2022.02.11

愛のために「結婚制度」はもう廃止したほうがいい、法哲学者の私がそう考える理由

法と家族について真剣に考えるために
松田 和樹 プロフィール

法律によって引き裂かれる同性カップル

「わたしたちは家族です」

いま日本では、このように訴え、裁判を起こしている人たちがいる。同性婚の法律を求める同性カップルたちだ。同性カップルを家族として認めてほしい。それが、この人たちの主張だ。

「あなたたちは家族ではない」

現在の日本の法律は、同性カップルに、このように決定している。この決定は、残酷にも家族をバラバラに引き裂くことさえある。同性カップルを家族として承認しない結果として、法律は、同性カップルが共に日常生活を送ることや、病気などの緊急時に側にいることを、できなくしている。

愛する相手と一緒に暮らしたいと考えて、賃貸の家を探すとしよう。法的に結婚しているなら、一緒に暮らすための家を探すのは比較的簡単だ。ところが同性カップルは、ルームシェア、つまり家族ではないとされる者同士の同居が可能な住居しか借りることができない。年齢などの条件も含めていくと、家探しはとても難しくなる。愛する人と共に住むことを阻まれてしまうリスクがある。

 

愛する相手は外国人かもしれない。結婚している場合、外国籍パートナーは配偶者ビザを手に入れることで、日本に滞在する資格を得ることができる。しかし同性パートナーは配偶者ビザを手に入れることができない。同性カップルは、国境を越える移動に関する法律によって引き裂かれる。

愛する相手が病気になることもあるだろう。患者の同性パートナーは、法的には患者の家族ではないことを理由として、患者との面会を病院から断られたり、病気・治療に関する説明を医師から受けることができなかったり、患者本人が医療に関する決定ができなくなったときに代理で決定することが許されなかったりする。同性カップルは病院で引き裂かれる。

愛する相手が死んでしまうこともありうる。もし遺言を残さずに死んでしまうなら、同性パートナーは相手の家や財産を相続することは許されない。仮に幸運にもなんとかして一緒に暮らしていたとしても、その家から出ていかなければならないかもしれない。なぜなら、法的には同性カップルは家族ではないから――どれほど長いあいだ一緒に暮らしてきたとしても、どれほど強く深く愛し合っていたとしても。

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