(旧)本気禁止制限決闘   作:阿音

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公開日:2010年10月13日/2010年 10月 13日 改稿
最も酷くて最も反省して最も失敗で最も黒歴史だと思う回。
決闘内容はアニメと変化は無く、それ以外も特に無いので読む必要は無い話です。

簡単に説明するとカイザーとカミューラと原作決闘。
主人公色々して嫌われる。
明日香が闇のペンダントを持っているので明日香が決闘しようとしている。
以上の内容です、読まなくとも問題は無いのでスルーしてください。
それでも読むという方のみどうぞ、作者は何も言いません。


31話【知られた本音】

 視点 瑞貴

 

 

さて……夜になったな

今日も昨日と同じく明日香に朝昼晩と食べさせた

少しずつ慣れてきたのか赤面が減っていたのが惜しい

何か別の手段を考えるべきかな?

 

日の昇っている間、明日香達が寝ている間に仕込みはしておいた

夜になって、蝙蝠が動き出す前に全ての準備をしたからな

今夜が楽しみだ……くくく。

 

蝙蝠が俺の部屋の前を飛び回っている

どうやら明日香と俺を誘っているらしい

だが明日香は連れて行かない、運ぶのが面倒だからな。

 

「じゃあ明日香、俺は行く

お前はそのまま寝てろよ」

 

「私も行きたいんだけど……駄目かしら?」

 

「駄目だ、面倒だし

とりあえず話したとおり、七星門の鍵は持っていくがな」

 

「(瑞貴が自分から鍵を受け取るなんて……

何か自分に利益が無い限り絶対にしないわよね

まさかとは思うけど、校長先生に何かした?)」

 

『(昼間からずっと様子を見ていたが……本当に何者?

何故、あんな物を持っているんだ?)』

 

何を考え込んでるんだ?

まぁ俺が何故自分から鍵を受け取ったのかという辺りだろうが。

 

「じゃあな

部屋から出たら許さん」

 

「わかってるわよ

気をつけてね?」

 

「別に戦う気は無いがな」

 

部屋から出る

しかし、俺が向かうのは噂の湖じゃない

俺が向かう場所は……無い!

とりあえず暫く時間潰しだな。

 

………………

…………

……

 

よしよし、吸血鬼の城の扉は開いている

既に奴らが入った良い証拠だ

城の裏口裏口はっと……発見、侵入開始。

 

ふむ……一般的に言うならば悪趣味な城だな

俺からすればかなり好みだが、装飾品とか貰って帰りたいものだ

裏口だけあって埃臭い……この建物って昨日建ったんだよな?

転送でもしてきたのか?

 

お、大部屋に出れた

今は……吸血鬼と豆腐が戦っている所だな

サイバー・ドラゴンが3体に伏せカードが1枚の豆腐

ヴァンパイア・レディだけで今は吸血鬼のターン……今から2ターン目辺りか?

 

可能性としては融合して融合解除した所だろうか?

そうでなければサイバー・ドラゴンが3体も並ぶのは少々おかしい。

 

そして吸血鬼のターン

ヴァンパイア・レディを生け贄にし、ヴァンパイア・ロードを召喚する

そしてヴァンパイア・ロードを除外し、ヴァンパイアジェネシスを特殊召喚する。

 

……出たな、明らかに条件と効果が噛み合わないモンスター!

出た当時はともかく、現環境上ではファンデッキぐらいにしか使われていないであろうモンスター

しかも、ファンデッキでも使えるかどうかも分からないぐらい面倒な奴だったな。

 

とりあえず生け贄召喚から特殊召喚に繋げられるのは強い

でもそれだけ、もっと便利で使い易いモンスターはもっと沢山存在している。

 

まぁこっちじゃ攻撃力3000は魅力的だろう

越えるのは簡単だが、それでも強い事には変わり無い。

 

そのままヴァンパイアジェネシスで攻撃

だが豆腐もそう簡単にはやられない

アタック・リフレクター・ユニットの効果でサイバー・ドラゴンを生け贄にする

そして、デッキからサイバー・バリア・ドラゴンを特殊召喚する。

 

