間ほど煮る
水が蒸発してきたら、きくらげが浸るくらいの水を追加 - 火を止めてそのまま放置、自然に圧を抜く
- 冷蔵庫へ入れてよく冷やす
【注意点】
- 番組では国産の「アラゲキクラゲ」を使用しました。中国産や、小ぶりの「キクラゲ」という種では同じように再現できない可能性があります。
- 水戻しする際は一晩しっかり戻してください。
- 使用するきくらげによっては、仕上がりや調理時間に差がでる可能性があります。
- よりトゥルトゥルにしたい場合は、加熱時間を延ばしてみてください。
わらび餅風・・・お好みで黒蜜ときなこをかける
もずく風・・・ポン酢をかけ、お好みでショウガやミョウガ、ネギなど薬味を添える
江戸に学ぶ! おろしあえ ガッテン流
[材料]
(2人分)
- 大根 150g
- ぶどう(スタジオではデラウェア使用) 50g
- きくらげ(国産の乾燥を戻したもの) 30g
- A
酢 大さじ1と1/2
薄口しょうゆ 小さじ1/2
砂糖 小さじ1
[作り方]
- Aをよく混ぜ合わせて三杯酢を作る
- 大根は皮をむいてすりおろし、さっと水洗いをしてからしっかりとしぼって水分を切る
- ぶどうの皮をむく
- きくらげを1㎝幅ほどの細切りにする
- ボウルに大根おろしとぶどう、きくらげを入れて、三杯酢で和える
江戸に学ぶ! 麩の焼き(ふのやき) ガッテン流
[材料]
(約5個分)
生地
- 小麦粉 100g
- 水 130g
- サラダ油 小さじ2
- 塩 ふたつまみ
あん
- きくらげ(戻したもの) 60g
- A
しょうゆ 小さじ2
水 小さじ2 - くるみ(ロースト) 5g
- 黒ごま 3g
- 市販のこしあん 100g
[作り方]
生地
- 小麦粉に水を少しずつ加えダマのないように溶き、サラダ油と塩を加えてさらに混ぜたら30分寝かせる
- フライパンを弱火で熱し、おたまで生地をすくい直径9㎝ほどの円盤型におたまの底でなでて広げる
- 表面が乾き縁がそり返ってきたらフライ返しで取り冷ます。
あん
- きくらげを7㎜角に切り、Aの煮汁でひと煮立ちさせそのまま冷まして水気を切る
- 市販のこしあんに、1のきくらげとくるみ、黒ごまを加えてまんべんなく混ぜ、1個25gの棒状にまとめる
- 2を出来上がった生地の中央手前において巻く