ロシア関連

ロシア陸軍、ウクライナ国境近くに核砲弾対応のアトミック砲を配備

核砲弾も発射可能なロシア陸軍の203mm自走砲「Pion-M(Malka)」がウクライナ国境から17kmしか離れていないベルゴロド州で確認されたと報じられている。

参考:Russian atomic cannons move closer to Ukraine’s border

ウクライナがNATOに加盟すれば核戦争を誘発するとプーチン大統領が言及した翌日に確認されたアトミック砲

旧ソ連が1975年に配備を開始したPionは最大37.5km先(ロケットアシスト弾を使用すれば最大55.5km先)の目標を攻撃することができ、核砲弾を使用した攻撃にも対応しているため「アトミック砲」という名称で呼ばれていたが、ソ連軍はPionを10年程度運用したあと20年近く保管状態で放置していた。

これを引き継いだロシアは低出力の戦術核兵器を新たに開発・配備した米国に対応するためPion-Mを近代化(老朽化した部品を全て取り替え射撃管制システム、通信システム、エンジンなどを刷新)して再配備することを決意、2019年の演習に姿を見せたPion-Mは無人航空機Orlan-10からリアルタイムで目標のデータを受信→射撃できる能力を披露して注目を集めたが保有するPion(260輌)/Pion-M(60輌)の内どれだけの数量に近代化を施したのかは分かっていない。

しかしウクライナ国境から17kmしか離れていないベルゴロド州にPion-Mが持ち込まれている様子が確認され、近代化を施したPion-Mである可能性が高いと見られている。

因みにPion-Mが確認されたのはプーチン大統領が「ウクライナがNATOに加盟すれば核戦争を誘発する可能性がある」と言及された翌日で、カリーニングラードでは極超音速ミサイル「キンジャール」を搭載したMiG-31Kの存在が確認されているため東欧諸国に駐留する兵力を増強するNATOへの牽制もしくはウクライナ侵攻にNATOが介入した際の報復用なのかもしれない。

関連記事:ロシア、カリーニングラード配備の極超音速ミサイルでNATO本部を射程内に収める

 

※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России

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コメント

    • tofu
    • 2022年 2月 09日

    プーチン「ウクライナ情勢は悪化させない(でも軍の動員は続ける)」
    悪化させる気がないなら撤退させーや

    23
      • 感謝します
      • 2022年 2月 09日

      ロシアって戦争を起こすときの行動が帝政ロシアやソ連やロシア連邦を経ても全く変わらないな。
      日露戦争の開戦前も満州から撤兵しなかったし。

      20
      • am
      • 2022年 2月 09日

      核までチラ付かせて恫喝し始めて、逆に侵攻する気は無い印象を受けたけど
      でもロシアだしなぁ…

      1
        • tofu
        • 2022年 2月 09日

        ここのコメント欄でもいくつか指摘があるけど
        核砲弾”も”使える榴弾砲なんで、匂わせ程度は考えてるにせよ核の行使からは程遠いかと
        むしろ主力の地上軍に続いて海軍の艦隊も続々集結中で、その中には揚陸艦もあるんでプーチンの腹積もり次第で普通に戦争になる程度には本気だと思う

        どちらにせよ、逆にロシアがプロパガンダ全開で国内外に向けて煽ってる以上は、少なくとも手ぶらで撤収は望み薄でしょうね

        3
    • L
    • 2022年 2月 09日

    おいおいおいおい。こんな本気の脅し見せられたらウクライナを見捨てたくなっちまうよ
    ウクライナはあくまでNATOじゃないからね(震え)他国を売る(至言)

    5
    • 無無
    • 2022年 2月 09日

    ウクライナ相手に核なんか必要ないよ、単に都市に立てこもる敵を制圧する場面での準備

    5
    • 2022年 2月 09日

    射程55kmだと攻撃側も被曝しないんかな。

    4
    • 774545
    • 2022年 2月 09日

    兵器展覧会でもやってんのかコイツら

    13
    • DEEPBLUE
    • 2022年 2月 09日

    占領しないけど焦土にするのか

    4
    • jkl
    • 2022年 2月 09日

    203mmが直撃すると跡形もなくなるんだよね
    ソースは俺

    1
      • 匿名
      • 2022年 2月 09日

      おたくがどんな陣地かは知らんけど硬めの陣地は20榴で耕したいのは万国共通だろね
      サーモバリックのロケットで人員だけ殺傷するでなく構造物を粉砕した場合は航空爆弾か重榴しかないね
      15榴も十分重榴だけどかつては列車砲だった20榴はやはり別物だから

      4
        • 電話猫
        • 2022年 2月 09日

        ただの霊界通信では?
        つまりは成仏

        3
    • G
    • 2022年 2月 09日

    このロシアによる核兵器使用をにおわせた軍事的恫喝は悪手に思えますね
    なにせここで西側が手を引いた場合、西側には核の恫喝が有効であると諸外国に認識されかねない(核開発国の増加や拡散などが起きやすい状況になりうる)ため、むしろ西側としても手を引くに引けない状況に追い詰める事態になってしまうでしょうし

    7
    • 伊怜
    • 2022年 2月 09日

    核砲弾「も」撃てる自走砲だからなぁ。実際には長射程を生かして、対コンクリート弾で司令部を直接狙う可能性のほうが高いのでは

    5
      • 名無しさん
      • 2022年 2月 09日

      自分もそう思います、ただの野戦重砲としての配備だけに思います。
      長射程とはいえ55km程度です。
      わざわざ、こんなものを持ち出さずとも、もっと安全な距離から
      放てる戦術核弾頭の投射手段は幾らでもあります。

      4
    • 匿名
    • 2022年 2月 09日

    匂わせだけだとして、じゃあNATO側もそのまま受け取りそのまま対処でいいのですか
    (むしろ過敏に反応するのもしてみせるのもダメだ、でもいいのですが

      • 伊怜
      • 2022年 2月 09日

      現状はいわばチキンレース状態で、ロシアは「うちはここまでやるぞ」と持ち出して来たわけだ。
      NATO側がこれに対して「ならうちも対抗するぞ」となるならば、NATOはウクライナを守るために核戦争も受け入れるだけの覚悟がある、とロシアは受け取らざるをえない。
      最後にロシアが「ならやるしかない」となって核戦争になるのか、「いや本当はそこまで本気じゃないから」と軍を退くのか、という分岐になる。
      この時点でロシアに逃げ道はまだあるけど、その次に返された時NATO側に逃げ道が用意されないのは理解しておくべき。

      2
      • 58式素人
      • 2022年 2月 09日

      単純に砲兵戦と考えた場合、
      ウクライナ側には、BM-30(300mmMRL)があります。
      弾頭径300mm、12連装、射程70kmです。
      これを用いて、当該自走砲を付け狙う形に配備すれば、
      当面の備えにはなるのでは。

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