なんというチートドロー

パッと見、サイバー・ドラゴンの融合、融合解除で手札を5枚消費している

なのにこのカードを残して置くとは……サイバー流、侮れんな。

 

サイバー・バリア・ドラゴンは攻撃表示の時、1ターンに1度相手の攻撃を無効にできる

この効果により、ヴァンパイアジェネシスの攻撃を防ぐ

効果は強いが、攻撃力800をずっと場に残して置くのは大変だな

守備力は2800も有るから効果を使用しないで壁にするのも1つの手か。

 

豆腐のターン、強欲な壺を使用

デッキから2枚ドローし、速攻魔法のフォトン・ジェネレーター・ユニットを発動する

サイバー・ドラゴンを2体生け贄にし、サイバー・レーザー・ドラゴンを特殊召喚する。

 

サイバー・レーザー・ドラゴンはこのカードの攻撃力以上の攻撃力、守備力を持つモンスターを1ターンに1度破壊できる

厄介な効果だが、そこまで強くない

そもそも攻撃力2400の時点でそこそこの強さだから効果の発動が難しい

下級の戦闘耐性持ちを破壊できないし、そう考えると素直にモンスター破壊カードを使用した方が早いし安い

とりあえずサイバー・ドラゴンを2体も生け贄にする必要は有るのか?

そんな疑問が出てくるモンスター、生け贄が1体なら強かったんだけどねぇ……惜しいなぁ。

 

だが、今の状況ではかなり強い

ヴァンパイアジェネシスを効果により破壊、そして2体のモンスターで直接攻撃《ダイレクトアタック》

吸血鬼の残りライフは800、かなり拙い状況だな。

 

最後にカードを1枚伏せ、ターンエンドなんだが……

強欲な壺でドローしたカードがフォトン・ジェネレーター・ユニット?

更に伏せカードだと? どこまでチートドロー持ちなんだよ。

 

スパロボで言うときっとチートドローLV9だ

ちなみに十代はLV8、明日香はLV6、俺はLV4ぐらいかな?

その他大勢はLV0からLV3ぐらいだと思う。

 

で、吸血鬼を見てみると口が裂けていた

おぉ、なかなか良い表情じゃないか、そっちの方が印象良いぞ!

見た目はアレだが、感情で顔を変えられるってのは凄いね。

 

そして吸血鬼のターン

魔法カード、幻魔の扉を発動……か

幻魔の扉の効果は相手の場のモンスターを全て破壊

そして、この決闘《デュエル》で1度でも使用したモンスターを召喚条件を無視して自分の場に特殊召喚する。

 

ただし、このカードの使用には使用者の魂を賭けなければならない

使用者が負けた場合、使用者の魂は幻魔に捧げられるが……効果が鬼畜なのですぐに決まる

使ってもあまり問題にはならんな。

 

俺の持っているカードにも含まれているのだが、とてもじゃないが使う気にはなれない

当然ながら売る事もできないので金庫の最奥、取り出し禁止の最も強固に隠しているトランクの中に入っている

そのトランクの中には他にもオレイカルコスの結界、魂の牢獄、邪神ゲー、地縛神など

使用しただけでも危ないカードが大量に入っている。

 

が、実はデメリット無しでも使える同名カードも入ってるんだよね

幻魔の扉の発動条件は無しに変えられているし、オレイカルコスの結界も敗者の魂を捧げる必要は無い

地縛神だってOCGと同じく普通に使えるカードだ

こんな危険な同名カードを持っているのも問題なんだが……まぁ使わなければいい。

 

吸血鬼が2人になったんだが……これはどういう現象だ?

肉体と魂が分けられたとか?

いや、しかし魂の無い肉体は活動できない。

 

うーん……オカルトはこっちに来て闇のゲームの存在から結構調べたんだが……

どうもよくわからん、元の世界でもそこそこ知識は持っていたのに全滅か

少しだけ自信を無くしそうだ。

 

そして吸血鬼は水色を自分の代わりに生け贄にしようとする

分裂吸血鬼が水色を掴み、首筋に噛みつく

力の入らない様子から見て、どうも神経毒か何かかな?

