【目次】
・責任転嫁の意味や語源
・責任転嫁する人の特徴は?
・どんな心理がある?
・責任転嫁されたらどうする?
・自分が責任転嫁しないために
責任転嫁の意味や語源
責任転嫁する人の特徴などを見ていく前に、そもそも「責任転嫁」という言葉の意味を知っておきましょう。言葉の意味や、語源について紹介します。
責任や失敗を人になすりつけること
「責任転嫁(せきにんてんか)」とは、自分の罪・責任・失敗をほかの人になすりつけることを指します。本来自分が責められるべき行動について、人のせいにしてしまうのが責任転嫁です。例えば、自分が忘れてしまったことを「別の人が言わなかったせいだ」と主張するケースや、自分が間違えたのに人のせいにするなどが挙げられます。仕事でこのような責任転嫁をする人がチームにいると、大きなトラブルに発展することもあるかもしれません。
ちなみに、「責任転換(せきにんてんかん)」という言葉が同じような意味で使用されていることがありますが、これは誤用です。正式には責任転換という言葉はありません。
【責任転嫁:せきにんてんか】
自分が負うべき責めを他の者に負わせること。責任を他になすりつけること。
引用すべて〈小学館 デジタル大辞泉〉より
「転嫁」の語源とは
責任転嫁に使用されている「転嫁」という言葉に、なぜ「嫁」という文字が入っているのか、不思議に思う人もいるかもしれません。「転嫁」とは、もともと二度目の嫁入り・再婚を意味する言葉です。これが転じて、「人にものを移す」ことを意味するようになりました。現在では、転嫁という単語だけでも、「罪や責任を他人に押し付ける」という意味があります。
責任転嫁する人の特徴は?
人間は間違いをするもので、失敗をしない人はいません。しかし、普通は自分がしたことは自分で責任を取るものです。では、失敗の責任を取らず、責任転嫁する人にはどんな特徴があるのでしょうか?
プライドが高い
責任転嫁をする人に見られる特徴のひとつが、プライドが高いことです。プライドが高い人は、自分のミスを素直に認められない傾向があります。これは、ミスを認めることは自分が周囲よりも劣っていると認めることと同義だと考えるケースがあるためです。
ミスを認めることで結果的にプライドが傷ついてしまうため、自分は絶対に失敗していない・悪くないと思い込み、責任を逃れようとします。プライドを持つのは大切なことですが、実力に見合わない高すぎるプライドは、このような弊害を生みかねません。
自分に甘い
責任転嫁をする人は自分に甘いというのも、よく見られる特徴です。自分に甘い人はミスを認めず、言い訳をして責任を逃れようとします。子どものころから周囲に甘やかされて育ってきた人は、自分に甘い傾向が見られるかもしれません。これまで何らかの失敗をしても、親や兄弟など周囲の人が代わりに謝ってくれたり、解決してくれたりした場合、自分の言動に責任を取るという経験をしてこなかった可能性があります。
このタイプの人は、自分が責任を取らなければならないという感覚がなく、無自覚に周りに責任を押し付けているケースも珍しくありません。自分がやらなくても、誰かが解決してくれるだろうという甘えからくる行動ともいえます。
面倒なことを避けようとする
面倒なことに関わりたくないという考えから、責任転嫁をする人もいます。ミスをした場合、その度合いなどにもよりますが、少なからず叱られたり責められたりします。また、ミスのリカバリーをするために、大変な作業が待ち受けているかもしれません。面倒を嫌うタイプの人は、人から責められることやミスの対応に追われるような事態を避けたいがために、責任転嫁をしてしまうのです。
普段から人に注意されることを嫌う・人の意見を聞かないなど、都合の悪いことから逃げる傾向が見られる人もいます。「自分以外の人が苦労していても自分さえ楽ができればいい」という、自分勝手な考えを持っている人も責任転嫁しやすいタイプです。
どんな心理がある?
自分できっちり責任を取り、責任転嫁をしたことがない人からすれば、なぜそんな行動をとるのか理解できないかもしれません。では、どのような心理から、責任転嫁をしてしまうのでしょうか?
