「強迫買い物症」は、一般に「買い物依存症」と呼ばれる病気で、女性の5~10%に見られるという。20~30歳代の女性に多いが、買い物でストレスを解消しては反動で気分が落ち込むような場合は、この病気を疑った方がよい。
あなたは大丈夫? 「強迫買い物症」を自己チェック
schedule 2011年08月12日 公開
買った物に興味なし
昭和大学医学部(東京都)精神科の大坪天平講師は、強迫買い物症の特徴について「週に数回、買い物をしたいという衝動が起こり、買い物をしないと気が済まなくなります。そして、買い物をすると気分が高揚し、女王様になったような快感を得るのですが、帰宅するころには、『なぜこんな物を買ったのか』と落ち込んでしまう。また、買った物に興味はなく、後はほったらかしというのが特徴です」と説明する。
圧倒的に女性に多く、きっかけはストレス解消の代償行為。問題は、それを繰り返して気分が落ち込み、自責の念からうつ病を合併しやすい点だ。
「うつ病を合併すると精神的により不安定になり、自殺の危険性が生じます。ほかにも、クレジットカードを使い過ぎての破産、あるいは、万引きをするといった問題もあります」(同講師)
抗うつ薬が有効
見逃していると社会生活にも支障を来すだけに、早期に治療を受けた方がよい。
「思い当たる人は、精神科を受診してください。疑わしい場合は、わたしたちが作成した診断基準を目安に、自分でチェックするとよいでしょう」(大坪講師)
強迫買い物症の自己チェック
- 買い物にとらわれている(過去の買い物を生き生きと再体験する、次の買い物の計画を立てる、買い物をするために金銭を得る方法にとらわれている)
- 快感や興奮を得たいために、どんどん高額な物を買いたいという欲求がある
- 買い物をするのを抑えたり、買い物をにかける金銭の額を減らしたり、やめたりなどの努力を繰り返し、成功しなかったことがある
- 買い物にかける金銭の額を減らしたり、買い物をやめたりすると、落ち着かなくなるかイライラする
- 問題から逃避する手段として、または不快な気分(無気力、罪悪感、不安、うつなど)を解消する手段として買い物をする
- 何らかの理由で買いそびれた場合、別の日にまた同じ物を求めて探しに行くことが多い(深追いする)
- 買い物へののめり込みを隠すために家族、医師またはそれ以外の人にうそをつく
- 買い物の資金を得るために、非合法な行為、例えば詐欺、窃盗、横領、売春などに手を染めたことがある
- 買い物へのめり込んでいるがために、重要な人間関係、仕事、学業、職業上の機会を危険にさらす、または失ったことがある
- 買い物へのめり込んで引き起こされた絶望的な経済状態を救うために、他人に金を出してくれるように頼む
※5項目以上あったら強迫買い物症の疑いあり。
(強迫買い物症診断基準=大坪天平氏ら作成=)
治療には、選択的セロトニン再生取り込み阻害薬(SSRI)という抗うつ薬が有効だ。
「この薬によって、7~8割は改善されています。良くなるまでに3~6カ月はかかるので、根気よく治療を続けることが大切です」(同講師)
日常生活では、自分で意識して買い物以外に興味を持つように心掛け、充実した時間を過ごすとよい。それには、「視野を広く持つこと」と同講師はアドバイスしている。
2003年8月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)