牙に毒が染みこんでいるのか、それとも吸血鬼の血は人間には有害なのか

どちらにせよ、危険な行動には違い無い……か。

 

そして現れるサイバー・エンド・ドラゴン

豆腐に脅迫と挑発をする吸血鬼、お前……良いキャラしてるな

そのしたたかさ、俺の好みだぞ? 是非相棒になってくれ……決闘《デュエル》限定で。

 

似非が正々堂々と戦えと言うが、吸血鬼……カミューラは否定する

正々堂々なんて言葉は虫唾が走る……同感だよ、馬鹿正直に戦う必要なんて無い

基本的に勝てば良いんだよ、勝てばな。

 

それにしても、似非が呼んでようやく名前が分かった

お前ら、もう少し名前を呼んでやれ、可哀想だろ?

 

そしてなにやら突然始まる兄弟の涙溢れる会話

さて、終わる前に準備準備っと……

 

準備は終わった、後はタイミングだ

豆腐がまだ闘氣を残している内に行動しなければならない。

 

会話が終わった……このタイミングだ!

 

 

 

 視点 カミューラ

 

 

カイザーが決闘盤《デュエルディスク》から腕を下ろそうとした瞬間、大きな音が広間に響いた。

 

「いっつ!」

 

カイザーの弟の頬から血が……一体何が!?

 

「チッ、外したか」

 

少し離れた場所に男が立っていた

そして持っているのは……銃ですって!?

 

「悪いな豆腐……別名カイザー

もう少し待っててくれ

今からお前の弟を殺してやるからさ」

 

「な、何だと!?

堅守瑞貴、お前……何を考えている!?」

 

「あん? 見て分からないのか?

お前のオテツダイだよ……それが邪魔なんだろ?

それが死ねばお前は行動できるし、勝つ事だってできるはずだ

だから……その障害を今から排除してやろうとしてるんだよ」

 

まさか……カイザーの弟を殺してカイザーに勝たせようと言う気!?

あいつは仲間を殺してでも勝利を得ようと言うの!?

 

「巫山戯るな!!!

そんな事、俺が許すはずが無いだろ!!!」

 

「別に許してくれなくてもいいさ

その代わり、お前の命は助かる……今の会話から考えるに、水色は死を覚悟しているだろ?

殺される相手が兄から他人に移るだけ、別に大差無いじゃないか」

 

あ……あの男は何を考えているの!?

本当にこの甘ちゃんの人間達の仲間だと言うの!?

とてもそうだとは思えない……私達の味方と言われた方がまだ納得できるわ!

 

「瑞貴、お前何考えてるんだ!

本気で翔を殺す気かよ!?」

 

「黙れ似非、お前は今は無関係だ

俺は効率の良いやり方を持ちかけているだけだろ?

これに勝てばセブンスターズの1人を倒せ、更に鍵も守れる

犠牲になるのは水色だけ……もしここで負ければ豆腐という戦力が減り、鍵も奪われる

更に余るのは水色という雑魚が1人……この差は大きすぎる程の差だ

メリットが9でデメリットが1なら9を取るのが自然だ」

 

「瑞貴……お前!」

 

その考えに間違いは無い、どう考えても勝った方が明らかに得

負ければ戦力の低下と鍵の損失、得るのは弟の命だけ

チッ、せっかく勝てそうだったのに邪魔をしてくれて!

 

「お前、人の命を何だと思っているんだ!」

 

「……その質問に答える前に、お前は誰だ?」

 

「そういえば話した事が無かったな

俺は三沢大地、ラーイエローの主席だ」

 

「あっそ、ならお前の呼び方は今後、地底な

質問に答えると……別に何とも思ってないな」

 

「地底!? 今はそれどころじゃないか

何とも思っていないとはどういう事だ!?」

 

こいつら……本当に仲間か?

随分意見が分かれてるし、明らかに乱してるのはあの新しく来た男

私にも何が何やら……

 

「人の命なんぞ知らん、どうでもいい

俺は自分さえ良ければ基本的に他なんてどうでも良いんだ

人生で生き残るには他人を蹴落とすのが一番効率的だろ?