周囲からの評価を下げたくない
自分がミスをしたという自覚があるケースでは、「周囲からの評価を下げたくない」という心理が働く場合があります。周囲にミスを知られることで、自分の評価が下がるのを避けたいという気持ちになるのです。プライドが高い人や見栄っ張りなタイプは、自分がミスをしたことを知られたくない気持ちが強いため、こういった心理に陥りやすくなります。完璧主義で、自分の仕事にはささいな汚点すらつけたくないという思いから、責任転嫁という行動に出てしまうのかもしれません。
また、その逆で自信がない人なども、失敗を周囲に知られて評価が下がることを恐れて、責任転嫁をしてしまうことがあります。
傷つくのが怖い
ミスをすれば、多かれ少なかれ何らかの責めを受けることになります。人から責められて「傷つくのが怖い」と考えるのも、責任転嫁してしまうときに起こり得る心理です。人から叱られたり注意されたりするのは誰でも嫌なものですが、それを極端に嫌う人はこういった心理になる可能性があります。過去に同じようなミスをしてひどく叱られた経験がある人ならさらに、「同じような思いはしたくない」と感じるかもしれません。
また、打たれ弱い性格だと自覚している場合、一度叱られると、なかなか立ち直れなくなるという恐れが出てきます。その結果、傷つくのを避けるための防衛本能が働き、ほかの人を責めることで自分を守ろうとするのです。
自分に自信があり無自覚
先に紹介した二つは、自分がミスをした自覚があるときに起こる心理ですが、無自覚な場合もあります。自分の能力に根拠のない自信を持ち「自分がミスするわけがない」と、無意識にほかの人のせいにしてしまうのです。
また、最初は認めていても、言い訳をする中で無意識に責任転嫁してしまうケースもあります。このような場合、本人に自覚がないだけに指摘しても効果がないことが多く、周囲は苦労することになります。
責任転嫁されたらどうする?対処法とは
身近に責任転嫁する人がいると、イライラしてしまいます。また、自分は何も悪くないのに責任転嫁されてしまったら、イライラなどという感情論だけではおさまりません。最終的に自分が責任を取って対処しなければならないなど、実質的な被害にあう可能性があります。では、責任転嫁されてしまったときには、どう対処すればよいのでしょうか?
嘘つきな同僚に振り回されて大迷惑!どうしたらいい?【人気放送作家・野々村友紀子の目から血が出るくらい納得する相談室】
証拠を残しておく
責任転嫁されたときによく起こるのが、言った・言わないなど水掛け論になってしまうことです。このような食い違いが起こると、普段周囲からの評価が高い人や口が達者な人に軍配が上がってしまいます。
相手が上記のようなタイプなら、最終的に自分の責任にされてしまうかもしれません。このような事態にならないよう、日常的にやり取りを記録に残しておくクセをつけましょう。口頭で決まったことは証拠が残らないため、必ずメールで内容をまとめて送るなどの対策をとることがポイントです。メールを送る際には、関係者をCCに入れたり、打ち合わせには第三者に立ち会ってもらったりすることで、客観的な証拠として認められやすくなります。
上司や同僚に相談する
周囲に相談するのも効果的な対処法のひとつですが、相談する相手はしっかり見極めることが重要です。信頼できる上司や同僚であれば、相談にのってくれるはずです。
相談する際には、可能な限りほかにも同様の被害にあった人を集めておくのが有効です。同じ立場の人がたくさんいれば、それだけ訴えが効果的になります。情報共有しておくことで対策もできるため、被害にあう事態を減らせるかもしれません。もし、上司が責任転嫁するタイプの場合には、さらにその上の上司に相談してみましょう。
適度に相手との距離を置くことも大事
責任転嫁をする相手とは、可能な限り距離をおきましょう。近くにいることで、責任を押し付けられてしまう可能性が高くなります。一度でも責任転嫁された経験がある場合には、強い態度で拒絶する意思を示すことも重要です。
しかし、仕事上で同じチームなどの場合、距離を置くのは簡単ではないかもしれません。その際は、なるべく関わらない配置にしてもらえるよう、信頼できる上司などに相談しましょう。どうしても距離を置きづらい環境のときには、必ず第三者を交えるなど、責任転嫁されない自己防衛をしておくことが大切です。
自分が責任転嫁しないために注意したいこと
自分はそんなことはしないと思っていても、状況によっては責任転嫁をする側になってしまうかもしれません。では、責任転嫁しないためには、どんな点に注意すればよいのでしょうか?
コミュニケーションの専門家に直撃!「今どきのお詫びと謝罪の新常識」
言い訳せずに自分の非を認め謝罪する
誰でもミスをすることはありますが、自分に責任があると認めるのは勇気がいることです。しかし、ミスをしたときには下手に言い訳をするより、素直に自分の非を認めて謝罪した方が、周囲には良い印象を与えます。
言い訳をして、ミスの責任を誰かに押し付けても、そこからは何も生まれません。ミスをしたことばかりに気を取られるのではなく、ミスを認めた上で、どのように対処するかをすぐに考えるようにしましょう。「ピンチはチャンス」という言葉もあるように、ミスをしたときにどのようなリカバリーをするかによって、逆に評価がアップすることもあります。
短期的ではなく長期的な視点を意識する
ミスをした時点での短期的な対処ではなく、長期的な視点を意識するのが重要なポイントです。ミスをしたときには、周囲からの評価は一時的には下がるかもしれません。しかし、自分のミスを認めず責任転嫁することによる影響を考えてみましょう。
少なくとも責任転嫁した相手には、自分がそういう人間だということはわかってしまいます。それが周囲にも知られれば、「いざというときに責任を取らない人」というイメージがつきまとい、自分に対する評価も下がります。ミスをしたとしても、そこから学べることもあるはずです。同じミスをしないよう改善策を講じることで、長期的な視点でみると自分のためになり、仕事の評価を上げることにつなげられます。
こちらの記事もたくさん読まれています
「お詫びのマナー、こんなときどうする⁉︎」お詫びの実例見本
「後輩のミス、デキる先輩ならこう謝る!」風評リスク管理の専門家に聞きました
写真/(C)Shutterstock.com
Domaniオンラインサロンへのご入会はこちら