検索広告における「良い広告」はどんな広告か

Google 広告およびYahoo!広告の検索広告は文字通り「広告」なので、「良い広告」を作成するのがとても重要です。しかしながら、検索広告の広告文の作り方について調べてみると、巷の情報では「キーワードを見出しに含めるといい」のように方法論に走りすぎていて芯を捉えていなかったり、「USPを意識しよう」など抽象的すぎたりして、よくわからないと思います。

そこでわたしは、応用が効くように抽象的な概念についても触れつつ、真似しながら実際に広告を作成できるように作業レベルまで落として解説しようと思います。

ところで、「良い広告」を作るためには、まず「良い広告」を知らなければなりません。

なので、検索広告で結果を出すための知識と考え方を学べる検索広告基礎講座の第2講目となります今回は、具体的な広告の作成方法を紹介する前に、検索広告における良い広告について説明します。

検索広告の「良い広告」は検索広告の役割を果たしている広告

わたしの考えでは、そのものに与えられた役割を果たしているものが「良い○○」です。「良い社員」は会社内での役割をしっかり果たしている人ですし、「良い包丁」と言えば良く切れる包丁です。

つまり、検索広告の広告に与えられている役割を良く果たしているが「良い広告」です。

検索広告の役割は「表示されること」と「クリックされること」

結論を先に言ってしまうと、検索広告の広告の役割は「適切な検索語句で表示されること」と「検索ユーザーに『正しい期待で』クリックされること」の2点です。

検索広告の広告の役割と理解するために、検索ユーザーの行動を考えてみましょう。検索ユーザーがコンバージョンに至るまでの行動は以下のように分割できます。

  1. 検索ユーザがなんらかのニーズを認識してGoogleまたはYahoo!で検索する
  2. 検索結果に表示された中から「ここが良さそうかな」と思ったリンクをクリックする
  3. 表示されたページの中身を検討して「ここでいいかな」と思ったらコンバージョンに至る

このうち、広告が関与できるのは主に 2. の段階です。

広告が表示されなければ何も始まりませんし、クリックされなければ次に進めません。

検索広告の役割:適切な検索語句で表示されること

検索ユーザーは表示された広告の中からどれかを選んでクリックをしますので、表示されないと始まりません。

かと言って、表示されさえすれば良いわけではなく、どんな検索語句で表示されているのかも大切です。

例えば、常々「痩せたい」と思っているユーザーがいたとします。このユーザーは常々「痩せたい」と思っているので、ダイエットに関する商品・サービスのニーズがあります。

ニーズがあるのだからどんなときに広告を見せても興味を示すのかというと、当然そんなことはありません。そのユーザーが「宅配ピザ」と検索している瞬間は痩せる方法には興味がありません。むしろ、宅配ピザを食べるという、痩せるのとは真逆の行為に興味があります。

(現在のGoogle 広告・Yahoo!広告の検索広告では、ダイエットに関する商品・サービスを「宅配ピザ」と検索しているユーザーに表示させるのは不可能に近いと思いますが)

というのも、検索広告は、「こういう物が欲しいです」「こういうことで困っています」とニーズを表明している検索ユーザーに対して表示する広告です。なので、表示されなければ始まりませんが、ただ表示されれば良いわけではなく、広告をする商品・サービスの興味を持つ可能性のある検索語句で表示させないと効果に繋がりません。

検索広告の役割: 正しい期待でクリックされること

広告が表示されなければ話になりませんが、当然ながら表示されるだけでもダメです。クリックされなければコンバージョンには至りません。なので、広告はクリックされる必要があります。

ところで、当然のことながら、クリックされれば何でもいいわけではありません。

例えば、広告文では「月々980円」と謳っておきながら、月々980円で契約できるのは超レアケースで実際は3,000円くらいになるとか、広告文では「当日発送」と謳っておきながら、いざ決済をしようとしたら発送予定日が1週間後だったりとかは、クリック率が仮に良かったとしても逆効果です。

なぜなら、広告を見た段階でユーザーは「ここでいいかな」と思ってクリックするものの、いざ申し込みをしようとした段階で「ウソだったじゃん」と思い離脱してしまいます。

検索広告はクリックされた段階で広告費が発生するので、広告でウソを言うのは、クリックだけされて離脱されてしまうので最悪です。これならまだクリックされないほうがマシです。

詳しくは第3講で説明しますが、広告について「クリック率」を意識すると「クリックだけされる」広告を生み出してしまいがちで、広告全体の費用対効果としてはむしろ悪化させる可能性があります。そのため、クリック率だけを見たり、クリック率を意識しすぎるのはおすすめしません。

「良い広告」は検索語句の想定と検索結果の分析で作る

「良い広告」は、検索語句をよく考えて、その検索語句での検索結果を分析して作ります。

ところで、リスティング広告の代理店さんに多い広告の作り方は以下のような作業です。「リスティング広告 広告文 作り方」みたいな検索をしてヒットするブログなども概ね以下のような内容でしょう。

ランディング ページの内容を見て大まかなキーワードを決めて、そのキーワードをなんらかのキーワードツールに登録して他の軸キーワードと掛け合わせキーワードの候補を見つけ、それらを表計算ソフト上で掛け合わせてキーワードを作って、その掛け合わされたキーワードを含むようにして広告の見出しをひとつ作り、残りの見出しと説明文はランディング ページから持ってきた要素を文字数を調整して作る

これでは「良い広告」は作れません。

なんらかのツールや表計算ソフト上で「作られた」キーワードは実際に検索ユーザーが入力する検索語句とはかけ離れていることもしばしばで、実際の検索語句との関連性が低くなりがちです。

また表計算ソフト上のキーワードとランディング ページを眺めて作られた広告文も、検索結果上で見比べたら負けている観点(他の広告が「だれでも送料無料」なのに「8,800円以上で送料無料」とか)を訴求してしまうなどで、クリックされる広告になりません。

ツールなどに頼らずに消費者感覚を養って検索語句を想定し、その検索語句での検索結果を分析しながら「この中だったらこういう切り口にすればクリックされるはず、そしてこの訴求は『ウソじゃん』とユーザーに思われることはないはず」と考えなければ良い広告は作れません。

「良い広告」はあとから「良い広告だった」とわかる

ここまで「良い広告」について色々説明してきましたが、最後に「良い広告」について最も大切なことをお伝えします。

それは、「良い広告」はあくまで、あとから「良い広告だった」とわかるものです。

「良い広告」が満たしている要素は上記したとおりですが、それはあくまで「良い広告は上記した要素を満たしている」だけであって、「要素を満たしたらそれすなわち良い広告」なわけではありません。上記した要素を満たしていてもいまいちな広告もたくさんあります。

だから、「良い広告」が予め決まっていて、こうやって作ったらその良い広告が作れます、ってものではありません。

たくさん広告を作って配信してみた結果、適切な検索語句で表示されて、ユーザーに「良さそうじゃん」と思われてクリックされ、ユーザーに「ウソじゃん」と思われることなくコンバージョンを獲得した広告が、あとから「良い広告だった」とわかるものです。

上記した要素は「良い広告」が少なくとも満たすべき要素なので、上記した要素を満たす広告をたくさん作ってたくさん試しましょう。

次の第3講では、具体的な広告の作り方の手順を説明します。