つまりそういう事、不要なモノを消した方が後が楽なんだよ」

 

「翔の命が、不要だとぉ!?」

 

「煩いぞでかいの、お前も役立たずなんだ

役立たずは役立たずなりにどっかに引っ込んでろ!

水色だってここに来る必要は無かったはずだ

むしろ、お前達ギャラリーの存在がこの状況を作り出したんだよ!」

 

まぁ、それはそうね

この子が居なければ、私は自分の命を捧げなければならなかった

仲間意識が強いのも大きな問題よねぇ?

 

「それはそうかもしれん

だが、気になるだろうが!」

 

「気になるだけなら野次馬にしかならんだろうが電池

実際、今は邪魔にしかなってないんだ

この決闘《デュエル》、お前らの存在で最初から負けは決まっていたに等しい!

だから俺がその負けを勝ちに変えてやろうとしてるんだろうが

幸い……生け贄は1人で良さそうだしな、水色を殺せば新たに生け贄を選ばれる事も無い」

 

チッ、さっきから言っている事が合理的ね

間違ってない事しか言ってないわ、人間性を除けばね

あの人間……まともな頭をしてない、逝かれてるわ。

 

「さて……では改めて……怨んでもいいぞ水色、だから死ね」

 

「っ! カミューラ、俺を攻撃しろ!

俺は負ける、だから急げ!」

 

言う事を聞く必要は無いけど、本当に殺されて私が不利になるのも拙いか

なら攻撃するべきね!

 

「まったく……サイバー・エンド・ドラゴンでプレイヤーに直接攻撃《ダイレクトアタック》!」

 

サイバー・エンド・ドラゴンの攻撃は直撃

カイザーのライフが0になった。

 

「まったく……せっかく勝てるようにしてやったのに邪魔しやがって

もうここに用は無い、俺は帰らせてもらおう」

 

「待て瑞貴!

せめて謝っていけ!」

 

「い・や・だ・ね

これに懲りたら二度と闇のゲームにギャラリーを連れてこない事だ

また人質にされても、俺は知らんぞ」

 

そう言い残し、瑞貴と呼ばれた男は去って行った

あいつ……これは次に戦う為の布石だったか

これで次の相手は別の人間を連れて戦いに来る事は無いだろう。

 

奴は大分嫌われただろうが、目的は達成できた

もしかしたら奴が一番の強敵かもしれないわね。

 

まぁいいわ、今は新しいお人形が手に入った事を喜びましょう

人形を持ち、消えるようにこの場を去る……

 

次のお人形はどんなのになるかしらね?

 

 

 

 視点 瑞貴

 

 

目的達成っと

良い具合にカミューラが命を賭けたりするカードを使ったり

生け贄の身代わりを使ったりと、色々と助かった。

 

これで俺は似非、電池、地底、豆腐にも嫌われた

水色とでかいのは俺を更に嫌っただろうし、効果は上々

大徳寺先生はどうでもいいや。

 

銃を持っていた理由?

買って密輸させた、かなり高かったが一応手に入った

ちなみに持っている銃弾はそんなに多くないので無駄遣いはできない

今回は無駄遣いになりそうだが、まぁ大した問題じゃない。

 

ちなみに銃の携帯許可書も使用許可書も持っている

金の力って凄いよな……金さえ払えば犯罪だって容認するんだぜ?

ちなみに賄賂を送ったのは警察のお偉いさん、上層部って真っ黒だな

貯金が金庫とかの分も相まって無くなりそうになったが……またカードを売ればいいさ。

 

それに……あの女は俺の獲物に決めた

証人は誰でも良い、明日香辺りでも連れ出すか?

