これの続きです。

 「僕のセクシャルハラスメント」。それが、これから何回かに渡って取り上げるアニメのタイトルです。

いわゆる、「やおい」ものです。ホモネタに拒絶反応を示す方はこの項は見ないほうが人生幸せに生きられるかもしれません。

内容にインパクトがあるので、一部の人の間では有名なのですが、ネット上ではなぜかレビューはない。そんなわけでここで紹介させていただきます。

最終的にこれに興味を持たれた方には現在絶版になっているこのビデオをいずこかで入手していただくか、レンタルで借りていただきたいと思います。なので、面白いところだけを抜粋してお届けします。


「企業戦士は疲れを知らない。僕には果てしなく遠い道だった」

そんな一言でこのアニメは始まります。「24時間戦えますか」って感じのバブル時代風味のセリフですが、このビデオが出たのは96年、原作の小説は93年初版です。しかし元をたどっていくとこの小説はバブル末期の90年の同人誌が元になっているので、アニメもバブル時代が背景になっているといっても差し支えないと思います。


で、最初の一言を発したこいつ、望月順哉がこのアニメの主人公です。「一部上場のコンピューター会社に勤めるサラリーマン2年生」(本人談)。いわゆる下っ端SEですね。

で、もう一人の主人公がこの人。

本間一則。課長で望月の上司です。「企業戦士として第一線で活躍する。スター顔負けの端正な顔立ちで、社内では憧れと羨望の目で見られている」(望月談)とのこと。


彼ら二人は新潟にある会社へシステム提案のプレゼンのため、出張へ向かいます。


望月は初めてビッグビジネスに関わるということで、緊張気味。一方の本間課長は、普段どおりのビジネスとばかりに新幹線の中で仮眠を取ります。新幹線が新潟へ向かうなか、望月は以前本間課長との間であった出来事を思い出します。


社会人2年目に入った望月君、夜遅くまで働いてます。ヘタレSEなのでいつまでたってもバグが見つからないようです。


残業中の望月君、ふと後ろのほうで人の気配を感じます。


現れたのは本間課長。いつまで経っても仕事が終わらない望月君に手取り足取り、問題の箇所をテキパキと指摘します。


望月(モノローグ)「僕にはない仕事の能力、判断力、統率力。僕にとって、課長は理想の…」


本間課長をしげしげと肩越しから眺める望月君。そこへ課長が一言。
「私の顔がそんなお気に入りかい?この1年、君はずいぶん私の顔を見ていたようだが」


それまで親切に指摘していた課長、望月君から手を離してしまいます。
望月 「ここから先は・・・?
本間 「ここから先は君の出方次第だ」

謎の発言をする本間。

と「本当に、君はかわいいね」


おもむろに望月君をキスし、彼のネクタイにをはずしにかかります。

抵抗する望月。課長を振りほどき、立ち上がります。
「か、課長!僕はホモじゃありません!」

「私だってそうだよ」
だからどうしたとばかりに受け流す本間。続けて、


「フッ。企業戦士たる者、両方できなくてどうする。やれることは何でもやる。利用できるものは利用する。きれいごとだけじゃ、この社会、上へは上っていけないよ」

お前の人事権は俺が握っているんだからやらせろ、やらせれば悪いようには扱わないと示唆する本間。こう言われたらサラリーマン、逆らえません。理想の上司だということも相まって、身を任せてしまいます。

本間課長、ズボンに手を突っ込んでいます。

――
えー。ちょうど冒頭5分の部分を紹介させていただきました。

「企業戦士たるもの、両方できなくてどうする。やれることは何でもやる。利用できるものは利用する。きれいごとだけじゃ、この社会、上へは上っていけないよ」

多くのサラリーマン諸氏には、この本間課長の言葉は重くのしかかるのではないでしょうか。ほんの少しだけリアリティがあるので。
でも、これは女性に言ったら完全に「アウト」なセクハラ発言ですが、ここではヤるために男の部下に言ってしまっているので笑ってしまいます。女役が男に置き換わることによって生ずるズレ。これがこのアニメ全体の醍醐味です。

というわけで、近いうちに続きを書きますが、今宵はここまで。