スペインメディアのLa Vanguardiaは6日、NATOは3年前に中止されたスペイン~フランス間のパイプライン建設計画「Midcat(Midi-Catalunya)Project」再開を検討中で、欧州のロシア産天然ガスに対する依存度の引き下げを狙っているらしい。
参考:Un gasoducto España-Alemania entra en los planes de la OTAN
スペイン~フランス~ドイツ経由でロシア産天然ガスに依存する国にアルジェリア産天然ガスを供給
Midcat(Midi-Catalunya)Projectはロシア産天然ガスの依存度を引き下げるためEUが提案したスペイン~ピレネー山脈南部~フランス間のパイプライン建設計画で、スペインとフランス間の天然ガスの移送能力を引き上げるため約4億4,000万ユーロ(費用の2/3をフランスが負担)を投じて2022年までに新しいパイプライン建設する予定だったのだが、2019年に財政的な問題でフランスが計画を中止してしまい計画はお蔵入りしてしまった。
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出典:©Sémhur / CC BY-SA 4.0
しかしスペインメディアのLa Vanguardiaは6日、政府筋の話を引用して「NATOはMidcat Projeの再開してスペイン~フランス~ドイツ経由でロシア産天然ガスに依存する国にアルジェリア産天然ガスを供給することを計画しており、これにドイツが強い関心を示している」と報じており、この計画が実行に移されれば数年後にはドイツを含む中欧諸国のロシア産天然ガスに対する依存度を引き下げることが可能になるため注目を集めているのだが全く問題がない訳ではない。
まずアフリカ最大の天然ガス生産国であるアルジェリアと欧州を結ぶパイプラインはスペインに向かうモロッコルートと地中海横断ルート、イタリアに向かうチェニジアルート(サルデーニャ島ルートは計画保留)があるのだが、国交を断絶して関係が悪化しているモロッコルートは現在運用が停止されていて再開の目処は立っていないという点、アルジェリアの安全保障政策はロシアの強い影響下(隣国モロッコとの軍事的対立でアルジェリアの後ろ盾を務めているのがロシア)にあるため素直にNATOの計画に協力するかどうかは未知数という点だ。
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出典:Ulrichulrich / CC BY 3.0
まぁ不安要素があっても無いよりマシ(最悪米国産の天然ガスをスペインに運んでパイプライン経由で中欧諸国に供給することも可能)なので注目される動きと言えるが、この動きにロシアはどう反応するのだろうか?
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※アイキャッチ画像の出典:Jens Stoltenberg
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手札を失わないために、圧力加えそう。
> 最悪米国産の天然ガスを
米国産ガスの8割ぐらいは長期契約で場当たり的に輸出している訳ではない。だからこそ韓日にドイツに融通出来るかの話があった訳で。
日本のエネルギー供給の3割位をカバーする天然ガスを他国に融通するという事はエネルギー政策をどう考えるか。
最低限の料理や暖を取る事が 出来ないなら融通すべきだが物が作れずに輸出出来ないで困るとなるなら自業自得でなんとかしろとしか。