とりあえず危険度が高いし実力もそこそこ、かなりの金になるな。

 

カミューラの身柄も貰えるように交渉するか

やっぱりあの吸血鬼の力は欲しい

色々と悪用もできそうだから嬉しいなっと。

 

……はぁ、自分で決めた事とはいえ、嫌われるのはやはり少々辛い

銃と殺人を持ち出すのは今後は止めよう

元々殺す気なんて全く無かったが、それを知ってるのは俺だけだ

誰にも理解してほしいとは思わないし、言っても誰も信用しない。

 

とりあえず俺の手駒は現在半未定の吹雪だけ

明日香は手駒とは言えないが、まぁ使おうと思えば使える

カミューラも手に入れられれば万々歳だ。

 

さて、問題は俺の頑張りを無視してカミューラに何人も引き連れて戦おうとする馬鹿だ

あの女は俺が倒す、報酬の為に……だから奴らに餌を奪われるのは困る

単体で行っても勝たれたら俺の報酬が減るので却下。

 

脅しでも加えておくかな?

俺が戦っている間は入城禁止、人質を取られたとしても絶対に俺は助けないってな

事実、俺は助ける気なんて全く無い

人の忠告を聞かない奴が悪いんだからな。

 

さて、今日はもう門を開かないだろう

明日の夜一番に……カミューラに戦いを挑む!

主に、金の為にな。

 

 

 

 視点 明日香

 

 

瑞貴に連れられ、湖に来たんだけど……これは何事?

 

「貴様……何しに来た!?」

 

「お前は来る必要は無い!」

 

「そうだそうだ!」

 

「今度は何を考えてるんだな!」

 

「瑞貴、もう翔に手出しはさせねぇ!」

 

順番に言うと万丈目君、三沢君、翔君、隼人君、十代

みんな瑞貴の事を凄く嫌っているし、十代は一体何を言ってるの?

 

「黙れ、あの女は俺の獲物だ

昨日のミスは俺の勝利で補う

別に構わんだろう? 俺が負けても気に入らない奴が消えるだけだ

勝っても特に問題は無い、昨日みたく無駄に鍵を渡すだけだ」

 

「カイザーの行動は、無駄じゃない!」

 

本当に何が起こってるのよ……

昨日、瑞貴は出て行ってから何をしたの?

 

「はぁ……まさかこんな誤算が出るとは思わなかった」

 

「瑞貴、昨日貴方は何をしたの?」

 

「瑞貴の奴、翔を殺そうとしやがったんだ!」

 

「殺そうとって……」

 

瑞貴が翔君を嫌ってるのは知ってるけど

殺すほど嫌っていたの!?

 

「簡単に説明すると、水色が人質に取られて豆腐が負けそうになった

俺が介入して水色を殺してやるから豆腐に勝てと言った

で、結局負けたから俺は自分の失敗を取り戻そうとここに来たわけだ」

 

「どう考えても貴方が悪いじゃない

嫌われて当然だわ」

 

どうしよう……離れた方がいいかしら?

でも瑞貴の支えが無いと立てないから離れられない

まったく、瑞貴は何を考えてるのよ!?

 

『明日香、瑞貴の言っている事は半分嘘だ

彼は嫌われている事を悲しんでいる』

 

『悲しんでいる?

でもそうは見えないわ、今も挑発し続けてるし……』

 

『それは表面上だけ

心は傷ついてるわ、本当はしたくてしたんじゃないと思う』

 

どういう事かしら……とてもじゃないけど傷ついてるようには見えない

カマを掛けてみるか……引っかかると良いんだけど。

 

「瑞貴、1つ教えて

貴方は翔君を本気で殺す気だったの?」

 

私の質問に場が静まる……

 

『サラ、瑞貴の心の動き

絶対に見逃さないで』

 

『わかった』

 

瑞貴の答えは……

 

「本気だ」

 

『嘘、辛そうに言った

殺す気なんて全く無かったに決まっている

何よりも殺意を感じなかった……何を考えてるんだ?』

 

そう……私も見えたわ

瑞貴の口を開く瞬間、口が少しだけ震えていた

小さすぎて見逃しそうだったけど、絶対に震えてたわ。

 

この言葉は嘘に決まりね

目的は分からない、でも翔君を本気で殺す気は無かった事だけは確認できたわ。

 

「お前……天上院君を放せ!

天上院君、そんな奴からすぐに離れるんだ!」

 

「そうだ明日香! そんな奴からすぐに離れた方が良い!」

 

万丈目君も十代も、瑞貴から私を放そうとする

けど彼らが来る前に瑞貴がそれを止めた。

 

「悪いが明日香は連れて行く

お前達は来るな」

 

「なんだと……昨日あれだけ1人で戦えと言ったのにそれはどういう意味だ!

幻魔の扉でカミューラにそこのカイザーの弟が捕まったのは見ていただろ!」

 

なるほど、瑞貴の目的はこれね

人質に取られないようにできるだけ1人で戦えと言いたかった

それを強く思い知らせる為に翔君を殺そうとした……か。

 

やり方は最低だけど効果的ね

彼らはまた大人数で挑みそうだったけど……

 

瑞貴が私を連れて行こうとする理由はこのペンダントの存在

この場に来る前、兄さんが目を覚ました時の事よ。

 

………………

…………

……

 

「明日香、今日はお前を連れて行く」

 

「え? 珍しいわね

私を連れて行くと大変じゃない?」

 

「いや、お前が必要だからな」

 

「必要って……」

 

なんか勘違いしそうな言葉だけど

絶対に瑞貴の事だから違う意味に決まってるわ。

 

ベッドから下り、瑞貴の肩を借りて立ち上がる

そして立ち上がった時、上のベッド……兄さんの所から光が発生した。

 

「ぅ……ぅぁ……」

 

声が聞こえた!

兄さんの意識が戻ったのね!

 

「兄さん、大丈夫!?」

 

ぃた……大声を出すと体に痛みが

やっぱりまだ無理はできないわね。

 

「あぁ……よく聞くんだ……

カミューラは卑怯な術を使うだろう

闇のアイテムを使った闇の決闘《デュエル》を破る為には……

闇のアイテムが必要なのだ」

 

闇のアイテム……このペンダントが必要なのね?

でも私はまだ回復してない、戦えるような体じゃ……

 

「そのペンダント、貸してくれないか?

明日香を守る為に必要になると思う」

 

「構わない、僕にできる事はそれしか無いからな」

 

瑞貴は兄さんのペンダントを取り、私に持たせた

そして私はそのペンダントを付ける。

 

「勝つから安心して寝てろ

勝利報告ぐらいするさ」

 

「あぁ……楽しみにしている」

 

………………

…………

……

 

そんな会話が有ったの

私が闇のアイテムを持っていれば、同じく闇のアイテムの効果を受けない

その為に瑞貴は私を連れて行くのよ。

 

「問題無い、明日香は闇のアイテムを持っているからな

それを持っている明日香は同じく闇のアイテムの効果を受けない

幻魔の扉の人質にされる心配は無い」

 

「クッ、だからって貴様が戦う必要はあるまい!

俺が戦う、だから天上院君をこっちに渡せ!」

 

「その言い方は止めろ、明日香は道具じゃない

俺のどうでも良い奴は道具扱いでも構わんが明日香は許さん

(明日香は俺の大事な玩具だ! 貴様らには勿体ない!)」

 

あの……それは告白にしか聞こえないんだけど

違うとは思うけど顔が赤くなる……

他の人も勘違いしたのか顔が赤くなってる人が何人か。

 

「そんなに俺に戦わせたくないのなら明日香に決めさせればいいじゃないか

ちなみに、明日香はもうセブンスターズの1人と戦った後で体が弱っている

選ばれたのなら、城の中で1人で明日香の手助けをする必要が有る

俺はもう何日もしているから問題無いが……お前らにできるか?」

 

私の手助けという点で何人かが目を逸らした

まぁ、私に選べって言われたら瑞貴を選ぶんだけど

だって私より強いし……

 

三沢君と万丈目君は十代に負け、万丈目君と十代は私に負け、私は瑞貴に負けている

ピラミッド形式にするとこの場で瑞貴が頂点なのよね

性格はともかく、実力では最も信用できるのが大きいわね。

 

「で、明日香は誰を選ぶんだ?」

 

「瑞貴で」

 

「「「「「即答!?」」」」」

 

「何でそんなに驚くのよ?」

 

そんなに変な事は言ってないと思うけど?

 

「俺が水色を殺そうとした事を知っても俺を選ぶのが信じられないんだろ

俺としても何故お前が俺を選んだのかわからんが……」

 

「決まってるじゃない

瑞貴が翔君を殺すはずが無いでしょ?」

 

周りの人達が黙る

信じられないという顔ね。

 

「明日香、俺は水色の事が嫌いだ

嫌っている相手を殺すのはそこまで変じゃないと思うぞ?」

 

「瑞貴が殺人なんて現時点よりも厄介事になるような事をするはずが無いじゃない

それに……さっきの言葉も嘘、瑞貴は翔君を本気で殺す気なんて全く無かった

何故なら、瑞貴がさっき本気だって言った時、口が震えていた

貴方が嘘をつく時にする癖よ」

 

思わず口元を抑える瑞貴、引っかかったわね……

口元に手をやってすぐに瑞貴は私に騙された事に気付いた。

 

「嘘よ、そんな癖なんて知らないわ

これが証拠よ、瑞貴は本気で翔君を殺そうとなんてしてないわ」

 

「黙れ明日香、これ以上言うな

せっかく巻いた種が無駄になるだろうが!」

 

「「「「「種?」」」」」

 

種? 私も気になった

瑞貴は失言だったと口元を抑えてる

でもこれ以上黙るのは無理よ!

 

「瑞貴、このままだと誰も納得できないわ

いい加減にちゃんと話したら?」

 

「明日香……お前俺の苦労をよくもまぁ無駄にしてくれたな

もういい、諦めた……」

 

「苦労?

どうも話しが見えないな

お前、隠れて何をしようとしてたんだ?」

 

顔を押さえて落ち込む瑞貴

目的は分かったけど、何を考えてこんな嫌われる方法を?

 

「はぁ……どうも危険性や危機感が薄い奴らに喝を入れたんだよ

恐怖の中、脅された中で言われた言葉は自分で思っている以上に効果が有るんだよ

解決法を言っても、お前らみたいなのはそれでも一緒に行きそうだったからな

あそこまですれば誰かが強引にでも止めるだろうと思った

……態々嫌われ役になってまで苦労してやった事が水の泡だ」

 

「なら翔を殺そうとしたのは本気じゃなかったんだな?」

 

「当然だ

証人も多いし、敵に押し付けるのは無理

何よりも殺人なんてしても俺には何一つ得する事が無い

気に入らないが、特に興味も無い奴を殺しても無駄だ」

 

言い方や言葉は酷いけど、嘘だって事は白状した

これで少しは嫌悪感が拭われると良いんだけど……

 

「なら、どうして銃なんて持ってたんだ?」

 

「携帯許可書も使用許可書も持っているとだけ言っておく

万が一何か起こるかと考えてだ

事実、本当に起こるとは思わなかったがな」

 

ナイフを常時装備してるものね

常に用心深いから私としては持っていても今更って感じかも。

 

「それで瑞貴、種って何?」

 

「種に関しては絶対に言えん

これはカミューラの件には無関係だ」

 

この様子だとどんなに言っても絶対に言わないわね

瑞貴がこうなったら何を言っても無駄だもの。

 

「話しはこれで終わりだ

いい加減、カミューラも待ちくたびれただろう

さっきの話しは覚えてるな?

お前らは来るなよ」

 

「チッ、勝手にしろ!」

 

万丈目君が最初に諦めた

1人が諦めれば全員諦める。

 

ふぅ……少しは瑞貴への嫌悪感も拭われたかしら?

不器用な瑞貴のフォローも大変だわ。

 

『あの……明日香

瑞貴ね、嬉しいとは思ってるけど迷惑とも思ってる』

 

『何で!?』

 

『さ、さぁ?

多分さっきの種に関係する事だと思う

もしかしたら嫌われる必要が有ったんじゃない?』

 

嫌われて得する事ってあるのかしら?

後で怒られないといいけど……無理かしら?

 

でも、少しは嬉しいと思ってくれてるんでしょ?

それなら怒られるぐらい構わないわ

瑞貴が嫌われたままなんて嫌だもの。

 

溜め息を吐く瑞貴に思わず苦笑

ごめんなさいね、勝手な事して。

 

瑞貴は何かを紛らわすかのように私を……ちょ、この持ち方は止めて!

ひひ、人前でおおおおおお姫様抱っこは恥ずかし過ぎるわよ!

ほほほ、ほら、みんな見てるから止めって走らないでーーーー!!!

 

『明日香、照れ隠しみたい

多分彼の性格から考えるに、嬉しかった事が気恥ずかしかったんじゃない?』

 

『それはいいけど、走るのもいいから、お姫様抱っこだけは止めてーーー!!!』

 

実際に声には出してないから瑞貴は止めてくれなかったわ

そしてそのまま城の中へ……

 

て……敵にまで見られるのは本気で嫌ーーーーーーー!!!




※旧後書き
瑞貴は明日香に鍵の権をどう伝えたの?
訳ありで鍵は俺が持つ
そんな感じに言って終わりです。

瑞貴がチートドローLV4って……そうかな?
自分ではそれが理想だと思っています
現実はLV7ぐらい持っていそうですが……

銃って……
これはセブンスターズ編開始前辺りから考えていました
色々と好都合の状況だけど、どうにかできないかと考えていました
その結果、脅して結果的に失敗、そして嫌われるという事でした
所々無理が有ると思いますが、あまり深く突っ込まないでください。

銃の種類は?
考えていません、そんな知識は全く持っていないので。

瑞貴は銃の訓練はしたの?
ある程度は……サイレンサーを付けて誰にも見られないように注意しながら自力で訓練していました
ちなみに、今回は本当は外す予定だったのですが頬に擦ってしまいました
内心かなり焦っていた、瑞貴なのでした。

そういえば三沢と瑞貴って話した事が無かったね
忘れていたのではなく、知らなかったのです
なのであんまり三沢を苛めないであげてください。

瑞貴の人の命の話、どこまで本音なの?
基本的にほぼ全て本音です
自分本位であり、他は所詮他人という考えの持ち主ですので。

カミューラに逝かれていると言われる瑞貴って……
吸血鬼も吃驚の外道に作者が自分でも驚きました。

瑞貴の誤算って?
早めの時間に来たつもりなのに全員が居たからです
本来だったら誰も居ない内に城に入る予定でした。

サラが……サラがーーー!!!
彼女の存在が瑞貴最大の誤算ですね
何気に大活躍のサラでした。

瑞貴は嫌われる事に傷ついてるの?
嫌われるのは目的の為です
それはそれ、これはこれという奴ですね
思考はともかく、感情は悲しんでいます。

瑞貴は翔を殺そうとする事を本気と言うのが辛いって?
本当は殺人をしてしまう事が怖いのです
なのでそういう意味で辛いのでしょう。

瑞貴の行動が矛盾してるような……
今後、自分に面倒が回ってこない為の布石のつもりなので矛盾していない……と思います。

瑞貴の言う種って?
嫌われる為に蒔いた種です
それが怒りや怨みなどによって本気で嫌うという花になるのを待つつもりでした。

瑞貴って結果的にどう思われてるの?
十代、万丈目、三沢の3人には
非道、外道などとは思われていますが嫌いとまでは……
特に三沢は明日香に近い考えで不器用な奴だと思っています
翔と隼人は嫌っていますが、よくわからない奴になりました。

瑞貴……嬉しかったんだ
本心では嫌われたくないので当然でしょう
目的と思考では絶対に否定しますが、本心では……

お姫様抱っこだと!?
八つ当たりですね
なのでまたバカップルをしている自覚が有りません
明日香もそれを分かっているので同じく自覚が有りません。


✩感想
今回はやり過ぎたという事が感想です。
アニメ世界だからとか考えず、もう少しちゃんと考えておくべきでした。
今回の事は心から反省しています。

★反省
この回が一番の反省点です、もう全てがダメだと思うぐらいに……
もう反省しますとしか言えません、ただそれだけです。


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